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地震のリスクファイナンス:地震リスクマネジメントの基礎知識8

地震リスクマネジメントの基礎知識

更新日:2017年6月9日(初回投稿)
著者:防衛大学校 システム工学群 建設環境工学科 教授 矢代 晴実

前回は、地震のリスクコントロールについて紹介しました。今回は、地震のリスクファイナンス手法について解説します。

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1. リスクファイナンス

「リスクファイナンス」という言葉は、リスクによる被害への財務的な対応を総称したものです。リスクファイナンスで代表的なものは保険です。また、最近では保険以外のリスクファイナンスとして、「代替的リスク移転(ART:Alternative Risk Transfer)」と呼ばれる対応方法も注目されています。

一般的に、発生確率が低い自然災害リスクを企業の内部留保などで処理する「保有」は、資本効率性の点で見ると不利とされています。しかし、企業向け自然災害保険(特に地震保険)は、損害保険会社・再保険会社の引き受けリスク量の制約から、地震リスクを全て保険に移転できないのが実情です。したがって、地震リスク対応策はリスクコントロールでリスクを低減し、それでも残るリスクを保険や保険以外のリスク移転策(リスクファイナンス)で対応するという方法が合理的です。

2. 保険によるリスク移転

地震による損壊・埋没・火災は、火災保険(企業財産包括保険や企業総合保険など)では補償されません。そのため、地震の損害を補償するには、火災保険と併せて地震危険補償特約(住宅の場合は地震保険)を契約する必要があります。この特約契約により、地震または噴火による各種損害(火災や破裂または爆発による損害、津波や洪水その他の水災による損害、損壊や埋没または流失の損害)を被ると、損害保険金が支払われます。

特約契約に際しては、免責金額や支払い限度額、縮小填補割合などが設定されます。縮小填補割合は一般的に、保険金が損害額から免責金額を控除した後の金額に乗じる割合(例えば50%、70%など)になります。また、免責金額は損害額のうち一定金額を自己負担します。さらに、支払い限度額は保険金の支払いの最大金額が決められ、それ以上の損害は自己負担することになります。このように、支払保険金には制限があるため、施設の耐震性を向上させ、損害額を低減する必要があります。その結果、保険料節減にもなります。

この保険によるリスク移転をリスクカーブ(リスクの発生確率と損害額の関係を示す曲線)で示すと、図1のようになります。リスクカーブはシリーズ第7回で説明したとおり、リスクカーブで囲まれた面積が期待損失額となり、施設のリスク量を表す指標の一つになります。

この図から分かるとおり、リスクコントロールによる耐震性向上により、既存の施設のリスクカーブが下に移動すると、囲まれた面積は大きく減少してリスク量が減ります。しかし、リスクコントロールのみでリスクをゼロにすることは現実的には不可能で、面積部分のリスクがまだ存在する状況です。

図1:地震リスク曲線と保険によるリスク移転

図1:地震リスク曲線と保険によるリスク移転

この耐震性向上後の施設のリスクを、保険の利用でリスク移転することができます。ただし、リスクを全て保険に移転することは難しいため、保険金の免責金額設定により、企業(施設所有者)も一定量のリスクを保有します(図1の薄緑色の部分)。また、保険金額の支払い限度額の設定より、さらに企業が保有するリスクが生じます(図1の緑色の部分)。

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

3. 代替的リスク移転(ART:Alternative Risk Transfer)

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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