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電気設備とは:電気設備の基礎知識1

電気設備の基礎知識

更新日:2020年10月27日(初回投稿)
著者:東海大学 工学部 電気電子工学科 元教授(現非常勤講師) 森本 雅之

電気設備とは、電気を作り、送り、使うための設備です。つまり、電気設備という用語は相当に広い範囲を指しています。電気は、発電設備で作られ、送電設備で変電設備を経由しながら、人々の暮らす街まで運ばれていきます。電気設備は、人々の生活の向上や文明の発展に貢献してきました。本連載では、6回にわたり電気設備の基礎知識について、主に電気を使う側に立って建物内の電気設備を解説します。第1回は、私たちの周りにある構内電気設備を中心に解説します。

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1. 電気設備とは

電気設備は、主に電力会社の設備である発電設備と送配電設備、そして電気を使う側の設備である構内電気設備に大きく分類されます(図1)。発電設備で発電された電気は、送電、変電、配電を経て届けられます。この間にも、さまざまな電気設備が使われます。本稿で取り上げる構内電気設備は、需要家(電力会社が電気を使用するユーザーを指す呼称)が電気を使うための設備です。主に、建物や施設の中で電気を送り届けるための設備を指し、照明や防災設備などが安全で快適に使用できるようにする役割があります。

図1:電気設備

図1:電気設備

2. 電気設備の種類

私たちが使用する電気は、電気をエネルギーとして使う場合と、電気信号の情報として使う場合に分けられます。電気をエネルギーとして使う場合は、使用電力Wが大きく「強電設備」と呼ばれます。これに対して、電気信号による情報通信として使う場合は、使用電力が少なく「弱電設備」と呼ばれます。

強電設備には、電力会社の電気を利用するための受変電設備や、停電などに備えた非常電源設備があります。エレベータなどのモータを使うものは、動力設備と呼ばれます。その他、空調設備、照明設備、さらに建物内に電気を送るための幹線設備も強電設備です。一方、弱電設備には、電話やLANなどの情報通信設備、火災などに備えるための防災設備などがあります。最近では、建物全体を管理するための情報ネットワークも、弱電設備として使われています。

電気設備に関連する用語には、明確な定義がありません。例えば、構内電気設備を、建築物に関わる建築電気設備、生産施設に関わる工場電気設備、道路などのインフラに関わる施設電気設備などと呼び、さらに細かく分類する場合もあります。

表1は、日本での電圧の区分を示したものです。発電設備・送配電設備には、発電所の発電設備と送電設備、変電所の変電設備、配電所の配電設備があります。これらの設備は、高圧または特別高圧の設備です。一方、構内電気設備は、受変電設備を除けば、全て低圧の設備であると考えていいでしょう。電圧の区分は、国によって異なります。電気の国際標準であるIEC規格では、日本国内の基準より電圧が高く、1,000V以下を低圧、1,000V以上を高圧と区分しています。

表1:電圧の区分(参考:電気設備に関する技術基準を定める省令 第1章、第1節、第2条をもとに作成)

表1:電圧の区分

最近では、太陽光発電やコージェネレーション(熱電併給)を取り入れたビルも多くなっています。こういった自家発電は、構内電気設備といえども発電設備として扱う必要があります(図2)。

図2:ビルの電気設備

図2:ビルの電気設備

3. 電気設備に関わる法令、資格

電気設備を取り扱うには、取り決められた法令や資格などに沿って常に安全に行わなければなりません。まず、電気設備に関わる法令などのうち、電気事業法、電気設備に関する技術基準を定める省令、電気設備技術基準の解釈、内線規程について説明します。

・電気事業法
電気設備に関わる法令や規格にはさまざまなものがあり、その大元となるのが電気事業法です。電気事業法は、電気工作物の工事・維持・運営に関する規則を定めています。電気工作物とは発電、変電、送電、配電又は電気の使用のために設置する受電設備(機械、器具、ダム、水路、貯水池、電線路など)をいい、事業用電気工作物、一般用電気工作物があります(引用:経済産業省ホームページhttps://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/sangyo/electric/detail/setsubi_hoan.html)。電気事業法では、電気工作物を「電気事業用電気工作物(電力会社の施設)」、「自家用電気工作物(高圧や特別高圧で受電して電気を使用する需要家)」、「一般用電気工作物(低圧で受電して電気を使用する需要家)」の3つに分類しています。このうち、一般用電気工作物以外の2つを事業用電気工作物と呼び、工事・維持・運営には電気主任技術者の監督が必要とされています。

・電気設備に関する技術基準を定める省令(電気設備技術基準)
電気事業法は、電気の基本を定めた法律であり、技術的な詳細については定めていません。そのため、電気事業法に基づいた省令として、電気設備技術基準(通称「電技」)によって技術的な基本ルールが定められています。

・電気設備技術基準の解釈
「電技」の詳細をより具体的に定めたものが、電気設備技術基準の解釈(通称「電技解釈」)です。「電技解釈」には法的な強制力はありませんが、守るべきルールとして遵守・運用されています。

・内線規程
構内電気設備について、「電技解釈」をさらに具体的にして、数値などによって基準を示しているものに「内線規程」があります。内線規程は日本電気協会が定めた民間規格であり、構内電気設備の実務では守るべき基本的なルールとなります。

次に、電気設備を取り扱う認定資格である電気主任技術者と電気工事士について説明します。

・電気主任技術者
電気設備の保安監督者の資格として、電気主任技術者があります。電気主任技術者は、電気事業法の定めによって、第一種(全ての電気工作物)、第二種(17万V未満)、第三種(5万V未満)と、扱える設備が電圧によって区分されています。

・電気工事士
電気設備を工事するための資格として、電気工事士があります。電気工事士は、電気工事士法の定めによって、第一種電気工事士は500kW未満の変電設備を持つ建物の工事に従事でき、第二種電気工事士は変電設備を持たない小規模な建物の工事に従事できるとされています。

この他、自家用電気工作物に限り従事できる、認定電気従事者という資格もあります。一方、電気設備を設計するための資格は、特に定められていません。一般的には建築士が設計することが多いものの、大規模な建物(5,000平方m以上)を除けば、電気設備は誰でも設計できることになっています。このように規格やルールの体系が複雑であることが、電気設備は専門家でないと分からないとされる理由の一つかもしれません。

いかがでしたか? 今回は、電気設備について、その分類と特徴、それに関わる法令や資格を解説しました。次回は、需要家が利用するための受変電設備を説明します。お楽しみに!

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