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電気設備とは:電気設備の基礎知識1

電気設備の基礎知識

更新日:2018年12月21日(初回投稿)
著者:有限会社テクノツー 代表取締役 磯野 信雄

日常生活においても、モノづくりの現場においても、電気は最も重要なエネルギー源です。発電所で作られた電気は、変電所を経由しながら送電線で、家庭や工場などの事業所に運ばれます。この基礎知識では、工場における電気設備の基本を解説していきます。初回となる今回は、電気設備の役割や工場で用いられる電気設備の種類、電気設備を学ぶ上での注意点について説明します。

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1. 電気の役割

電気の研究が大きく進んだのは、19世紀前半です。19世紀後半には、欧州や米国で発電や送電の仕組みが発案され、発電機、蛍光灯、無線機、蓄音機、電球などが発明されました。日本では、1878年3月25日に東京の工部大学校(東京大学工学部の前身の一つ)で、初めて電灯が点灯されました。毎年3月25日の電気記念日は、これが由来となっています。東京の銀座や大阪の街路灯が、ガス灯から電気を使ったアーク灯に変わり、発電事業者が設立され、照明や動力源として電気の利用が普及しました。

最初の電気の役割は、照明でした。電気の照明は、スイッチ1つで簡単にオン・オフが可能です。この特徴を生かし、電気制御が開発されました。エレベーター、エスカレーター、電気鉄道、ラジオ放送と、次々に電気を活用した製品ができ、産業の高度化につながりました。今日の日常生活もビジネスも、電気がないと機能しません。電気は安定したインフラなので、停電が起きて初めて、その大切さに気付きます。

2. 工場で用いられる電気設備の種類

工場は、発電所で作られた電気を高圧で受電し、変電して低圧にしてから、各電気設備へと供給します。受電方式には、高圧電路受電方式と、低圧電路受電方式の2種類があります。

・高圧電路受電方式

工場の受電設備は、電力会社から高圧電源6,600Vを受電し、工場内で低圧電源に変圧します。大規模事業場の中には電力会社から特別高圧で受電し、所内で高圧に変電して低圧電源を受電している事業場もあります。

・低圧電路受電方式

低圧電路の電気方式には、単相と3相があります(図1)。前者は家庭用、後者は大きな電力が必要な工場や事業所用です。変圧器(トランス)で変圧された低圧電源は、単相2線式で、これは単相専用電源です。単相3線式電源は上の線(R相)と中の線(S相)、および中の線(S相)と下の線(T相)が100V電源、上の線(R相)と下の線(T相)間電圧がAC200V電源です。単相3線式電源は、同一配線の中でAC100V、AC200Vが受電できる電源で、電灯盤とも呼ばれています。従来、家庭用電源は単相2線式(AC100V)の受電でしたが、近年単相3線式受電方式を採用する大型マンションが増加傾向にあります。AC200Vを使用することで省エネになり、電気の効率化が図られます。三相3線式は、工場や事業所でよく使われており、各線間の電圧がAC200Vと高くなっています。これは、電動機の起動電源として使用され、動力盤と呼ばれています。各配電方式の中で中性線(S相)はアースが取られています。

図1:低圧電路の電気方式

図1:低圧電路の電気方式

・直流と交流

電気には、直流と交流があります。直流は、電気の流れる方向や大きさが変わりません。記号はDC(Direct Current)が用いられます。乾電池や蓄電池、直流発電機から発生する電気は、直流です。交流とは、電気の流れる方向や大きさが一定の時間的周期ごとに変化するもので、記号はAC(Alternate Current)が用いられます。家庭や工場に電力会社から送電されている電気は、交流です。

図2:直流と交流

図2:直流と交流

・周波数

交流の場合、1秒間に繰り返される同一波形の数を周波数といい、単位はヘルツ(Hz)です。電力会社から送電される日本の電気は、静岡県の富士川を境にして東側が50Hz、西側が60Hzの周波数となっています。1895年に東京電灯の浅草発電所の操業が開始されました。このとき使用したドイツAEG製の発電機が50Hzだったので、東日本の標準が50Hzとなりました。1897年に大阪電灯がアメリカGE製の発電機を増設しました。この発電機が60Hzだったので、西日本の標準が60Hzとなりました。当時は、地域により周波数が違っても、特に問題ありませんでした。周波数を統一するには、発電所や変電所などの設備を変更しなければなりません。莫大な費用がかかるので、電気の周波数は統一されていません。

東日本大震災の直後から翌年まで、全国的に電気供給能力が不足する事態となり、電力会社同士で電気の融通が実施されました。電気の周波数が同一の地域の場合、電力融通は特に問題なかったのですが、周波数が違う地域の場合は、3カ所の周波数変換所で周波数を修正する必要があります。周波数変換は1日当たり100万kWが限界で、周波数が違う地域間の電力融通は限界がありました。

・電力、電力量

電力は、電源が回路に毎秒当たり供給するエネルギーです。電圧と電流の積で、記号はPです。電圧の単位はボルト(V)、電流の単位をアンペア(A)で、電力の単位はワット(W)またはボルトアンペア(VA)です。電力量は、電力と時間の積です。単位はジュール(J)か、ワット秒(Ws)が使われます。実用的にはワット時(Wh)やキロワット時(kWh)が用いられています。

・電圧の区分

電気は直流(DC)と交流(AC)があり、電圧の種別は、経済産業省電気設備に関する技術基準を定める省令(電技省令)により、電圧の大きさごとに低圧、高圧、特別高圧の3種類に分けられています(表1)。

表1:電圧の種別(電技省令第2条)

表1:電圧の種別(電技省令第2条)

3. 電気設備を学ぶ上での注意点

電気は、正しく取り扱い、電気災害を起こさないことが重要です。電気は目に見えません。不意に接触すると感電の危険性があります。交流100Vでも死亡災害の例があります。低圧だから大丈夫と先入観は持たないようにして、正しい知識を持った電気設備取り扱い資格者が対応しましょう。

・電気工事士資格

電気工事士の資格には、電気工事士法に基づく国家資格が2つあります。1つは、低圧電気を扱う第2種電気工事士国家資格。もう1つは、高圧電気を扱う第1種電気工事士国家資格。この2種の資格所有者が、電圧範囲の工事を行うことができます。労働安全衛生法で電気を取り扱うには、労働安全衛生規則第36条就業制限業務資格者教育を受講して、業務を実施することになっています。

・電気災害の状況

電気が原因で起きる災害は、感電、やけど、電気設備が点火源となり起きる火災・爆発、電気設備の異常運転による機器の損傷などがあります。厚生労働省の平成29年度労働災害発生状況の分析等によると、感電事故は、平成29年は死傷災害81件(うち、死亡災害9件)、平成28年は死傷災害99件(うち、死亡災害11件)も起きています。感電の事故は、他の事故に比べて、命に関わる危険が高いことが分かります。

・電気作業の留意点

電気作業を実施する際には、3つの留意点があります。具体的には、活線や死線を確認すること、活線作業を安易に行わないこと、活線近接作業の防護することです。

1:活線や死線を確認

電路の工事を行う時には検電ドライバ、テスターで電路の活線や死線を確認して作業に入ります。配線用遮断器には機械番号を記載し、付近の機器と間違えないようにしましょう。作業中は通電禁止札を掛けます。

2:活線作業を安易に行わない

電気工事や修理を行うときに、活線作業は原則行わないようにします。工事の10日~半月前くらいから対象部署と電気工事作業時間を調整し、停電作業を実施するようにします。事前打ち合わせなしに突然電気工事に入った場合は活線作業になるので、感電災害が発生する可能性があります。

3:活線近接作業の防護

作業する電路は死線作業を行っていても、周囲に活線部があると感電災害になる可能性があるので、周囲を絶縁覆いで防護して、感電災害防止を図ることが必要です。

いかがでしたか? 今回は、電気設備の役割や工場で用いられる電気設備の種類、電気設備を学ぶ上で必要なことについて解説しました。次回は、シーケンス制御や電気図記号を学んでいきましょう。お楽しみに!

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