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土木計画学(=インフラ政策学)における最適化の思想:土木計画学の基礎知識2

土木計画学の基礎知識

更新日:2021年11月16日(初回投稿)
著者:京都大学 大学院 都市社会工学専攻 教授 藤井 聡

前回は、土木計画学とは、すなわちインフラ政策学であるということを解説しました。今回は、前回の内容をもう少し掘り下げ、土木計画学とはインフラ政策学における最適化であるという考え方について取り上げます。

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1. 土木の最大の特徴は「俯瞰」「鳥瞰」である

前回解説したように、土木とは、私たちの社会共同体の存続と改善を計画してインフラを整えていく取り組みです。このため、必然的に社会共同体の全体を見据える視点が不可欠となります。これが、建物をつくる「建築」や機械・機器をつくる「工業生産」、さらにはお金の流れる仕組みである「経済」、娯楽や嗜好(しこう)を考える「芸術」といった取り組みと大いに異なる点です。これらの取り組みは、いずれも人間の営みの一側面を捉えるものである一方、土木は人間の環境(surroundings)、つまり、人間を取り囲む全ての物事を整える取り組みであり、常に全ての物事を捉えようとする心の働きが必要となります。

従って、土木の最大の特徴は、全体を俯瞰(ふかん:上の方から下の方を見渡すこと)しようとする意識、あるいは鳥瞰(ちょうかん:鳥のように高い所から広い範囲を一目で観察すること)的な視点からのまなざしがあるということです。

2. 土木計画(=インフラ政策)には、必ずトレードオフがある

土木の取り組みは、ひと言でいえば「街づくり」や「国づくり」、「地域づくり」と言い換えることができます。そうした取り組みには必ず俯瞰的、鳥瞰的な視点が必要です。逆に、そうした視点がなければ、必ずどこかで不具合が生じてしまうことになります。

例えば、経済のことだけを考えて街をつくれば、文化や社会の視点がお座なりになり、人々は幸せに暮らしていけなくなります。逆に、文化のことだけを考えて街をつくると、経済の視点がおろそかになり、それもまた人々を不幸にしてしまいます。こうした問題は、一般にトレードオフといわれます。つまり、あちらを立てればこちらが立たず、こちらを立てればあちらが立たず、という関係です(図1)。

図1:トレードオフの関係

図1:トレードオフの関係

もちろん、トレードオフをうまく回避し、あらゆる側面で100点満点を目指すのが当然です。それが可能なケースを、しばしば私たちはウィン・ウィンといいます。しかし、実際は現実的な制約条件によってうまくいかない場合がほとんどです。例えば、車幅が限られた道路の利用方法を考える時、車道を広げれば歩道は狭くなり、歩道を広げれば車道は狭くなります。従って、時間や空間、あるいは各種の資源が全て限られているという制約条件下で展開される土木計画・インフラ政策では、あらゆる側面を見据える俯瞰的な視野を持たねばならないために、どうしてもさまざまなトレードオフが含まれてしまいます。

3. トレードオフも見据えつつ最善を目指す(=最適化)

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

4. 制約条件と目的関数が規定する最適化のかたち

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