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内部告発とは:技術者倫理の基礎知識5

技術者倫理の基礎知識

更新日:2018年8月22日(初回投稿)
著者:東京農工大学大学院 工学府産業技術専攻 教授 北原 義典

前回は、製造物責任について解説しました。今回のテーマは、内部告発という少しシビアな内容です。皆さんは、内部通報と内部告発の違いを知っていますか? 転ばぬ先のつえとして、技術者も内部告発というものについて、またその実態を知っておくことが重要です。

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1. アッシュの実験

私たちは、周囲の人間の大多数が同じ行動をとると、不本意ながらもそれに合わせた行動をとってしまうことがあります。これを、同調行動といいます。特に長年組織に属していると、いつしか大きな抵抗感なく、周囲と同調した行動をとるようになります。

アメリカの心理学者ソロモン・アッシュが、1950年代に発表した有名な実験を紹介します。図1を見てください。机の上に置かれた左側の紙には、1本の線分Xが描かれています。右側の紙には、A、B、Cの線分3本が描かれています。このうち線分Bだけが、Xと同じ長さです。7名の参加者が、線分A、B、Cのうち、Xと同じ長さだと思うものを順に答える、非常に簡単な実験です。

図1:ソロモン・アッシュの実験

図1:ソロモン・アッシュの実験

種明かしをすると、実験参加者のうち、6名はサクラです。本当の被験者は、最後に回答の順番が回ってくる1名のみです。6名のサクラは、Xとは明らかに長さの違うCと答えるように、あらかじめ指示されています。実験が始まると、6名のサクラは事前の約束通り、質問に対し次々とCと答えていきます。さて、最後の7人目(本当の被験者)は、何と答えたでしょうか? 多くが正解のBではなく、Cと答えました。アッシュが行ったこの実験は123名に行われ、94名(76%)が、正解とは異なる線分を選んだと報告されています。

2. 組織の論理とジレンマ

技術者の多くは、企業や研究機関などの組織に所属しています。併せて外部委員会や学協会、ビジネス業界などに属している場合も多いでしょう。こうした組織には大なり小なり、独自の組織文化が存在しています。例えば、組織員が上層部にきちんと従う文化、時間を守らない文化、横並び意識が強い文化など、いろいろあるでしょう。強い倫理観が問われる外部委員会や学協会でも、古くからの慣例や暗黙の了解があるかもしれません。こういった不文律の制限や独自の哲学が、いわゆる組織の論理を形成しています。

技術者は、組織に属している期間が長くなるにつれ、築いてきた人間関係、歩んできたキャリア、組織内教育などの影響により、組織の論理に違和感を抱かなくなります。このような状況で、組織の一部や全体が倫理に反する行動をとった場合、技術者は、自己の倫理意識とのはざまで葛藤し、苦しむことがあります。同調行動、人間関係、忖度、守秘義務を含む組織の論理と、個人の倫理とのジレンマです(図2)。昨今の政界や行政、スポーツ界を揺るがせた不祥事でも、組織の論理とのジレンマ状態に陥った担当者が、組織の論理に屈服し、一般社会の倫理に反した行為に走ったように感じられます。

図2:組織に属する技術者のジレンマ

図2:組織に属する技術者のジレンマ

3. 内部通報と内部告発の違い

組織の論理と個人の倫理のジレンマを解消するには、2つの方法があります。それは、内部通報と内部告発です。内部通報は、自分が所属する組織内の不正を、組織内に設置されたコンプライアンス窓口などに通報することです。匿名で通報できたり、最近ではCSR(企業の社会的責任)の一環として、外部に窓口を設け、積極的に通報を受け付けている企業も増えています。

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4. 内部告発の事例から分かる実態

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