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PEI(ポリエーテルイミド)、PAI(ポリアミドイミド)、TPI(熱可塑性ポリイミド)、SPS(シンジオタクチックポリスチレン):エンジニアリングプラスチックの基礎知識8

エンジニアリングプラスチックの基礎知識

更新日:2017年4月26日(初回投稿)
著者:安田ポリマーリサーチ研究所 所長 安田 武夫

前回は、スーパーエンプラのPSU(ポリスルホン)、PES(ポリエーテルスルホン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)を紹介しました。今回は最終回です。スーパーエンプラのPEI(ポリエーテルイミド)、PAI(ポリアミドイミド)、TPI(熱可塑性ポリイミド)、SPS(シンジオタクチックポリスチレン)の概要と用途を解説します。

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1. PEI(ポリエーテルイミド)

PEI(ポリエーテルイミド)は、優れた耐熱性と強度を持つイミド基(-CONHCO-)と、良好な加工性を持つエーテル基(-O-)を併せ持つ、非晶性のスーパーエンプラです。高機能で優れた加工性を有し、射出成形が可能です。1980年代に米国のGE社(現SABICイノベーティブプラスチックス)が開発しました。高い強度と剛性を備え、透明と不透明の非強化グレード、およびGF(ガラス繊維)強化グレードも提供されています。さらに、高い耐熱性、幅広い耐薬品性のほか、弾性率の要求にも対応できます。このような特徴を生かし、航空機、電気・電子、自動車、その他医療・食品などの幅広い用途分野で使用されています(表1)。

表1:PEI(ポリエーテルイミド)の用途例
分野用途例
自動車分野トランスミッションバルブ類、スピードセンサ部品、ヘッドランプ・リフレクタ、イグニッション部品、ベアリングリテーナ、スロットルボディ、車載用スピーカー振動板
電気・電子分野コイルボビン、コネクタ、プリント基板、バーンインソケット、ブレーカー部品、プロジェクタ・レンズ・ホルダ
航空機分野照明器具、電気機械部品、シートベルトバックル、機内食用トレイ・食器、エンジン部品
家電製品ヘアドレッサー部品、アイロン部品
その他電子レンジ部品・食器、医療機器、フィルム、押出製品、コンポジット材料

 PEI(ポリエーテルイミド)の用途代表例と採用理由

・スロットルボディ(自動車)
スロットルボディは、スロットルバルブを備えた吸気経路です。アクセルペダルに連動してキャブレタに入る空気量をコントロールします。PEI(ポリエーテルイミド)の優れた耐熱性、耐薬品性などが生かされています。

・車載用スピーカー振動板(自動車)
以前、スピーカー振動板には、コーン紙が使われていました。最近ではプラスチック製のものが多くなり、フィルムを成形して、振動板に用いる場合、高い比率でPEI(ポリエーテルイミド)が使われます。PEIのフィルムは、圧空成形などにより製造されます。他の成形法と比べ高品質で信頼性に優れ、ほぼ均一な厚みでの成形が可能です。また、形状がシャープで、複数の成形法を用いることで、今までは不可能だった形状が成形可能となります。色の選択も自由です。

・バーンインソケット(電気・電子)
IC(集積回路:Integrated Circuit)パッケージのバーンイン試験(電子機器の検体を、温度と電圧で加熱し劣化を加速させ、初期不良を事前に取り除く試験)に使用するソケットです。温度ストレスに耐えることのできるPEI(ポリエーテルイミド)やPES(ポリエーテルスルホン)などが使用されています。

・プロジェクタのレンズホルダ(産業機械)
プロジェクタは、講演などでは欠かせない機器です。レンズホルダにはPEI(ポリエーテルイミド)が使用されています。PEIの透明性や耐熱性などが生かされています。

・航空機用部品(航空機)
最近、注目を集めている3Dプリンタを使い、PEI(ポリエーテルイミド)を材料として、部品を成形します。3Dプリンタは、金型を使わずに迅速かつ低コストで、部品を試作できる有効なツールです。生産ロットが少ない部品の場合、そのまま実機で使用されることもあります。

日本のPEI(ポリエーテルイミド)の供給メーカー

日本のPEI(ポリエーテルイミド)の供給メーカーは、SABICジャパン合同会社の1社です。

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2. PAI(ポリアミドイミド)

PAI(ポリアミドイミド)は、芳香族トリカルボン酸無水物と、2種類以上の芳香族ジアミンから製造される成形性に優れたスーパーエンプラです。PAIは、優れた耐熱性と強度を持つイミド基(-CONHCO-)に、柔軟なアミド基(-CONH-)を導入することにより、成形性が向上しています。

PAIは1970年に米国のアモコ社(現ソルベイスペシャルティポリマーズ社)により開発されました。PI(ポリイミド)特有の耐熱老化性を有し、粘り強い性質を示します。また、引っ張り強さ、曲げ強さ、衝撃強さに大変優れているだけでなく、圧縮強さと寸法安定性は他に類を見ないほどです。このような特徴を生かし、航空機や自動車、OA機器、工業機械などの部品に使用されています(表2)。

表2:PAI(ポリアミドイミド)の用途例
分野用途例
電気・電子分野スイッチ、コネクタ、バーンインソケット、複写機部品(紙分離爪、プリンタガイド)
自動車分野シールリング、スラストワッシャ、エンジン部品、トランスミッション部品、ベアリング
機械分野ベアリング、ギア、ローラ、ピストンリング、バルブシート、油圧ピストン、ファスナー、搬送用ベルト、シール
宇宙・航空分野ジェットエンジン部品、パワーコントロールユニット部品、ロケットエンジン部品、ブッシング
その他めっき装置用部品、原子力関連部品など

 PAI(ポリアミドイミド)の用途代表例と採用理由

・ファスナー(輸送機器)
航空機、列車、船舶などの床の固定や、内装品の取り付けに使用されます。PAI(ポリアミドイミド)の高い強度と伸び、耐薬品性などの特徴が生かされています。取り付け作業中でも金属表面を傷付けず、長期間使用しても腐食しません。

・シールリングとスラストワッシャ(輸送機器)
軍用機や自動車のトランスミッション、オフハイウェイ車両などに使用するシールリング、スラストワッシャです。PAI(ポリアミドイミド)が持つ優れた強じん性、熱特性、耐薬品性、しゅう動性により、長寿命化の実現が可能です。PAI材料は射出成形ができるため、金属材料と比べ、容易かつ経済的に製造できます。

・ベアリング(産業機械)
PAI(ポリアミドイミド)は、高PV値(作動限界を表す値)のベアリング(軸受)に使用されます。特に、高速動作が必要なベアリングには、PAIのしゅう動性グレードが適しています。金属製または金属・樹脂製ベアリングと比べ、低価格での製造が可能です。低摩耗率と低摩擦率を兼ね備え、機械特性に優れているため、潤滑剤の適用有無に関わらず、長期間性能を維持します。

・搬送用ベルト(産業機械)
工場の製造ラインで、部品や製品などを搬送するベルトです。PAI(ポリアミドイミド)の耐疲労性、高強度、高剛性、寸法安定性、耐薬品性、耐クリープ性が生かされています。

・各種ギア(産業機械)
ギアは、さまざまな機器を駆動するために不可欠な部品です。PAI(ポリアミドイミド)は機械的強度が高く、高い負荷にも耐えられます。PAIの耐疲労性、高強度、高剛性、寸法安定性、耐薬品性、耐クリープ性が生かされています。また、ノイズも低減します。

日本のPAI(ポリアミドイミド)の供給メーカー

日本のPAI(ポリアミドイミド)の供給メーカーは、ソルベイスペシャルティポリマーズジャパンと三菱ガス化学の2社です。

3. TPI(熱可塑性ポリイミド)

TPI(熱可塑性ポリイミド)は、耐熱性、高強度など、熱硬化性ポリイミド本来の優れた性能を損なうことなく、加工性に優れた全芳香族ポリイミドとして開発されたスーパーエンプラです。1980年代後半に、三井東圧化学(現三井化学)が市販を開始しました。

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

4. SPS(シンジオタクチックポリスチレン)

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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