ロックアウト・タグアウトとは:工場安全対策の基礎知識5
投稿日:
- 2018年03月30日
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カテゴリ:
- 基礎知識
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前回は、工場における工事の安全対策を解説しました。今回は、発生件数が多い挟まれ・巻き込まれ事故の防止策を取り上げます。設備の清掃・保守・点検などの作業中に、確実に設備を止める方法として、ロックアウト・タグアウトをご紹介します。
1. 挟まれ・巻き込まれ事故の防止策
厚生労働省の労働災害の統計(2016年)によると、挟まれ・巻き込まれ事故は、死傷災害の発生件数で第4位(14,136人が死傷)でした(参照:第1回)。前年の2015年(図1)でも、挟まれ・巻き込まれ事故は第3位(14,513人)でした。挟まれ・巻き込まれ事故は、労働災害の死傷事故の中でも、発生件数が多い事故です。
これらの事故は、設備の清掃・保守・点検・調整・設定などの作業中に多く発生しています。その原因は、止めたはずの設備の思わぬ作動にあります。想定外の設備の作動を完全に防ぐことができれば、挟まれ・巻き込まれ事故の件数を大幅に減少できます。想定外の設備作動を防ぐ方策として、エネルギー源の確認、電源・圧力エネルギーを遮断するロックアウト・タグアウト、遮断の確認、グループロックの4つを説明します。
2. エネルギー源の確認
想定外の設備作動を防止するには、エネルギー源を断つ必要があります。多くの設備のエネルギー源は、電気です。大きな設備では、電源が複数あることも多く、全てを遮断する必要があります。また、電気以外のエネルギー源がある場合、遮断の確認が抜けないように特に注意しなくてはいけません。
袋詰め装置の保守・点検時の話です。担当者が事前に電源を遮断して装置内に入り、作業を開始しました。しかし、しばらくするとエアシリンダが突然作動し、身体を挟まれてしまいました。原因は、計装空気(空気圧で測定装置や制御装置を制御するための空気)がエアシリンダに入り込んだためです。この装置では、計装空気の圧力もエネルギー源でした。容器に残った圧縮ガスや液化ガスも、エネルギー源となるので注意してください。
電気以外のエネルギー源と同時に、複数存在する電源にも気を付けましょう。設備の中に身体の一部を入れて作業する場合は、事前に図面や仕様書で、設備や装置にどのようなエネルギー源があるかを確かめます。確実に全てを遮断することが大切です。
3. ロックアウト・タグアウト
電気がエネルギー源である場合は、電源を切ることでエネルギーを遮断します。一般家庭でも、電球の交換など、電気器具に作業を施す場合は、コンセントを抜いたり、スイッチを切って作業をします。工場で作業をする場合は、それだけでは十分とはいえません。複数人で作業することもあるので、誰かが作業中であることに気付かずに、電源を入れてしまう可能性があります。ここで有効な方策が、ロックアウト・タグアウトです。電源と圧力エネルギーのロックアウト・タグアウトについて説明します。
1:電源の遮断
ロックアウト・タグアウトとは、第三者の介入を防ぎ、電源が遮断された状態を確実に維持できる手法です。作業者が作業をしている間に、それを知らない人が電源を入れてしまわないように、電源に南京錠などで鍵を掛け、タグ(荷札のような紙片)に自分の名前、作業内容、予想作業時間などを記入し、南京錠などにつるしておきます(図2)。大きな化学工場では、各設備に電気を供給するモータ・コントロール・センター(MCC)があり、電源供給盤にブレーカーが付いています。最近のブレーカーには、南京錠を直接掛けられる構造が増えています。そうでない場合は、後付けの器具を使用して南京錠とタグを掛けます。南京錠の鍵は作業者自身が保管します。こうしておけば、その作業者が作業をしている間は、誰も電源を入れることができません。また、タグを見れば誰が鍵を掛けたのか分かるので、電源を入れる必要がある場合には、スケジュールを確認したり、作業者に直接連絡を取ることが可能になります。
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4. 遮断の確認
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5. グループロック
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