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ケークろ過と閉そくろ過:ろ過の基礎知識2

ろ過の基礎知識

更新日:2019年2月26日(初回投稿)
著者:名古屋大学大学院 工学研究科 化学システム工学専攻 准教授 向井 康人

前回は、ろ過の種類と原理、ろ過の基本モデルなどを説明しました。今回は、ケークろ過と閉そくろ過、ろ過の挙動の変化過程を記述する理論モデルを解説します。ケークろ過と閉そくろ過はどう見極めるのか、実際のろ過工程はどう考えるのか学びましょう。

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1. ケークろ過、閉そくろ過とは?

ケークろ過は、ろ材の表面に粒子が堆積するろ過様式で、閉そくろ過は、ろ材の入口や内部で粒子が捕捉されるろ過様式です(図1)。閉そくろ過には、完全閉そく、標準閉そく、中間閉そくの3つの基本モデルが存在します。図1のモデルでは、ろ材を長さ・直径が一様な毛管の集合体と仮定しています。

図1:ケークろ過と閉そくろ過

図1:ケークろ過と閉そくろ過

ケークろ過では、ろ過の進行とともにろ材の表面上にケークと呼ばれる粒子堆積層が形成され、これがろ過抵抗増大の主要因になります。ケーク抵抗の大きさは、ケークを構成する粒子群の質量に比例して増加します。

完全閉そくろ過では、毛管径より粒子径の方が大きい場合に、1個の粒子が1本の毛管入口で捕捉され、その毛管を完全にふさぐと仮定します。このとき、ろ過の進行とともに未閉そくの毛管数が減少し、これに比例してろ過速度が減少します。

標準閉そくろ過では、毛管径より粒子径の方が小さい場合に、毛管内壁に一様に粒子が付着して毛管の内径が減少すると仮定します。このとき、ろ過の進行とともに付着した粒子の量に応じて毛管の内容積が減少し、これに伴いろ過速度が減少します。

中間閉そくろ過は、完全閉そくろ過に似ており、完全閉そくでは毛管を閉そくする確率は一定と仮定するのに対し、中間閉そくでは未閉そくの毛管数に比例して毛管の閉そく確率が減少すると仮定します。完全閉そくでは、粒子が毛管の数と同じだけろ材面上に運ばれたとき、全ての毛管が塞がれてろ過速度が0になります。中間閉そくでは、閉そくの進行に伴い毛管数の減少の仕方が次第に緩やかになり、ろ過速度は0に徐々に近づく傾向を示します。中間閉そくは、完全閉そくより現実的なモデルです。

2. ケークろ過理論

前回、下記のろ過の基本モデル式が与えられることを説明しました。ろ過速度q(m/s)、ろ過圧力Δp(Pa)、ろ液粘度μ(Pa・s)、ろ過抵抗R(1/m)からなり、Rはろ材そのものの抵抗Rm、ろ材の閉そくによる抵抗Rb、ケーク層の増加による抵抗Rcの和で表されます。

ケークろ過の過程を分かりやすくモデル化したのが、ルースのケークろ過モデルです。ケークろ過では、時間の経過とともに、ケーク層の堆積によるろ過抵抗の増加のため、次第にろ過速度が緩やかになります。ここでは、そのルースのろ過モデルを解説します。まず、ケークの形成のみを考慮し、閉そくの影響は考慮しない式を立てます。ろ過の基本モデルにおいて閉そく抵抗を無視した場合、次の式が成り立ちます。

ケーク抵抗Rcは、単位ろ過面積当たりのケーク内の固体分質量w(kg/m2)(ケークの成長に伴い増大)に比例します。さらに、ろ材抵抗Rmについても、ろ材をそれと等価な仮想ケークに置き換えて考えると、同様に仮想ケーク内の固体分質量wm(kg/m2)(ろ過期間中一定)に比例します。比例係数をαav(m/kg)と置くと、次式が得られます。

αavは単に比例係数ではなく、平均ろ過比抵抗と呼ばれるケークの重要な特性値です。これについては、次回に詳しく解説します。実際の操作における測定を考慮すると、ケークとして堆積する固体量の変化を追うのは難しく、流出するろ液量の変化は容易に測定できます。そこで、単位ろ過面積当たりのケーク固体質量w(kg/m2)と単位ろ過面積当たりのろ液量v(m3/m2)、ならびに仮想ケーク固体質量wm(kg/m2)と仮想ろ液量vm(m3/m2)の関係から、次式が成り立ちます。

ここで、ρ(kg/m3)はろ液密度、sは試料液の固体濃度(質量分率)、mはケークの湿乾質量比(湿潤ケークと乾燥ケークの質量比)です。この式は、試料液質量(w/s)=湿潤ケーク質量(mw)+ろ液質量(ρv)という物質収支より導かれます。以上のRc、Rm、w、wmを、式1に代入すると、次式になります。

この式はろ材の影響を加味しているので、ろ過圧力Δpはケークの圧力損失Δpcとろ材の圧力損失Δpmの和(Δp=Δpc+Δpm)を意味し、ろ液量も(v+vm)で与えられています。一方、ケークの部分だけに着目すると、次のように書き改められます。

1:定圧ろ過

定圧ろ過の条件下での理論を考えていきます。式2において、ろ過速度qをろ液量の時間微分q=dv/dtで表し、ろ過圧力Δpが一定の条件下で、ろ液量vを時間tで積分します。定圧条件下ではαavはろ過期間中一定と見なすことができるので、次式が容易に導かれます。

この式より、定圧ろ過ではろ液量と時間との関係が放物線で表されます。なお、tmはvmを得るのに要する仮想ろ過時間です。K(m2/s)は定圧ろ過係数と呼ばれ、ろ過速度の大きさの指標となる値です。式4を微分すると、次式が得られます。

すなわち、ろ過速度の逆数(dt/dv)とろ液量vとは直線関係を示します。なお、式5は式2の両辺を逆数で表した式でもあります。また、式4を展開してvm2=Ktmの関係を用いて整理すると、次式となります。

グラフにすると、総括的なろ過速度の逆数(t/v)とろ液量vの関係は直線で表すことができます。図2は、定圧ろ過におけるdt/dv対vおよびt/v対vのグラフの一例です。2つのプロットは同じろ過データから得たものです。いずれも直線関係を示し、dt/dv対vの傾きはt/v対vの傾きの2倍になります。その傾きからKの値が2.72×10-6(m2/s)と算出されます。このプロット法はルースプロットと呼ばれ、定圧ろ過データの整理法として有効です。異なる定圧ろ過データをルースプロットで比較するときは、縦軸がろ過速度の逆数であることに注意しなければなりません。すなわち、ろ過速度が大きいほど傾きは緩やかになり、ろ過速度が小さいほど傾きは急になります。

図2:定圧ろ過のプロット法

図2:定圧ろ過のプロット法

2:定速ろ過

次は、定速ろ過の条件下での理論を考えていきます。ろ過速度qが一定の条件で行う定速ろ過では、時間の経過とともにろ過圧力Δpが増加します。式3を変形し、v=qtの関係を代入すると、次式になります。

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

3. 閉そくろ過理論

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4. ケークろ過と閉そくろ過の見極め方

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5. その他の閉そくろ過

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