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ケークろ過の解析と評価:ろ過の基礎知識3

ろ過の基礎知識

更新日:2019年3月20日(初回投稿)
著者:名古屋大学大学院 工学研究科 化学システム工学専攻 准教授 向井 康人

前回は、ケークろ過過程を記述する理論モデルとして、定圧ろ過と定速ろ過の各モデルを説明しました。今回は、これらのモデルを活用し、ケークろ過特性を理解する上で必要不可欠なケーク構造の解析方法について、詳しく解説します。まずは、ケークろ過のデータ解析方法から見ていきます。

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1. ケークろ過のデータ解析方法

ケークろ過のデータ解析方法を説明する前に、まずは、前回解説した定圧ろ過モデルと定速ろ過モデルをおさらいします。

定圧ろ過モデル

定速ろ過モデル

次に、ケークろ過データのプロット法を見てみましょう。図1は、定圧ろ過のプロット法と定速ろ過のプロット法です。

図1:ケークろ過のプロット法

図1:ケークろ過のプロット法

定圧ろ過では、時間とともにろ液の流れ方が緩やかになるので、ろ液量の経時変化を測定します。ろ液を受け取る容器を電子てんびんの上に載せて、ろ液重量Wf(kg)対ろ過時間t(s)のデータを取るのが簡便です。ろ液重量Wfの値をろ液密度ρ(kg/m3)、ろ過面積A(m2)の値を用いて単位ろ過面積当たりのろ液量v(m3/m2)=Wf/(ρA)に変換します。式1に基づくろ過速度の逆数dt/dv対v、もしくは式2に基づく総括的なろ過速度の逆数t/v対vのデータを図示します。dt/dv対vについては、dt/dv≓Δt/Δvと考え、(ti+1-ti)/(vi+1-vi)を(vi+1+vi)/2に対してプロットすれば図示できます。t/v対vについては、普通にti/viをviに対してプロットすれば結構です。式1、式2が示すように、ケーク形成が理想的に進行すれば、図1の定圧ろ過のグラフのようにきれいな直線関係を示します。総括値t/vのプロットは、計算がしやすく比較的きれいな直線のグラフになります。微分値dt/dvのプロットは、ろ過の途中で何かが起こったときその変化が即座に検出されます。

定速ろ過では、時間とともにろ過器内の圧力Δp(Pa)が増加します。そこで、Δp-Δpm対tのデータを測定し、両対数軸でプロットすると、図1の定速ろ過のグラフのように直線関係を示します。詳しくは後述します。

2. ケークの圧縮性と構造

ケーク層は一般に圧縮性を示し、その構造は均質ではありません。図2は圧縮性ケークの内部状態です。ろ液は右から左に流れています。ろ液はケーク層内の粒子間隙の抵抗を受けながら透過するため、液圧ΔpLはろ材に近づくにつれて減少します。一方、ケーク内の粒子はその抵抗に相当する圧縮圧力を受けるため、圧縮圧力Δpsはろ材に近づくにつれて増大し、ΔpL+Δps=Δpの関係が保たれます。その結果、ケーク表面付近は湿潤で、ろ材に近づくにつれて緻密化し、ケークの空隙率は減少し、ろ過比抵抗は増大します。

図2:圧縮性ケークの内部状態

図2:圧縮性ケークの内部状態

ろ過圧力Δpを増加させると、ケーク内の各粒子にかかる圧縮圧力は増大し、結果としてケークの総括的特性値である平均空隙率εavは減少し、平均ろ過比抵抗αavは増大します(αavの定義は第2回を参照)。このαavの圧力依存性は、一般に次の実験式で近似できるといわれています。

ここで、α1とnは定数、特に指数nは圧縮性指数と呼ばれ、ケークの圧縮性の指標となる値です。式3に式4を代入して整理すると、定速ろ過式が次のように与えられます。

Δp-Δpm対tの両対数プロットは直線関係を示すと前に述べました。この式からそれを理解することができます。

3. ろ過比抵抗の評価方法

ケークろ過では、ろ材面上に形成されるケークがろ過性能を本質的に支配します。従って、その特性を明らかにすることが、ろ過プロセスを設計する上で極めて重要となります。これ以降は、基本的なケーク特性値である平均ろ過比抵抗αav、平均空隙率εav、圧縮性指数nの測定・評価方法について解説していきます。

平均ろ過比抵抗αavは、ろ過の難しさの指標となる値であり、1011m/kg程度までならろ過性は高く、1012~1013m/kg程度は中程度のろ過性、1013m/kg以上は難ろ過性と判断することができます。

平均ろ過比抵抗αavは、定圧ろ過の実験データにより容易に求めることができます。式1もしくは、式2が示すように、dt/dv対vをプロットすると傾き2/Kの直線が、t/v対vをプロットすると傾き1/Kの直線がそれぞれ得られます。その傾きの値を次式に代入すれば、αavの値が算出できます。

図1の定圧ろ過について考えましょう。前回も説明したように、直線の傾きから、K=2.72×10-6 m2/sと算出されます。実験条件が、Δp=100kPa、m=1.60、s=0.0100、μ=1.00×10-3Pa・s、ρ=998kg/m3であったとします。これらの値を代入して計算すると、αavの値は、7.25×1012m/kgと求められます。この結果から、この試料のろ過性は中程度であると判断することができます。なお、試料液が希薄な場合には、1–ms≓1と近似しても差し支えありません。例えば、上記のケースでは、1–ms=0.984であり、1と近似しても許容できます。

また、次の方法でもαavの値を見積もることができます。まず、ろ材のみに圧力Δpで水を透過します。次に、所定量の試料液をろ過した後、形成されたケーク層(単位面積当たりの固体分質量w)に圧力Δpで水を透過します。前者と後者の水透過速度をそれぞれq0、q1とすると、次式よりαavが算出できます。

この式は、ケークろ過の基本モデルq=Δp/{μ(Rm+Rc)}と、αavの定義式Rcavwより導かれます。

4. 空隙率の評価方法

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

5. 圧縮性指数の評価方法

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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