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包装の役割と歴史:おいしさ・健康・安全を包む!食品包装の基礎知識1

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更新日:2015年7月10日(初回投稿)
著者:野田治郎技術士事務所 所長 経営工学部門(包装・物流) 野田 治郎

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1.食品における包装の役割

食品の基本は「おいしさ・健康・安全」です。包装はこれを実現するための重要な役割を担っています。具体的には、包装は次の3つの基本的な役割を持っています。

1:おいしさなど、食品の品質を保つ役割

生産から消費までの間に受ける、外力、環境変化から内容物を守ります。

2:流通時や使用時の取り扱いを便利にする役割

荷役、保管、輸送の作業効率の向上および消費にあたっての利便性が求められます。

3:情報提供と販売促進の役割

商品として必要な表示、内容物の説明、商品をアピールするデザインが求められます。

昔の対面販売による量り売りの時代では、包装は持ち運ぶための入れ物でした。現在では、食品の包装は商品の顔となっています。包装が商品の価値を高め、売れる商品を創ると言っても過言ではありません。

図1に革新的な包装により売れる商品となった例を示します。Aは絞り出して出せる軟質ボトルの例、Bは常温保存できるレトルトパウチの例、Cは容器でそのまま食べられるカップ麺の例です

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図1:革新的な包装により売れる商品となった例

次に、売れる商品を創るための包装設計について説明します。
包装を設計するためには、まず、包装する食品の特性、流通条件、使用条件を知ることが必要です。特に、食品の特性を知らずに包装設計すると必ず消費者クレームが来ます。次に、表1に示した要求機能を達成するために、包装形態、包装材料を設計します。

表1:食品包装への要求機能
保護性酸素バリア性、水蒸気バリア性、遮光性、耐熱性、耐寒性、耐酸性、耐油性、包材臭、強度、シール性
使用性開封性、再封性、取り出しやすさ、持ちやすさ、安定性、加熱調理適性、冷蔵庫収納性、適正容量、表示の見易さ
安全衛生性溶出物、使用添加物の安全性、残留溶剤、異物・コンタミ、いたずら防止、使用時のケガ、トレーサビリティー
環境適性省資源、省エネルギー、リサイクル適性、環境汚染物質、分別適性、廃棄時減容性
生産性充填ライン適性、資材コスト、包装経費
適法性食品衛生法、日本農林規格、PL法、計量法、容器包装リサイクル法、知的財産 など

包装は様々な技術の集大成であり、技術の進歩とともに包装も進歩してきました。
包装に関わる技術:材料技術、成形加工技術、印刷技術、包装機械、物流技術、食品加工技術、リサイクル技術 など

また、図2に示した社会環境の変化によって、包装に求められる機能も変化しています。技術の進歩や社会環境の動きを知った上で包装を考えることが、売れる商品創りのために重要となります。

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図2:包装を取り巻く社会環境の変化

2.包装の歴史

食品包装の基礎知識として、包装の大まかな歴史を紹介します。

太古から昭和20年代まで

人類は自給自足の時代から、収穫、生産したものを運んだり貯蔵したりしています。その時の入れ物としては、身近にあるあらゆる材料を使ってきました。例えば、木、竹、皮、土器、わら、縄、筵(むしろ)、俵、籠、木箱、麻袋、樽、桶、布、紙、ガラス、金属などです。その後、商品としての食品の包装には紙、ガラス瓶、金属缶が主に使われました。

昭和30年代:包装の近代化

スーパーマーケットが急成長し、大量生産、大量流通、大量消費が起こりました。対面販売からスーパーマーケット販売方式への転換により、大量の包装需要が発生しました。ちょうど、包装材料としてプラスチックが採用され始めた時期でもあります。小袋、大袋、トレイ、カップ、ボトルなど、様々な形態の容器包装が製品化されました。

さらに、耐熱性、酸素バリア性などの性能の優れたプラスチックが開発され、それに伴い各種の包装技法が確立されました。防湿包装、真空包装、ガス置換包装、ボイル・レトルト包装などです。その結果、保存性が大きく向上しました。

昭和40年代後半~:適正包装化

昭和48年の石油危機により資源不安、資材高騰がおこりました。また、安全性、過剰包装、埋め立て地不足などの問題が次々と発生し、社会問題化しました。それに対し、包装の適正化、安全化、環境対策、公正化などの社会的要望が起こりました。

当時の問題点とその対応を紹介します。

1:安全性への疑問

PCBを含む包装紙・印刷インキが大問題になりました。その後、可塑剤、モノマー、色素、溶剤などの安全性に対する疑問が次から次へと発生しました。安全性への過剰反応、マスコミによる風評被害が起こり、正しいリスク評価が求められるようになりました。

2:ごまかし包装の横行

取引の信義に反した過剰包装や誇大広告的な不正表示が横行し社会問題となりました。

3:包装の高コスト化

販売戦略としての包装が行き過ぎた事例が発生し、包装コストの削減が求められました。包装不要論のような行き過ぎた考えも出てきて、適正包装化が求められました。

4:包装ゴミ公害

廃棄物処理場の不足、プラスチックによる海洋などの環境汚染が問題となりました。「プラスチックは悪」という過激な意見も出て、プラスチックの良さを啓蒙する動きが起こりました。

5:石油危機

石油枯渇、地球温暖化の問題から、省資源、省エネルギーが検討され、適正包装が求められました。

これらの問題への対応として、包装の適正化の考えが出てきました。43年前にまとめられた適正包装の7原則を記しておきます。7原則すべてが、今でも必要とされる内容となっていることがわかります。

適正包装の7原則

商業包装適正判断基準:昭和47年通産省・日本包装技術協会商業包装適正化推進委員会

  • 内容物の保護、品質保全が適切であること
  • 包装材料および容器が安全であること
  • 内容量が適切であり、小売り単位として便利であること
  • 内容品の表示、説明が適切であること
  • 商品以外の空間容積が必要以上に大きくないこと(空間容積率15~20%以下)
  • 包装費が内容品に相応して適切であること(小売価格に対し包装経費15%以下)
  • 省資源および廃棄物処理上適当であること

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