メニュー

応力拡大係数と破壊じん性:破壊工学の基礎知識5

破壊工学の基礎知識

更新日:2018年3月7日(初回投稿)
著者:NDI Japan 代表 谷村 康行

前回は、き裂と強度の関係を示したグリフィスの研究を紹介し、き裂が大きくなる条件を説明しました。今回は、実際に強度部材として使用される材料について、き裂と強度の関係を解説します。

今すぐ、技術資料をダウンロードする!(ログイン)

1. リバティ船の破壊事故

鉄鋼は、実構造物の強度部材として、よく使用されます。鉄鋼を中心とした金属材料では、破壊時に多かれ少なかれ塑性変形が発生します。そのため、金属材料にき裂があったとしても、破壊の原因を弾性力学の応力集中で直接説明することはできません(第3回参照)。しかし、延性材料でも、き裂が急速に進展して破壊することがあります。破壊現象の説明は容易ではありません。この代表的な事例が、リバティ船の破壊事故です。

米国は、第二次世界大戦中に、軍事物資と兵員輸送のため、軍事輸送船(戦時標準船)を大量に建造しました。最大積載量11,000トンの戦時標準船はリバティ船と名付けられ、1941~1945年にかけて、2,710隻が作られました。リバティ船は、それまで主流だった鋼板のリベットによる接合ではなく、溶接が採用されました。

ところが、建造されたリバティ船2,710隻のうち200隻以上で、軍事作戦とは関係ないところでの沈没や、使用できなくなるほどの損傷が発生しました。7隻では、瞬時の折損事故が発生し、中でも1943年1月、港に停泊中だったスケネクタディー号は、真っ二つに割れる事故を起こしています(図1)。

図1:港に停泊中に真っ二つになったリバティ船

図1:港に停泊中に真っ二つになったリバティ船(引用:合衆国政府印刷局、The Design and Methods of Construction of Welded Steel Merchant Vessels、1947年)

2. 応力拡大係数と破壊じん性

太平洋戦争の終戦後、米海軍の研究機関に所属していたジョージ・ランキン・アーウィン(George Rankine Irwin)とジョセフ・A・キース(Joseph A. Kies)は、鉄鋼材料が急速に割れ、破壊に至る現象の解明に乗り出しました。アーウィンらは、グリフィスの研究を受け継いで、延性材料である金属材料のき裂が進展する条件を考えました。グリフィスの研究では、き裂がないとしたときの平均応力をσn、縦弾性係数(ヤング率)をE、材料の表面エネルギーをγSとし、以下の式が成り立つとき、き裂は急速に進展します。

金属材料のき裂が進展する条件

この式は、ぜい性材料には当てはめることができます。しかし、延性材料に対しては、実験結果と大きな差が生じます。原因は、き裂先端で塑性変形が起きることでした。き裂の先端が成長することによる弾性ひずみエネルギーの喪失は、表面エネルギーの増加だけではなく、塑性ひずみエネルギーにも変換されます。塑性ひずみエネルギーは、ずれる変形によるひずみのため、多くは熱になって拡散します。アーウィンらは、グリフィスの式に塑性ひずみエネルギーγpの項を入れることで、延性材料のき裂進展の条件式としました。

延性材料のき裂進展の条件式

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

3. 実験的に求める破壊じん性

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

  • セミナー8月
  • 寄稿募集
  • 基礎知識一覧
  • 販促サイト_海外展示会一覧

ピックアップ記事

tags

  • 特集バナー0717_01
  • 特集バナー0717_02
  • 特集バナー0717_03