メニュー

応力拡大係数の計算方法:破壊工学の基礎知識7

破壊工学の基礎知識

更新日:2018年5月17日(初回投稿)
著者:NDI Japan 代表 谷村 康行

前回は、応力拡大係数と破壊の関係を解説しました。今回は、さまざまな形状の部材で応力拡大係数を求める方法を紹介します。まずは、応力拡大係数の定義と補正係数の考え方から、見ていきましょう。

今すぐ、技術資料をダウンロードする!(ログイン)

1. 応力拡大係数のシンプルな定義と補正係数

前回解説したとおり、き裂がない箇所で引張応力 σがかかるモードIの応力拡大係数 KIは、以下のシンプルな式で表すことができます。

モードIの応力拡大係数

ただし、この式を直接当てはめることができるのは、図1のように、端のない無限に広がる平面板(無限平面)に、長さ2aの貫通き裂がある場合です。

図1:端のない無限平板にあるき裂

図1:端のない無限平板にあるき裂

筆者が破壊力学を学び始めたころ、無限平面にある貫通き裂を具体的にイメージすることができず、先生に質問したことがあります。先生は「あえてイメージするとしたら、高圧ガスの球形タンクにある貫通き裂ですね」と答えてくれました。確かに、球形ガスタンクの外板には端がありません(図2)。

図2:大阪ドーム前の高圧ガスを貯蔵する球形タンク

図2:大阪ドーム前の高圧ガスを貯蔵する球形タンク

地球は球体であっても、私たちの視野からは平面と見なすことができます。同様に、球形ガスタンクの表面も、端のない平面と考えることができます。平面上に存在する数ミリメートルの貫通き裂を、イメージしてみてください。もちろん、高圧ガスタンクにき裂があれば、ガス漏れが生じ、大変危険です。技術体系の本質と具体的な現実は、区別して考えます。

優れた技術体系は、シンプルです。しかし、これを現実に直接適用しようとすると、無理が生じます。技術体系を、具体的な現実に結び付ける架け橋が必要です。この架け橋に当たるのが、応力拡大係数の補正係数 Fです。応力拡大係数の式に補正係数 Fを入れると、以下となります。

応力拡大係数の式に補正係数 Fを入れた式

2. 応力拡大係数ハンドブック

世界中の研究者が、解析的または実験的に、補正係数 Fを求めてきました。補正係数 Fは、さまざまな論文や本に掲載されています。その中で最も権威があるのは、ASTM(旧米国材料試験協会、American Society for Testing and Materials)発刊の応力拡大係数ハンドブック(Stress Intensity Factors Handbook、図3)です。多くの工学系大学の図書館で閲覧することができます。ハンドブックの中から、評価したい部材に近い形を探して、き裂の大きさや、生じている応力の値を代入することで、応力拡大係数Kを求めることができます。

図3:ASTMの応力拡大係数ハンドブック

図3:ASTMの応力拡大係数ハンドブック

3. 応力拡大係数の計算例

応力拡大係数の計算例として、片側にき裂のある帯板の一様引張りの場合と、平板表面にだ円き裂がある場合の2通りを解説します。

・片側にき裂のある帯板の一様引張りの場合

片側にき裂のある帯板の一様引張りとは、幅w、厚さtの帯板の縁に長さaのき裂があり、帯板には引張力σが作用している状態を示します(図4)。この場合、引張力に平行な方向の長さは関係しません。

図4:片側にき裂のある帯板の一様引張り

図4:片側にき裂のある帯板の一様引張り

また、補正係数 Fは、以下の式によって求めることができます。

補正係数 F

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

  • セミナー8月
  • 寄稿募集
  • 基礎知識一覧
  • 販促サイト_海外展示会一覧

ピックアップ記事

tags

  • 特集バナー0702_01
  • 特集バナー0702_02
  • 特集バナー0702_03
  • 特集バナー0702_04