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防毒マスクの吸収缶:防毒・防じんマスクの基礎知識3

防毒・防じんマスクの基礎知識

更新日:2020年11月5日(初回投稿)
著者:半田化学プラント安全研究所 代表 半田 安(はんだ やすし)

前回は、防毒マスクの種類や特徴など、基本的なことを紹介しました。今回は、防毒マスクの最重要部品である吸収缶について解説します。吸収缶は、使用している間に少しずつ性能が落ちていき、最後はろ過能力がなくなります。破過(はか)と呼ばれるこの現象についても、説明します。

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1. 吸収缶とは

吸収缶は、面体と並んで防毒マスクの重要な部品であり、吸い込んだ空気の中に含まれている有毒ガスを吸収ろ過してくれるものです。部品(容器)の形状が丸い缶詰のようであることが多く、吸収缶と呼ばれます(図1)。

図1:吸収缶と、吸収缶装着の半面形防毒マスク

図1:吸収缶と、吸収缶装着の半面形防毒マスク

吸収缶の中には、薬剤が詰められており、吸い込んだガス成分と反応して有毒ガスを無害化します。吸収させるガスによって薬品は異なります。つまり、防毒マスクに使われる吸収缶は、1つであらゆる種類のガスを吸収できるわけではありません。ガスの種類ごとにそれぞれ吸収缶が必要になります。

作業場所で発生する有毒ガスはさまざまです。塗装作業では、シンナーなどの有機溶剤というペンキを溶かす薬剤が使われます。ペンキを吹き付ける作業の際には、この有機溶剤が蒸発して有毒ガスが発生します(図2)。このため、有機溶剤用の吸収缶を使用します。

図2:防毒マスクを使用し、ペイントスプレーガンで塗装する様子

図2:防毒マスクを使用し、ペイントスプレーガンで塗装する様子

有機ガス用(クロロピクリン、シクロヘキサン、トルエン)の他、ハロゲンガス用(塩素、臭素、フッ素など)や酸性ガス用(塩化水素、硝酸、二酸化窒素、フッ化水素など)、さらにアンモニア用、亜硫酸ガス用、一酸化炭素用といった単独のガス用もあります。このように、数十種類のガスに対して吸収缶が用意されており、作業環境で発生するガスに応じて選定することになります。

吸収缶の色は、ガスの種類によって異なるものもあります。国家検定品である5種類のガスに使われる吸収缶では、次のように色が定められています。有機ガス用であれば「黒」、ハロゲンガス用であれば「灰色と黒」で塗られています。同様に、アンモニア用は「緑」、亜硫酸ガス用は「黄赤」、一酸化炭素用は「赤」となっています(参照:JIS T 8152 防毒マスク)。

防毒マスクの面体に取り付けられる吸収缶は、対応できるガス濃度の違いにより3種類に分類されます。直結式小型の場合、ガス濃度の上限は0.1%です。直結式は、直結式小型の10倍に当たる1%が上限となります。隔離式は、吸収缶が大きいため直結式の2倍である2%が上限になります。ガスの種類によって上限値は変わるため、メーカーのカタログなどの確認が必要です(直結式小型・直結式・隔離式については、前回の「3.吸収缶の種類」を参照してください)。

2. 吸収缶の破過と破過曲線

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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