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HACCP実践の基礎知識

HACCP実践の基礎知識
著者:株式会社フーズデザイン 代表取締役 加藤 光夫

食品業界の技術者であれば、HACCP(ハサップ)という言葉を聞いたことがあるでしょう。家庭の台所では多くの場合、主婦一人が料理の全てを担当します。食品工場の場合、大量の食品製品を段階的に製造します。その過程には、異物が混入したり細菌が繁殖したりと、さまざまな危険が潜んでいます。この危険を起こす要因を分析し、製品の安全を確保するための管理法がHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point:危害分析重要管理点)です。

欧米では、HACCPに基づく衛生管理の制度化が進んでいます。日本でも、厚生労働省がHACCPの情報提供や導入支援などを行っています。そこで、本連載はHACCPの考え方と実践ポイントを4回にわたり、解説します。第1回目は、HACCPを行う上で必要な、安全管理の手法です。

第1回:HACCPとは何か?

1. HACCPで使う2種類の安全対策とは?

HACCPとは、Hazard Analysis and Critical Control Pointの略で、日本語では危害分析重要管理点と呼ばれます。工場での食品製造工程は簡単に7つの工程、原材料の箱を開ける→下処理→調理→冷却→パック→外箱に入れる→倉庫から出荷に分けられます。

HACCPでは、はじめにこの7つの工程のそれぞれで、食品にどのような危害が起こり得るのか考えます。HA(Hazard Analysis:危害分析)です。例えば、下処理工程では外箱の汚れの付着、調理工程では食中毒菌の繁殖。このように、各工程で想定される危害は異なります。各工程で危害が異なるということは、その安全対策も異なります。HACCPの安全対策では、CCPと一般的衛生管理という2種類の方法を使います。

図1:HACCPの安全管理

図1:HACCPの安全管理

CCPはCritical Control Point(重要管理点)の略であり、特に重要な工程を継続的に監視し管理する方法です。例えば、調理工程で食中毒菌を殺菌するために、中心温度が75℃以上になっているか連続的に監視することが挙げられます。CCPとは、取るべき手段の数は少なくても、食品から危害を除去する重要なポイントなのです。

一般的衛生管理は、CCPではない工程で使われます。例えば、下処理工程で箱の開け方を工夫したり、箱とゴミを接しないようにすることが挙げられます。冷却工程では、60分以内に10℃以下まで冷却するなど、手段は多岐にわたります。

CCPと一般的衛生管理という2種類の方法を用いることで、各工程での安全管理が、具体的に、かつ温度や時間などの数値で、科学的にできるようになります。漠然と「安全に製造しよう!」と考えるより、各工程に特化した安全管理を行うことで、全工程が7つとすると7重に安全な工程を作ることができます。

現場の技術者の中には、仕事が7倍増えると思った人もいるでしょう。そうではありません。確実にHACCPを実施するために記録は増えます。しかし、基本的な仕事量は同じです。

2. 食品製造の流れで安全管理を考える

実際の食品製造は各工程を経たものです。その中でHACCPを実践するには、3つの安全確保のポイントがあります。1:自社工場以外も考えること、2:一般衛生管理で工場内をきれいにしたうえで、3:HACCPでとどめを刺すということです。それぞれ、詳しく説明します。

図2:食品製造と安全管理方法の流れ

図2:食品製造と安全管理方法の流れ

自分の工場以外も考える
自社工場での製造以前に、原材料の安全が確保されていることが重要です。原材料に欠陥があった場合、それを見落として製品を作ってしまえば、それは自社の責任になります。対策としては、安全な原材料を購入することと、自社での検査が挙げられます。

原材料の購入については、サプライヤーが安全を確保して、生産しているかどうかを確認します。判断する基準は、一般的衛生管理とHACCPの実施です。自社での検査は、使用する前に原材料の安全性を検査して確認します。

工場内の環境をきれいにする一般的衛生管理
安全に製造するためには、工場内をきれいにすることが不可欠です。工場内の衛生を管理することを、一般的衛生管理(PRP)といいます。PRPは、Prerequisite Programsの略で、直訳すると前提条件プログラムです。具体的な手段は、整理、整頓、清掃、清潔、しつけの5S活動、さらに洗浄と殺菌を加えた7S活動があります。

きれいにすれば、異物混入の可能性を減らすことができます。物理的異物だけでなく、細菌、毛髪、ゴミ、カビ、虫のような多く寄せられるクレームが少なくなります。一般衛生管理は、製造環境からハザード(危害と危害要因)を減少させるのです。キーワードは、「環境から減少させる」です。

しかし、一般衛生管理のみでは、完全に異物混入を防ぐことはできません。微細なもの、危険なもの、硬いものや食中毒菌が混入する危険性は残ります。

とどめを刺すのがHACCP
もし、硬いものや食中毒菌が製品に入っていた場合、それを除去するのがHACCPです。製品に起こる危害を分析(HA:危害分析)し、管理(CCP:重要管理点)し、除去するのです。

例えば、加熱調理を行う食品では、加熱で殺菌することができます。一般的には、中心温75℃以上まで加熱します。他にも、金属が混入する可能性があれば、金属探知機で検知して除去します。硬いプラスチックや食肉での骨の混入など、金属以外の物理的異物はX線検査機で発見することができます。


一般的衛生管理は、手洗い、機器道具の洗浄、整理整頓、教育訓練など、講じる手段は多岐にわたります。これに対してHACCPは、手段の数は多くありません。主な手段は金属探知機やX線検査、加熱調理で、一般的には1つの製品製造で、1~3カ所程度です。数は少ないですが、製品から危害を除去できるので、食品の安全を守るためにも重要です。実際には、これらの一般衛生管理とHACCPを組み合わせて運用します。

次回は、一般衛生管理、その中でも科学的な管理方法(OPRP)について詳しく解説します。お楽しみに! 

 

第2回:一般的衛生管理を科学的に!OPRPとは?

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前回は、食品製造の安全性を確保する管理法HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point:危害分析重要管理点)の概要を解説しました。また、重要管理点による管理(CCP:Critical Control Point)と一般的衛生管理(PRP:Prerequisite Programs)という、2種類の安全対策についても解説しました。今回は、一般的衛生管理の中でも科学的な管理方法である、OPRPについて解説します。

1. オペレーションする一般的衛生管理OPRP

OPRPとは?

ISO 22000(消費者への安全な食品提供を可能にする食品安全マネジメントシステムの国際規格)では、一般的衛生管理を重視しています。そして、OPRP(Operation Prerequisite Programs:オペレーション一般的衛生管理)を活用します。これは、一般的衛生管理PRPとHACCPの間に位置付けられ、安全確保のために重要です。

一般的衛生管理PRPは、環境からハザードを減少させるために、工場内の衛生を管理する手段です。具体的には、整理整頓や清掃などで工場内をきれいにします。行なったかどうかのチェック記録は、するものとしないものの両方が混在します。また、規定通り安全になっているかの検証も、あってもなくてもいいです。管理の限界基準を決めなくても、よいことになっています。

一方、オペレーション一般的衛生管理OPRPのオペレーション(Operation)の意味は、その場で分かる科学的管理手段があるということです。例えば、冷却工程で60分以内に10℃以下まで冷却し、雑菌の繁殖を防ぐことが挙げられます。時間と温度の管理という科学的手段を用いています。

また、OPRPは「その場で分かる」ことが重要です。例えば、細菌検査をして3日後に問題が発覚しても、検査した意味がありません。検査してすぐに問題が分かれば、不良品を出さなくて済みます。その場で分かる管理方法がないと、不良品の出荷につながってしまうのです。

一般的衛生管理PRPとオペレーション一般的衛生管理OPRPは、環境からハザードを減少させるという点では共通しています。その場で分かる科学的管理手段を持つものがOPRPです。一方CCP(重要管理点による管理)は、製品に入ってしまったハザードを除去します。具体的に、ソーセージの製造工程の中で、HACCP、PRP、OPRPがどのように使われているか見ていきましょう。

オペレーション一般的衛生管理OPRPの例:ソーセージ製工場

ソーセージの一般的な製造手順は、以下のようになります。

ソーセージの製造手

図1:ソーセージの製造手順

原料肉整形、計量、細切り、混合(カッティング)、充填、懸架までの前半工程では、製造環境をきれいにすることがポイントです。すべて一般的衛生管理PRPで管理します。

次の加熱(スモークハウス)の工程では、加熱殺菌を行い、製品内の食中毒菌を除去します。この工程は、HACCPのCCP(重要管理点)により管理します。ソーセージの製造工程では、1つ目のCCP管理ポイントです。加熱殺菌を行うことで、この工程のソーセージは安全になります。しかし、問題はその後です。

その次は、加熱されたソーセージを一気に冷やすためのシャワー、冷却、小分けの工程で、雑菌の付着など、ソーセージが汚染される可能性があります。もし、ここで汚染されてしまえば、残りの工程は、真空パックのパッケージングだけなので、そのままソーセージは製品となり、出荷されてしまいます。

つまり、加熱殺菌が終わってから、パッケージングまでの環境がとても大事といえます。例えば、小分け工程で、ハサミ、人の手、サンテナなどが汚ければ、せっかく殺菌したソーセージにハザードを付けてしまうことになります。この短い工程を、特にきれいにする必要があります。

そこで、この工程を確実にきれいにするために、その場で分かる科学的検査、つまりオペレーション一般的衛生管理OPRPを使います。

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2. PRP・OPRP・CCPの関係

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第3回:HACCPの運用方法

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前回、重要な一般的衛生管理であるOPRP(Operation Prerequisite Programs:オペレーション一般的衛生管理)について解説しました。また、OPRPと一般的衛生管理PRP(Prerequisite Programs)、CCP(Critical Control Point:重要管理点)の違いについても触れました。今回は、その3つの管理方法を使って、実際にHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point:危害分析重要管理点)の安全管理を実践する方法について解説します。

1. 各工程での危害は?:危害分析

HACCPでは、まず1つの製品の製造工程を全て書き出し、各工程の中でどのようなハザードがあるのか、予測も含めてリストアップします。これがHA(Hazard Analysis:危害分析)です。そして、そのハザードを防止するための安全管理方法を、各工程で決めていきます。このHACCPの構築の方法を、加熱ハンバーグの製造を例に見ていきましょう。加熱ハンバーグの製造工程をフローチャートにすると図1のようになります。

加熱ハンバーグ製造のフローチャート

図1:加熱ハンバーグ製造のフローチャート

はじめに、フローチャートの各工程番号と工程名を表にし、各工程での危害を書き込んでいきます(図2)。これが危害(ハザード)分析です。

フローチャートからハザード分析表の作成

図2:フローチャートからハザード分析表の作成

ここで大事なのは、その製品について過去に出た問題やクレームをもう一度検討することです。過去のクレーム処理レポート、現場でのヒアリング、各製造工程の担当者からのハザード予測などを総合的に見直すことで、過去の問題が、どの工程で起こったのか、あるいは起こった可能性が高いのかを探り出します。そして、その問題をハザードとして、工程リストに書き入れていきます。

これにより、それぞれの工程でのハザードが明らかになります。ハザードの特徴が分かれば、それぞれの製造工程での安全管理方法を決めることができます。工程ごとに、もっとも重要な安全管理を集中して実施できるようになります。

2. 危害に対する管理方法の決定

危害(ハザード)分析で、各工程のハザードが明らかになりました。次は、各工程での安全管理方法を決めていきます。

1の原料肉~8の成形の工程は、製造環境をきれいにすることを重視するので、一般的衛生管理PRPで管理します。

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3. OPRPとCCPの詳細を決める

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第4回:やりっ放しにしない!HACCPの検証方法

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前回は、実際にHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point:危害分析重要管理点)を運用する方法について解説しました。最終回となる今回は、複数製品を製造する工場でのHACCPの運用、また効果的なHACCPができているか検証したり、記録する方法について解説します。

1. 複数種類の製品を作る場合、HACCPはどうなる?

HACCPの組み立て方は、製造する製品ごとに違います。しかし、多くの牛乳工場では、ヨーグルトやアイスクリームも一緒に作っています。ソーセージ工場でも、ソーセージだけ作っている工場はほとんどありません。ハム、ベーコンなども一緒に作っています。

ソーセージ、ハム、ベーコンの主な原料は豚肉です。原料の豚肉を下処理してから、製造はソーセージ、ハム、ベーコンの3つのラインに分かれます。分かれた後、加熱工程のスモーカーで一緒になり、冷却、パッケージも同じ製造室で行うことになります。その後の箱詰めから出荷までも同じです。

このような場合、従来はソーセージ、ハム、ベーコンといった、製品ごとに3つのフローチャートとハザード分析シートを作っていました。同じ工程も3つに分けてシートを書くので手間がかかります。下処理、スモーク、冷却、パッケージから出荷までは同じ作業室で管理するので、まとめた方が効率的です。

このような、複数の製品を製造する場合にまとめて管理する方法を、総菜工場を例に見ていきましょう(図1)。

多種類の製品を製造する工場の例

図1:多種類の製品を製造する工場の例

焼き物(オーブン)、フライ、蒸し物(スチコン:スチームコンベクションオーブン)、煮物(蒸煮鍋)といった加熱製品や、生野菜を使ったサラダも同じ工場で製造しています。

加熱調理をする食材は、下処理をした後、それぞれの調理ラインに行きます。この加熱調理工程がCCP(Critical Control Point:重要管理点)になります。加熱調理した後、全て冷却室に行きます。この工程はOPRP(Operation Prerequisite Programs:オペレーション一般的衛生管理)です。

生野菜の場合、殺菌洗浄がCCPです。この後の脱水機はきれいな必要があるので、ここがオペレーション一般的衛生管理OPRPになります。

また、容器はワンウェイではなく、配達した後回収する方式なので、汚れた容器が工場に戻ってきます。これを洗ってから再利用します。洗浄してから加熱殺菌しており、この容器内側の拭きとり検査がオペレーション一般的衛生管理OPRPです。

そして、調理品、生野菜、容器が全て盛り付け室に行きます。盛り付け時の環境は、特にきれいな必要があるので、この工程もオペレーション一般的衛生管理OPRPになります。その後の配送から提供までが一般的衛生管理PRPです。ここまでの製造工程をフローチャートにすると、図2のようになります。

総菜工場での多種類製造のフローチャート

図2:総菜工場での多種類製造のフローチャート

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2. 実施中のHACCPが適切か?:HACCPの検証方法

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3. 安全管理の記録と保管方法

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