健康経営の取り組み3ステップ~医療や食品を使った健康経営:健康経営の基礎知識6
投稿日:
- 2022年07月14日
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カテゴリ:
- 基礎知識
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前回は、健康経営の地域への影響と、地方自治体が健康経営を活用した都市づくりについて紹介しました。今回は、最終回です。健康経営の取り組みにおける3ステップと、企業内における食品や医療サービスを使った健康経営の取り組みを紹介します。
1. 健康経営の取り組み3ステップ
顕彰制度を含めた健康経営の取り組みには、3つのステップがあります(図1)。
顕彰制度への応募は、健康経営度調査に回答することになるので、STEP1に該当します。また、取り組みに当たり、制度や人的資本などの準備が必要となるため、コストと捉えられます。応募が終わると、STEP2として、健康経営管理会計ガイドラインを活用し、戦略マップや投資リターンを推計します。
これによって、健康経営が投資になります。最後に、STEP3として、健康経営を自社独自の経営戦略へと昇華します。
・STEP1
STEP1は、具体的には、毎年夏に開示される健康経営度調査を見るとよいでしょう。調査票には、多くの項目(2022年度版で71項目)があります。また、関係する部署の多さにも驚くのではないでしょうか。さらに各設問項目には、「〇〇データを取得していますか?」といった質問もあり、取り組めていないことも多々実感するはずです。健康経営には多くの効果があります。そのため、初期の準備はコストに該当するものの、できる限り早く、少しずつでもいいので、制度の整備に取り組んでいくのがよいでしょう。
・STEP2
STEP2は、経済産業省が2020年に開示した「健康投資管理会計ガイドライン」を参照し、健康投資とリターンについて推計してみましょう。また、戦略マップを描くことにより、自社の取り組みが従業員レベルなのか、または組織制度レベルなのか、それとも会社の目標とする経営理念などに該当するのか、そしてそれらはどのようにつながり、関係しているのかを考えることができます。
ポイントは、多少強引になったとしても、まずは以下のとおり推計してみるとよいでしょう。これによって、多くの効果を得ていることが金額で見える化され、そのことが経営陣含め担当者にも実感できるはずです。
計算式の詳細は、新刊、「新井卓二、最強戦略としての健康経営~競争優位とサステナビリティを生む人的資本のためのビジネスモデル~、同友館、2022年」を参照してください。
・STEP3
STEP3として、健康経営の対象を自社の従業員のみにするのではなく、従業員の家族、関係会社、地域、社会へと拡大していくことが考えられます。
2015年9月に、国連サミットでSDGs(Sustainable Development Goals)が採択されました。SDGsとは、持続可能な社会の実現を目指すため、2030年までに達成すべき17の目標のことです。同じく国連からは、ESGという言葉も発信されています。ESG投資とは、環境(Environment)、社会(Social)およびガバナンス(Governance)を考慮した投資のことです。近年、SDGsやESGを経営課題に組み込み、長期的な成長を図る企業が増えています。
健康経営は、SDGsの「3:すべての人に健康と福祉を」と「8:働きがいも経済成長も」にも該当します(図2)。
また、ESG投資のSocial(社会)にも該当し、投資先に選ばれる環境になっています(図3)。
SDGsやESGに取り組む企業は持続的な成長を意識しているといえるため、将来の成長も期待できると考えられます。
さらに健康経営は、早ければ2024年にISO(国際標準)化が予定されています。まずは取り組みを始めること、既に取り組んでいる企業はさらに進化させ、このムーブメントに乗ることが肝要です。取り組みで重要なのは、戦略広報(商品サービスの開発時期から広報的要素を組み込むことで宣伝告知効果を高め、顧客の認知や期待、そして信頼を最大化させる新たなPR戦略)という考え方です。ぜひ、自社独自の経営資源を使った経営戦略として、健康経営の取り組みを昇華させていきましょう。
2. 食品や医療サービスを使った健康経営
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※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。