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油圧の原理と油圧システム:油圧の基礎知識1


油圧の基礎知識
初回投稿:
著者:防衛大学校 システム工学群 機械システム工学科 教授 西海 孝夫

油圧は、加圧した油を介して動力の伝達を行う技術です。小さな力を大きな力に変えることができ、ジャッキや自動車のブレーキ、パワーショベル、エレベータなど、さまざまな装置や機械で利用されています。本連載では、油圧を初めて学ぶ方にも分かりやすいように、油圧の原理や油圧機器について解説します。第1回では、パスカルの原理と油圧システムについて説明します。

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1. パスカルの原理

パスカルの原理とは、「密閉容器中の流体は、その容器の形に関係なく、ある一点に受けた単位面積当たりの圧力をそのままの強さで、流体の他の全ての部分に伝わる」という、流体力学の基本原理です。油圧を理解するために必要な知識です。図1に示す密閉容器でパスカルの原理を考えてみましょう。密閉容器には液体が満たされ、断面積 Aのピストンが取り付けられています。

図1:パスカルの原理

図1:パスカルの原理

ピストン上面に、力 Fが垂直に作用すると、ピストン下面での圧力はP=F/Aで計算されます。ここで、圧力P、力F、面積AのSI単位は、それぞれPa、N、m2です。パスカルの原理により、……

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2. 油圧システムの概要

油圧システムは、油圧ポンプ、油圧バルブ、油圧アクチュエータの3種類の油圧機器から構成されています(図3)。

図3:油圧システムの概要

図3:油圧システムの概要

まず、原動機(電気モータ、エンジン)から得られる機械的動力を、油圧ポンプで油圧動力に変換します。油圧ポンプ内の油には高い圧力が加えられ、用途に応じてさまざまな油圧バルブを通過します。このとき、電気信号または手動によって、圧力・流量・流れの方向を制御・調整します。作動油が油圧アクチュエータに送り込まれると、油圧動力は機械的動力に再変換されます。この機械的動力(負荷)が、必要な仕事を行います。

油圧システムは、油圧ポンプ、油圧バルブ、油圧アクチュエータなどの主要機器に加え、原動機、油タンク、管路、フィルタ、圧力計などの機器によって、構成されています。また、電気入力信号によって油圧バルブを制御する電気回路や、センサ、アンプ、コンピュータ、ソフトウエアなどの電気・電子・情報技術も、油圧システムの一部です。このように油圧システムは、……

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3. 油圧の長所と短所

油圧の特徴は、適用分野、使用用途、作動条件などにより、大きく異なります。ここでは、長所と短所をそれぞれ8つ解説します。

・油圧の長所

  • 1:わずかな電気的操作信号を油圧機器に与えることで、位置(角度)、速度(角速度)、力(トルク)、加速度(角加速度)などを、精密・高速に制御できます。
  • 2:負荷を駆動する力(トルク)や速度(角速度)を、独立・無段階かつ広範囲に調整できます。運動の方向も、直線・回転と自由に変えられます。
  • 3:管路を増やしたりホースの長さを変えたりすることで、油圧のエネルギーを柔軟に配分することができます。そのため、1台の油圧ポンプで複数の油圧アクチュエータを操作できます。
  • 4:過負荷が発生したとき、リリーフ弁から高圧油を自動的に逃がすことで、システムの安全性を確保できます。また、頑丈で耐久性があるので、外部からの衝撃にも耐えることができ、重作業などに適しています。
  • 5:アクチュエータ単体でのパワーレート(単位時間当たりの動力:W/s)が電気駆動や空圧駆動に比べて高いため、アクチュエータの小型化・軽量化が可能です。また、可動部の慣性が小さいため、応答性を向上でき、衝撃を抑えられます。
  • 6:作動油は、空気に比べ圧縮性がほとんどなく、極めて高い圧力まで昇圧できます。そのため、剛性の観点から、アクチュエータによる位置決め精度や応答性に優れています。
  • 7:アキュムレータ(高圧流体を蓄えておく装置)を用いて、流体エネルギーを蓄積できます。瞬時に高圧・大容量の作動油を油圧アクチュエータに送り込み、重量物を高速に移動できます。
  • 8:作動油は、潤滑性、防錆(せい)性に優れているため、機器やシステムの保守管理が容易です。

・油圧の短所

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