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油圧の動向とハイブリッド技術:油圧の基礎知識10

油圧の基礎知識

更新日:2018年9月26日(初回投稿)
著者:防衛大学校 システム工学群 機械システム工学科 教授 西海 孝夫

前回は油圧補機の続編として、熱交換器、油タンク、圧力測定器、配管、電動機を紹介しました。今回は昨今の油圧の動向であるハイブリッド技術について解説します。従来の油圧ポンプの課題は、エネルギーの浪費や、騒音・振動などでした。ハイブリッド技術を用いることで、これらの課題を解決することができます。油圧ハイブリッド技術を2つ取り上げ、油圧システムの省エネ化について見ていきます。

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1. 油圧システムの動力伝達とハイブリッド技術

油圧システムにおいて、油圧ポンプ軸に接続された原動機はエネルギー源によって駆動され、ポンプは機械的動力を油圧動力に変換します。動力源から作業機までの動力の伝達経路には、原動機の損失のほかに、油圧システム内での摺動摩擦の抵抗や作動油の漏れによる損失が常に存在します(図1)。これらの損失を減らすことが省エネ設計のキーポイントです。油圧システムにおける現状の課題として、油圧アクチュエータが減速するとき無駄に消費されたエネルギーを、どのような手段で回生するかという問題があります。その問題を解消する手段として、油圧のハイブリッド技術が期待されています。

図1:油圧システムの動力伝達経路

図1:油圧システムの動力伝達経路

ハイブリッドとは、2つ以上の異なる要素を混成し、それぞれの特徴を生かした新たなシステムを構築することです。今回は、油圧ハイブリッド技術の事例として、回転数制御ポンプと建設機械のハイブリッド化を紹介します。回転数制御ポンプは、油圧ポンプを駆動する原動機の回転速度やトルクを制御でき、負荷に応じたエネルギー分を供給します。建設機械には、電動アクチュエータやエネルギー蓄積媒体を利用することで、無駄なエネルギーを回収し再生する技術が用いられています。

2. 回転数制御ポンプ

産業機械に多用される定置形の油圧源の多くは、ポンプ形式によって定容量形と可変容量形に分類できます(図2)。また、一般にポンプ内の油の流れは片方向のみに限定されていました。

図2:代表的な油圧源

図2:代表的な油圧源(引用:大橋彰、機械設計 Vol.52 No.6ビギナーのための油圧システム入門 第4章 基本的な油圧回路、日刊工業新聞社、2008年、P.37)

定容量形ポンプの作動油の吐出流量は一定であり、油圧システムの制御はバルブだけで行います。絞り弁によってアクチュエータの速度を制御し、同時に、負荷力に見合ったポンプ圧力をリリーフ弁で設定して、余剰流量をタンクに戻す方式です。可変容量形ポンプは、油圧アクチュエータの停止時に負荷圧力が増加すると、ポンプ吐出し流量をゼロにして省エネ運転します(参考:第4回)。そのため、制御はポンプとバルブで行われます。可変容量形ポンプでは、負荷圧力を感知してポンプ圧力や流量を変化させるロードセンシングシステムもあります。これらの方式の課題は、三相誘導電動機を常に一定の回転速度で運転することによるエネルギーの浪費・騒音・振動などです。

昨今、注目される油圧ハイブリッド技術として、油圧メーカー各社が開発を進める油圧ポンプの回転数制御があります(図3)。このシステムは、油圧ポンプに直結された電動機を適切な回転速度に可変制御し、必要なときに必要な動力を油圧アクチュエータに与える機構です。動力が必要ないときは、電動機は完全に止まり、アイドリングストップ機能が働きます。例えば、位置・圧力・流量の指令信号を入力すると、コントローラでアクチュエータ側の位置・圧力センサの検出信号の偏差に基づき演算を行い、電動機の回転速度センサのフィードバック信号を受けながらポンプを駆動します。

図3:回転数制御ポンプを用いた油圧システム

図3:回転数制御ポンプを用いた油圧システム(引用:ポンプ回転数制御油圧システム「カワサキエコサーボ」、川崎重工技報、No.168、川崎重工業株式会社、2009年、P.42)

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3. 建設機械のハイブリッド化

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