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IoTの基礎知識

IoTの基礎知識

著者:株式会社CAMI&Co. 代表取締役社長 神谷 雅史

IoTとは「Internet of Things」の略称で、日本ではしばしば「モノのインターネット」と呼ばれています。本連載では、6回にわたり日本におけるIoTの現状やIoTを構成する技術、IoTを活用したビジネス戦略などを解説します。第1回では、そもそもIoTとは何か、ということについて解説します。

第1回:IoTとは

1. IoTとは

モノのインターネットである、IoT。もっと大胆にかみ砕いて、「今までインターネットにつながらなかったモノが、つながるようになった」という意味で考えても良いでしょう。言葉の意味としては、実にシンプルです。具体例を挙げてみましょう。例えば、スマートスピーカやスマートロックと聞けば、ピンと来るのではないでしょうか。これらは、従来インターネットにつながらなかったスピーカや錠前というモノが、インターネットにつながることで活用の幅が一段と広がった、身近なIoTの例です(図1)。

図1:スマートスピーカ(内蔵されているマイクで音声を認識し、情報の検索や連携家電の操作を行う)

図1:スマートスピーカ(内蔵されているマイクで音声を認識し、情報の検索や連携家電の操作を行う)

近年の技術革新、およびハードウェア需要の高まりから、安価で高性能なセンサの量産が可能になりました。その結果、……

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2. モノ同士がネットワーク化されると

そんな「モノのインターネット」が注目を集めているのは、IoTがもたらすインパクトが、私たちの生活や産業のありよう、市場経済までも大きく変えるかもしれないと考えられるからです。今まで単体で動作していたモノがインターネットにつながれば、図2のような世界が到来する可能性があるということです。この図は、家電や生活インフラ、車、スマートフォン、時計や財布など身につけるモノ、町中の電柱、病院や工場などの施設が、全てインターネットにつながり、クラウドによってネットワーク化された世界です。こうした世界は「スマートシティ」と呼ばれます。IoTをエネルギーや生活インフラの管理に用いることで、……

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3. 新たな価値の創出やイノベーションへ

当然、そうした考えは、インターネットが登場するまでは想定されていませんでした。従来、モノというのはそれ単体で動作し、それ以外には影響しない「スタンドアローン」という特性を持っています。それに対してIoTは、モノ同士が影響を与え合う「ネットワーク」を持つという特性があります。家が情報を発信し、生活インフラに働きかけて住人の節約意識を高めたり、車が交通システムに働きかけて渋滞を解消したりといった、モノ同士の連携が生み出すさまざまな変化が予想されるでしょう。ひと言で、……

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4. 豆知識1:ユビキタス・IoTの歴史

ユビキタスは、2000年代前半に構想された概念で、日本では総務省が2004年5月に公表した「u-Japan政策」を契機に広まりました。筆者もまた、2000年頃からユビキタスに可能性を感じ、大学の研究室に入っています。もともとラテン語で「偏在する」という意味のユビキタスには、あらゆるモノにコンピュータが内蔵され、それがどのようなところからでも利用可能である(偏在する)、というイメージが込められています。また、この偏在性によって「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」ネットワークにつながることで、ユビキタスネットワーク社会が到来するともいわれてきました。これは、前述のスマートシティとよく似た考え方であると思うのではないでしょうか。それもそのはずです。そもそも、IoTという概念自体は1999年頃からあり、RFID(無線タグやICタグとも呼ばれる)によって情報のやりとりを行う技術を、モノのインターネット、という概念で捉えたことが始まりです。つまり、IoTはユビキタスに先んじて、……

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第2回:日本企業におけるIoT導入の現状

前回は、モノ同士がネットワークでつながるIoTの概要を説明しました。今回は、国内のIoT普及率について解説します。また、国内でなかなかIoTが浸透しない理由をもとに、IoTビジネス成功の鍵を探ります。

1. ステージ別導入率

IoT導入企業のうち約半数は、IoTを限定的にしか導入していません。IoTの必要性は認識しているにもかかわらず、実用にまで至っていない、というのが現状です。図1は、IDC Japanの調査をもとに、IoTの導入率をステージ別に表しています。限定的導入に留まっている企業は、2016年の時点で47.9%です。また、標準基盤化した企業は36.1%、定量的管理は12.6%となり、継続的革新に至っては、わずか0.6%となっています。筆者が経営する会社でも、業種を問わずさまざまな企業をお手伝いしていますが、このグラフは弊社内での感覚ともよくマッチしています。ほとんどの企業が限定的に導入している中、一部の企業でハードの量産やサービス化を進めることで、段階的に上位ステージへのステップアップが見られるという形です。2018年度に入ってからは、弊社への引き合いは増加しており、本数値を見ても、徐々に各社のステージが上がってきていると考えています。

図1:ステージ別IoT導入率―IDC Japanのプレスリリース2016年をもとに作図

図1:ステージ別IoT導入率―IDC Japanのプレスリリース2016年をもとに作図(引用:神谷雅史、最新図解で早わかり IoTビジネスがまるごとわかる本、ソーテック社、2019年)

2. 業種別導入率

図2は、MM総研が発表した調査結果です。その後の調査がないため、やや古いデータとなるものの、IoTの業種別導入率を知る上では参考になります。これによると、国内のIoT導入企業における業種では、製造業が33%、続いてサービス業が13.4%、情報通信業が12.2%となっており、少数ではあるものの、国内でのIoTの導入は進んでいるといえるでしょう。中でも、特に多いのは製造業の現場で使われるIoTで、用途として、……

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3. 日本のIoT普及率

IDC Japanが2017年に発表した調査によると、日本におけるIoT利用企業は、2015年に4.9%、2016年には5.4%、2017年には6%と、毎年1%も増加していないことが分かります(図3)。このままでは加速度的な成長が見込めず、市場からもそっぽを向かれてしまうかも知れません。

図3:国内におけるIoT利用企業―IDC Japan「2017年国内IoT市場ユーザー利用動向分析」をもとに作図

図3:国内におけるIoT利用企業―IDC Japan「2017年国内IoT市場ユーザー利用動向分析」をもとに作図(引用:神谷雅史、最新図解で早わかり IoTビジネスがまるごとわかる本、ソーテック社、2019年)

それとは別に、富士通クラウドテクノロジーズが同年に発表した調査によれば、「IoTが普及してきているという実感」は全体の45%前後あるものの、前回の調査より下がっていることから、足踏み状態が続いていることがうかがえます(図4)。また、「勤務先のIoT活用状況」についてのアンケートでは、全体の3割弱がIoTを活用および検討しているものの、前回・前々回の調査と比べても、伸びるどころか縮小しているという結果が出ています(図5)。しかし、そうした中でも「IoTを活用することで期待した効果があったか」を問うアンケートでは、全体の64%以上がIoTの効果を実感しているという調査結果となっています(図6)。この数字は、活用のしかた次第でIoTに一定の効果が見込める、という可能性を感じさせてくれます。

図4:IoT普及の実感―富士通クラウドテクノロジーズ「IoT実態調査」をもとに作図

図4:IoT普及の実感―富士通クラウドテクノロジーズ「IoT実態調査」をもとに作図(引用:神谷雅史、最新図解で早わかり IoTビジネスがまるごとわかる本、ソーテック社、2019年)

図5:勤務先のIoT活用状況―富士通クラウドテクノロジーズ「IoT実態調査」をもとに作図

図5:勤務先のIoT活用状況―富士通クラウドテクノロジーズ「IoT実態調査」をもとに作図(引用:神谷雅史、最新図解で早わかり IoTビジネスがまるごとわかる本、ソーテック社、2019年) )

図6:IoTを活用して得られた効果―富士通クラウドテクノロジーズ「IoT実態調査」をもとに作図(

図6:IoTを活用して得られた効果―富士通クラウドテクノロジーズ「IoT実態調査」をもとに作図(引用:神谷雅史、最新図解で早わかり IoTビジネスがまるごとわかる本、ソーテック社、2019年)

効果を実感しているのに、なぜIoTの普及があまり進まないのか? それは、……

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第3回:5Gで激変するIoT

前回は、日本企業におけるIoT導入の現状を説明しました。今回は、大注目の5Gについて紹介します。IoTの分野で利用されている長距離通信LPWAとの比較や、5Gのさまざまな特徴とそのメリット、さらにIoT普及に与える影響などについて解説します。

1. 5Gとはどんな規格?

2020年、いよいよそのサービスが開始された第5世代移動通信システム5G。それは、どのような規格なのでしょうか。ここでは基本的な仕様を元に、どのような特徴があるのかを紹介し、その基礎知識を解説します。まずは、従来の通信規格とスペック的にどう異なるのか、比較してみましょう。IoTデバイスでよく使われるSigfox(LPWAと総称される)という規格、および、これまでのスマートフォンでの主流である4G(LTE)との比較を、表1に示します。

表1:通信規格の比較 (引用:神谷雅史、最新図解で早わかり IoTビジネスがまるごとわかる本、ソーテック社、2019年)
項目 Sigfox(LPWA) 4G(LTE) 5G
通信距離 ~50㎞ ~数十㎞ 1~2㎞以上*1
通信速度 ~100bps 50Mbps~1Gbps 1Gbps~50Gbps
消費電力 ~20mW ~数百㎽ 高い*2
同時接続数 少ない 1平方キロメートル当たり役1万台 1平方キロメートル当たり役100万台
レイテンシー 高い 10ms(0.01秒) 1ms(0.001秒)
周波数帯 920MHz 800MHz~2.5GHz 27.5~29.5GHz、6GHz未満(4G含む)

* 1 : 直進性が強いため、都心ではここまで飛ばない可能性もあり
* 2:Wi-Fiと同レベルの1,000mW程度を目標に揚げている

この表を見ると、特に目を引くのが4Gと比べた場合の通信速度で、……

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2. LPWAとの比較からわかること

次に、現在IoTの世界で広く活用されているLPWAと比較してみましょう。5GとLPWAの特徴を、図1に示します(詳しくは次回の記事で紹介します)。LPWAは、乾電池で数年動作するような省電力性を誇り、長距離通信が可能であるといった特性から、水道メータの検針や自転車の盗難防止といった用途に活用されています。そして、こうした用途なら遅延があっても力を発揮できるため、レイテンシーの高さは大きな問題にはなりません。これはつまり、5Gとは対極にあるイメージです。しかし5Gは、実は……

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3. 5Gではどんなことができるのか

5Gは、従来のモバイル通信規格をはるかに凌(しの)ぐ、高速・大容量、低遅延、多接続という特徴を持っています。図2は、NTT ドコモが発表した資料で、……

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4. 高速・大容量による恩恵

従来の50倍とも100倍ともいわれる高速・大容量の特徴からは、AR/VR、4K/8Kなどの動画配信、スタジアムソリューションでの活用などが挙げられています。前者の2つについて、現状のモバイル通信ではスペック不足な部分があり、より快適なコンテンツを提供するために、5Gの高速・大容量が生かされることは容易に想像できます。後者のスタジアムソリューションは、……

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5. 多接続による恩恵

5Gの多接続により、基地局1台から同時接続できる端末を飛躍的に増やすことができます。これまでは、自宅でパソコンやスマートフォンなど数個程度を接続するだけだったのが、接続端末を100個程度まで増やすことが可能になります。この恩恵からは、前掲の図2にあるように、スマートシティやスマートホームといった分野での活用が期待できるでしょう。2018年3月には情報通信研究機構(NICT)による5Gの実証実験が行われ、約 2 万台の同時接続を確認したと発表されました。この多接続が重要とされるのは、……

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6. 低遅延による恩恵

……

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7. 5G・今後の展望

……

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8. 豆知識2:スポーツ観戦を変える5Gの実験

……

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第4回:長距離通信LPWAとは

前回は、最新の通信規格である5Gの特徴を紹介しました。現在、長距離通信規格LPWAはIoTの世界で広く活用されています。今回は、このLPWAについて、国内外の具体的な通信規格を比較しながら、その特徴を解説します。

1. 電波が飛ぶ距離は数百メートル以上

長距離通信規格のうち代表的なものに、携帯電話ネットワークとして広く使用されているLTEや3G、また最近IoTの世界で注目を集めているLPWAがあります(図1)。共通した特徴は、文字通り電波の届く範囲が数百メートル以上という長距離な点です。IoTデバイスは、必ずしも建物の内部やその近くに設置されるわけではなく、例えば森林などの、ゲートウェイを置くことができない場所で使用されることもあります。その場合、IoTのエッジデバイス側から、ルータなどを通さずにネットワークに接続することが求められます。そういった時に、3G・LTE、LPWAといった長距離通信が活躍します。ここでは、今、注目を集めているLPWAについて解説します。

図1:LPWAの位置付け、IoT制御デバイスのHappyTech「広範囲IoT向け無線規格「LPWA」」をもとに作図

図1:LPWAの位置付け、IoT制御デバイスのHappyTech「広範囲IoT向け無線規格「LPWA」」をもとに作図(引用:神谷雅史、最新図解で早わかり IoTビジネスがまるごとわかる本、ソーテック社、2019年)

2. LPWAとは

LPWAは、IoTで最も注目されている通信の総称です。Low Power Wide Areaの略で、その名のとおり、低消費電力で広範囲にデータ通信が可能なものを指します。IoTでは、少ないデータを長いスパンで送り続けるという点が最も重要な要素となるため、LPWAはIoTに適しています。また、モジュールが1~200円程度と安価である上、通信料が月額100円程度の規格も多く、導入コストの安さでも注目を集めています。

LPWAは具体的に、大きく2つに分類できます。1つは、独立系ともいうべき規格です。例えば、「Sigfox」「LoRaWAN」「Wi-SUN」「ZETA」「ELTRES」の他、Wi-Fi規格の1つ「Wi-Fi HaLow」などが挙げられます。2つ目は、……

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3. LPWA規格リスト

LPWAには、既に多種多様な規格が存在しています。表1、表2は、LPWAの規格ごとの特徴を示します。Wi-SUNに関しては日本発の規格で、皆さんの自宅にあるスマートメーターのデータを送信するのに使われています。

表1:LPWAの規格ごとの特徴、IoT制御デバイスのHappyTech「広範囲IoT向け無線規格「LPWA」」をもとに作図(引用:神谷雅史、最新図解で早わかり IoTビジネスがまるごとわかる本、ソーテック社、2019年)
名称 Sigfox LoRaWAN Wi-Fi HaLow Wi-SUN
企業 仏Sigfox S.A LoRa Alliance Wi-Fi Alliance Wi-SUN Alliance
電波免許 免許不要帯を利用
周波数帯 サブGHz帯(欧州868MHz、北米915MHzなど)
通信速度 約100M
ビット/秒
約250~50k
ビット/秒
約150k
ビット/秒
約50k~400k
ビット/秒
最大伝番距離 50km程度 15km程度 1km程度 1km程度
名称 RPMA Flexnet NB-IoT
企業 米Ingenu
(旧OnRamp Wireless)
米sensus 3GPP
電波免許 免許不要帯を利用 免許帯域を利用
周波数帯 2.4GHz帯 280Mhz帯 LTE帯域
通信速度 約40kビット/秒 約10kビット/秒 約100kビット/秒
最大伝番距離 20km程度 20km程度 20km程度
表2:LPWAの規格ごとの特徴(ZETA、ELTRES)(引用:神谷雅史、最新図解で早わかり IoTビジネスがまるごとわかる本、ソーテック社、2019年)
名称 ZETA ELTRES
企業 ZETA Alliance SONY
電波免許 免許不要帯を利用
周波数帯 サブGHz帯(欧州868MHz、北米915MHzなど)
通信速度 約100~50k
ビット/秒
上り約80
ビット/秒
最大伝番距離 10km程度 100km程度

4. Sigfox(シグフォックス)とは

Sigfoxとは、安価で消費電力が少ない、LPWA規格の1つです。メリットは、最大数十kmもの長い通信距離と、乾電池で数年稼働できるという消費電力の低さです。加えて、モジュールの価格が200円程度、年額通信料が100円からという導入コストの安さです。通信距離が長いので、基地局の設置もピンポイントで済むという点も大きいでしょう。デメリットは、通信速度が上りで100bpsと超低速、かつ1日の通信回数が140アップロードに制限されている点です(表3)。

表3:Sigfoxの特徴(引用:神谷雅史、最新図解で早わかりIoTビジネスがまるごとわかる本、ソーテック社、2019年)
特徴 メリット デメリット
通信距離 最大数十km
  • 通信距離が長い
  • 低消費電力
  • モジュールと通信料が安価
  • 通信速度が超低速&
  • 一日の通信回数に制限がある(1日140アップロードまで)
通信速度 上り100bps、下り00bps
消費電力 乾電池で数年動くレベル
周波数帯 920MHz

日本では、……

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5. LoRaWAN(ローラワン)とは

LoRaWANは、Sigfoxと似た特徴を持つLPWA 規格の1つです。通信距離がやや短い(それでも数km)という以外、Sigfoxとあまり変わりません。メリットは、Sigfoxと同様に、通信距離が長く、低消費電力、モジュールと通信料が安価で、基地局を利用すればどこでも使用できるという点です。デメリットも、通信速度が超低速、基地局を用意する必要があるといった点がSigfoxと同様です(表4)。

表4:LoRaWANの特徴(引用:神谷雅史、最新図解で早わかりIoTビジネスがまるごとわかる本、ソーテック社、2019年)
特徴 メリット デメリット
通信距離 数km
  • 通信距離が長い
  • 低消費電力
  • モジュールと通信料が安価
  • 基地局を用意すればどこでも使用可能
  • 通信速度が超低速
  • 基地局を用意する必要がある
通信速度 3kbps
消費電力 乾電池で数年動くレベル
周波数帯 920MHz

LoRaWANの利用に際しては、……

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6. Wi-SUN(ワイサン)とは

Wi-SUNは、Wireless Smart Utility Networkの略で、LPWAの中では日本発の無線通信規格となります。標準化を主導したのは情報通信研究機構(NICT)で、主にスマートメーターのデータ送信に採用されたのが始まりです。通信距離はSigfoxやLoRaWANに比べて短いものの、一定の通信速度は達成しており、……

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7. NB-IoTとは

NB-IoTは、既存のLTE回線を使用できる、セルラー系LPWAの1つです。通信距離が長く広範囲な半面、通信速度が遅いというスペック的な部分は他のLPWAと似ているものの、別途Wi-Fi環境を用意する必要がなく、LTE回線を使用した単体でのネット接続が可能なところは、大きなメリットです(表6)。そのため、家電や車、センサなど、高速データ通信を必要としないIoT製品に向いています。また、機能がシンプルなためモジュールの小型化が容易であり、加えて安価に設計が可能というメリットを生かすことで、特にセンサネットワークの構築に適しています。グローバル市場では、……

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8. LTE Cat.M1(LTE-M)とは

LTE Cat.M1 も、SigfoxやLoRaWANと同様に通信距離が長く広範囲な半面、通信速度が遅いという、特徴を持つセルラー系LPWA規格の1つです。LTE-Mと呼ばれることもあります。NB-IoT同様、既存のLTE回線を使用できるため、追加の基地局などを作ることなく、広範囲のエリアで使用できます(表7)。

表 7:LTE Cat.M1の特徴(引用:神谷雅史、最新図解で早わかりIoTビジネスがまるごとわかる本、ソーテック社、2019年)
特徴 メリット デメリット
通信距離 数十km
  • 通信距離が長い</li<>
  • 広い範囲のネットワークを使用可能
  • 比較的に大容量のデータの送受信可能
  • 音声通話可能
  • まだ規格が策定しきれていない(大書執筆時2018年12月)
  • 若干費用が高い
通信速度 上り:0.8Mbps
下り:0.8Mbps
消費電力 未定
周波数帯 920MHz/2.1GHz帯(ソフトバンクのサービスではLTEバンド)

NB-IoTとの大きな違いは、……

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第5回:IoTクラウドの基礎知識

前回は、IoTの世界で広く活用されている長距離通信規格LPWAについて解説しました。今回は、IoTクラウドの基礎知識を、事例を交えて紹介します。

1. クラウドとは

クラウドとは、さまざまな場所に設置されたIoT機器からデータを一元管理する、巨大なデータ集積所です。とはいえ、それが単にストレージとしての機能のみでないことは、皆さんご存じのとおりです。クラウドは同時に、仮想マシン(コンピューティング)、アプリケーション、データベース、データ分析といった数々のITリソースを、オンデマンドで提供します。一般的に、このような機能をクラウドで利用することを「クラウド・コンピューティング」と呼びます。

2. クラウドの種類

世界的に有名な巨大IT企業をはじめ、さまざまな企業がクラウドサービスを提供しており、代表的なものにGoogle Cloud Platform、Amazon Web Service(AWS)、Microsoft Azureがあります。表1は、それらが提供するサービスをデータ分析の面で比較したものです。これを見るとそれぞれに特徴があり、得意不得意があるのが分かります。例えば、課金方法では、Google Cloud Platformのようにクエリー(コマンド)単位で課金するサービスもあれば、AWSのようにクエリー後、クラウド側で処理を走らせる計算リソースへ課金する場合もあります。

表1:クラウドサービスにおけるデータ分析サービスの違い、JIG-SAW株式会社「Google Cloud Platformの基礎知識」をもとに作図(引用:神谷雅史、最新図解で早わかり IoTビジネスがまるごとわかる本、ソーテック社、2019年)
  Google clound
Platform
Amarzon Web
Service
Microsoft Azure
サービス名 BigQuery Redshift SQL Dataware House
情報 計算リソースの準備が必要 計算リソースの準備が必要 計算リソースの準備が必要
課金方式 クエリー単位の課金 計算リソースへの課金 計算リソースへの課金
チューニング 完全マネージドなため、チューニングは不要 チューニングが可能 チューニングが可能
性能 ニアリアルタイムな
高速処理
性能を変更可能 性能を変更可能

どれを選択するかは、どのようなIoTサービス・製品を作っていくかによって変わってきます。その一例として、メルカリの活用事例を紹介しましょう。フリマアプリで有名なメルカリは、……

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3. IaaS、PaaS、SaaS:クラウドサービスの種類

クラウド・コンピューティングが可能なサービスには、大きく分けてIaaS、PaaS、SaaSの3種類があります(表2)。

・IaaS(イァース):Infrastructure as a Service

IaaSは、仮想サーバやハードディスクなどのインフラを、サービスとして提供する形態を指します。代表的なサービスに、Google ComputeEngine、Amazon Elastic Compute Cloudなどがあります。サーバを利用する際に必要なスペックのハードウェアやOSを、ユーザーが自由に選定して利用できます。当然、専門の知識は必要になるものの、ハードウェアの設計から始められるので、後述の PaaS や SaaS では達成できない目的があり、より細やかな設定が必要な場合には最適な選択肢といえます。

・PaaS(パース):Platform as a Service

PaaSは、アプリケーションソフトが稼働するプラットフォームを提供する形態を指します。代表的なサービスに、Google App Engine、MicrosoftAzureなどがあります。エンドユーザーにインフラのサービスを提供するIaaSの考え方をさらに深化させたものであり、主にソフトウェア企業などのユーザーがそのプラットフォーム上においてサービス開発をしています。開発者は、あるシステム設計に沿って開発が行えるため、コストを抑えつつ、短期間でシステム開発ができるようになっています。制限があるために、IaaSに比べると細やかな設定はできません。しかし、プログラムを動作させるために必要なものがあらかじめ揃っているので、面倒なことを考えずにプログラム開発をしたい場合には最適な選択肢といえます。

・SaaS(サース):Software as a Service

……

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4. 価値の創出

IoTがクラウドを利用する一番のメリットは、「どこにでも機器をつなぎ、データを柔軟に溜めて、新しい価値を創り出す」ところにあります。上記のようなクラウドのサービスを利用しない場合、例えば、自社内にあるサーバでの運用(オンプレミス)を想像してみましょう。その場合、……

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第6回:IoTを構成する5つの市場レイヤー

前回は、IoTクラウドについて説明しました。最終回となる今回は、IoT市場を構成する5つのレイヤーと7つのテクノロジーを紹介します。IoT市場の全体像を技術的な観点から俯瞰(ふかん)することで、IoTビジネスの理解を深めます。

1. 5つのレイヤー

IoTビジネスを検討する際に参考にしてほしいのが、IDC Japanが定義している「IoT市場を構成する5つのレイヤー」です(図1)。

図1:IoT市場を構成する5つのレイヤー

図1:IoT市場を構成する5つのレイヤー(引用:神谷雅史、最新図解で早わかり IoTビジネスがまるごとわかる本、ソーテック社、2019年)

前回でも解説したとおり、……

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2. 7つのテクノロジー

これらの市場に考えられる技術を紹介します。ここでは、代表的な技術分野として、7つのテクノロジーに焦点を当てます(図2)。

図2:IoT市場を構成する7つのテクノロジー

図2:IoT市場を構成する7つのテクノロジー(引用:神谷雅史、最新図解で早わかり IoTビジネスがまるごとわかる本、ソーテック社、2019年)

以上の7つのテクノロジーがそれぞれ、どの市場レイヤーに属するのかを考えた場合、図3のように配置すればスッキリするのではないでしょうか。

図3:5つの市場レイヤーと7つのテクノロジー、Torrentio「IoT市場を構成する5つのレイヤー」をもとに作図

図3:5つの市場レイヤーと7つのテクノロジー、Torrentio「IoT市場を構成する5つのレイヤー」をもとに作図(引用:神谷雅史、最新図解で早わかり IoTビジネスがまるごとわかる本、ソーテック社、2019年)

IDC Japanの資料をもとに、5つの市場レイヤーに属する7つのテクノロジーについて具体的な役割を説明します。

・システム/デバイスレイヤー × IoTデバイス

組み込みシステムを中心とした技術要素のことで、センサなどの情報収集デバイスや、スマートメーターなどインテリジェントな機能を備えた、ありとあらゆる分野の装置を指します。身近な例でいえば、各種センサ、スマートフォン、スマートウォッチなどです。

・コネクティビティレイヤー × 通信モジュール、通信回線、通信機器

「通信モジュール、通信回線、通信事業者によって運用される、中継網や通信インフラ、ルータ、スイッチといった通信機器の市場」をカバーする領域で す。具体的には、3G/LTE、WiMAX、Wi-Fi、Bluetooth、ZigBee、Wi-SUNといった技術が該当します。

・プラットフォームレイヤー × プラットフォームソフトウェア

……

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