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雷害~雷による障害や被害、それらの発生メカニズム:雷対策の基礎知識2

雷対策の基礎知識

更新日:2021年3月12日(初回投稿)
著者:東洋大学工業技術研究所 客員研究員 東洋大学名誉教授 加藤 正平

前回、雷発生のメカニズムと雷放電の特徴を紹介しました。今回は、機器・設備への落雷による雷害の種類とその被害の特徴、さらに雷害の発生メカニズムについて解説します。また、人体への落雷が起きないようにするための対策も説明します。

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1. 雷害の概要

落雷は、雷雲内の電荷が、地上との間の放電によって消失する現象です。雷害は、落雷による大電流と、それに伴う高電圧・発光・発熱が、地上とその近くの建造物、機器、さらに人に対して障害・被害を及ぼすことをいいます。木々に落雷すれば、短時間の大きな電気エネルギーによって急激な発熱、膨張、水蒸気爆発、発火などが発生し、幹の破裂からの倒木、森林火災といった被害の原因になります。こうした雷害を防ぐため、避雷針や、避雷器(SPD)などの設置が有効です。

・避雷針
避雷針は、落雷による被害を避けるための装置で、大地から屋上などに延ばした金属線をいいます。接地線とも呼ばれます。この金属線に落雷させて、雷電流を大地に速やかに流し、近傍の物体への雷撃を避ける仕組みになっています。

周囲の樹木よりも地上高が高い建物には、落雷に対するリスク対策が必要です。特に、それが国宝木造物などである場合は、木々への落雷と同じく火災が生じやすいため、落雷対策として避雷針を設置しています(図1)。また、コンクリートやレンガといった非木造物であっても、落雷による亀裂からの脱落、破損が発生するリスクはあります。

図1:避雷針

図1:避雷針

・避雷器(SPD)
避雷器(SPD)とは、雷が発する瞬間的な過渡的過電圧(サージ)を制限して、機器や設備を保護する機器です。この避雷器は、電子回路のような低電圧から、送配電設備の高電圧までに使用されることから、最近ではサージ抑制素子(SPD:Surge Protective Device)とも呼ばれています(図2)。避雷針が建物を守ることを目的とするのに対し、避雷器(SPD)は、機器を守ることを目的としています。

図2:SPDカートリッジ(例)

図2:SPDカートリッジ(例)

大電力送電線路では、複数の避雷器設備を使用することで、数億Vの直撃雷にも耐えられるようになっています。しかし、電力を送る電線(電力線)自体は、雷としては低い電圧である約100万Vの直撃雷でも設備被害が発生しないように作られています。

機器設備への雷被害金額は、その保険金などから1,000億~2,000億円と推定されています。さらに、2次的損失となるIT関係の情報データ喪失、障害からの復旧などを含めれば、さらに被害金額は増大します。被害金額の割合は、工場やオフィスが約60%、一般家庭が20%を占めます。最近の電気電子機器では、省電力や機能の高性能化のために多数の半導体部品が使用されており、低電圧で動作するものが多くなっています。例えば、家電機器ではテレビ、電話(FAX)やPC、給湯器、エアコンがあり、被害を受けるものが多くなっています。特に、屋外から引き込まれるアンテナや電力線、通信線に接続される複数の機器は、被害を受けるリスクがより高くなります。

2. 落雷の分類

落雷には、雷放電によって大地側で発生する障害・被害の状況から、直撃雷、誘導雷、逆流雷、側撃雷などに分類されます(図3)。なお、雷と呼ぶものには自然雷、人工雷、内雷、外雷がありますが、本稿では省略します。

図3:雷の種類

図3:雷の種類

・直撃雷
直撃雷は、雷雲から直接対象物に落雷することをいいます。この時、落雷点に主放電の数kA~数100kAの電流、および数100万V~数億Vの電圧が直接加わることになります。非常に高い電圧に対して絶縁を保つように機器・設備を作ることは、技術的に可能であっても経済的、あるいは取り扱い(絶縁距離が大きくなる)などに問題が生じます。そこで、通常は絶縁状態で、落雷時にのみ雷電流が大地に流れるようにして、大地の電位と設備機器間の電位差(電圧)を抑制するSPDが開発されました。

一般的に直撃雷を受けると、その大電流による被害は避けられません。直撃雷をできるだけ避けるため、避雷針を設置することが重要です。

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3. 人体に対する落雷

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