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機械製図の基礎知識(設計精度保証編)

機械製図の基礎知識(設計精度保証編)

著者:Material工房・テクノフレキス 代表 藤崎 淳子
監修:株式会社ラブノーツ 代表取締役 技術士(機械部門) 山田 学

図面は、製造に関わる全ての人に設計者の意図を伝える手段です。設計意図を正しく反映した製品を作るには、材質と形状と寸法に加えて、精度を保証するための情報を図面に記す必要があります。本連載では6回にわたり、図面に設計精度を織り込むための基礎知識と、機械要素の描き方を解説します。第1回は、公差の考え方を説明します。公差とは、部品を加工する際に生じる寸法のばらつきで、許容される誤差です。

なお、2016年のJIS改正により、寸法は大きさと位置に分類し、大きさに関する精度はサイズ公差、位置に関する精度は幾何公差で指示すべきと提言されました。本シリーズでは、幾何公差との関連を同時に説明することが難しいため、従来から日本国内で使用している寸法公差の概念で説明します。

第1回:サイズ公差の表し方

1. 公差がなかったらどうなるのか

もしも公差という概念が存在しなかったら、寸法数値ぴったりで加工をしなければならなくなります。すると、加工工数がむやみに増える上に、量産性を考えると、加工の歩留まりが悪くなり、製品の単価が著しく上がります。そこで、ある一定の範囲であれば寸法がばらついてもよいことにします。これが、寸法公差です。

前連載、機械製図の基礎知識の第9回で述べた普通許容差は、寸法に表さなくても、ある限られた公差内に加工しなければいけないという、暗黙の了解の下に存在する基準でした。精度を要求しない寸法にはこれを適用します。ただし、加工のばらつきを最小限に抑えたい場合や、寸法誤差が一定の範囲内に収まっていなければならない場合などは、普通許容差よりもさらに厳しい公差を、寸法に続けて記入します。つまり、寸法公差は普通許容差の範囲よりも高い精度を指示するためにあります。この公差が大きいほど歩留まりがよくなり、加工工数を削減できるので、コストを下げることができます。

寸法公差を考えるとき、最も悩ましいのが公差値の決め方です。実は、……

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2. 寸法公差の記入の仕方

長さの寸法公差の記入は、数値によって表す方法が一般的です。公差が基準寸法に対して均等な場合は、寸法数値の後ろに±(プラス・マイナスの記号)とともに数値を記入します。一方、基準寸法に対して不均等の場合は、寸法数値の後ろに公差を2段に重ね、上段に上の寸法許容差を、下段に下の寸法許容差を記入します。寸法許容差の数値には単位を付ける必要はありません(図2)。

寸法公差を記入する文字サイズには、特にルールはありません。寸法数値よりも小さく記入して、見やすくするのが一般的です。また、公差がゼロから始まる場合、ゼロに+や-の符号は付けません。

図2:長さ寸法公差の指示例

図2:長さ寸法公差の指示例

公差は、単に基準寸法に近ければよい場合と、……

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3. 角度公差の記入ルール

角度の公差の記入ルールは、長さの公差の記入と同じと考えて問題ありません。ただし、長さ寸法と違って、必ず角度の単位記号(°)を付ける必要があります。角度の公差を指示する場合、度(°)の他に、分(′)を使うことができます。分(′)は時計と同じで、1度(°)=60分(′)と解釈します。角度の単位に分(′)を使用する場合は、度(°)の単位の後に記入します(図5)。

図5:角度寸法公差記入例

図5:角度寸法公差記入例

4. 累積公差の考え方

公差を記入する場合には、1つの部品に複数の形状があり、それらが相互に関連して寸法が累積する場合(図6)と、個別の形状を持った複数の部品が、積み木を重ねるように相互に関連して寸法が累積する場合があります(図7)。これら2つの事例は、全く同じように考えることができます。

図6:基準面からの公差の累積事例(1つの部品に複数の形状がある場合)

図6:基準面からの公差の累積事例(1つの部品に複数の形状がある場合)

図7:基準面からの公差の累積事例(個別の形状を持った複数の部品が積み重なった場合)

図7:基準面からの公差の累積事例(個別の形状を持った複数の部品が積み重なった場合)

例えば、部品A、B、C、Dの4つの部品を積み重ねたものを、別の枠にできる限りガタ(がたつき)を少なくして挿入したい場合を考えてみます(図8)。

図8:累積公差の検討例

図8:累積公差の検討例

ここで、枠の寸法について2つの検討方法があります。算術的な公差、または、分散の加法性を使った統計的な公差の検討方法です(表1)。

表1:公差検討方法の違い

表1:公差検討方法の違い

それぞれの検討方法を詳しく説く前に、正規分布と一様分布について説明します(図9)。正規分布とは、……

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第2回:寸法公差、許容差とは

前回は、普通許容差よりも厳しい精度を指示する寸法公差の考え方と、長さ寸法、角度寸法における記入ルールを紹介しました。今回は、寸法公差と許容差について解説します。機械部品の結合や相対運動には、穴と軸の組み合わせで成り立つものが多くあります。組み合わせる穴と軸、2部品間の許容寸法について詳しく説明します。

1. はめあいと公差クラスの記号について

機械を設計する上で、穴に軸を挿入し、位置決めや摺(しゅう)動、固定などに用いることは設計の基本といえます。はめあいとは、穴に軸が挿入され、はまり合う固さの度合いです。つまり、組み立てる前の穴と軸の、組み合わせる前の寸法の差をいいます。これは、円筒形状以外に、角溝と角ブロック形状でも使えます。はめあいは、すきまばめ、しまりばめ、中間ばめに大別されます。

・すきまばめ

すきまばめとは、穴と軸を組み立てたときに、常にゼロ以上の隙間(穴に対する不足分)ができるはめあいをいいます(図1)。

図1:すきまばめの概念図、実例、公差の関係

図1:すきまばめの概念図、実例、公差の関係

・しまりばめ

しまりばめとは、穴と軸を組み立てたときに、常にゼロ以上のしめしろ(穴に対する余剰分)ができるはめあいをいいます。いわゆる圧入と呼ばれるものです(図2g>)。

図2:しまりばめの概念図、実例、公差の関係

図2:しまりばめの概念図、実例、公差の関係

・中間ばめ

中間ばめとは、組み立てた穴と軸の間に、実寸法のばらつき具合に依存して、隙間、またはしめしろのどちらかができるはめあいをいいます(図3)。

図3:中間ばめの概念図、実例、公差の関係

図3:中間ばめの概念図、実例、公差の関係

はめあいのタイプを設定するためには、公差値を決める必要があります。実現可能な公差幅を決める際の目安になるのが、IT基本公差です。IT基本公差は、……

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2. 公差域クラスの記号を使った寸法記入例

IT 基本公差の等級(表1)と、穴の公差域クラスには関係があります。例えば、IT基本公差を抜粋した表4において、基準寸法3~6で公差等級がIT7の場合、公差数値は12μmです。

表4:IT基本公差(抜粋)
基準寸法
(mm)
公差等級
IT1 IT2 IT3 IT4 IT5 IT6 IT7 IT8 IT9 IT10 IT11
超え 以下 ランクA ランクB ランクC ランクD
μm
3 0.8 1.2 2 3 4 6 10 14 25 40 60
3 6 1 1.5 2.5 4 5 8 12 18 30 48 75
6 10 1 1.5 2.5 4 6 9 15 22 36 58 90
10 18 1.2 2 3 5 8 11 18 27 43 70 110
18 30 1.5 2.5 4 6 9 13 21 33 52 84 130

表5を見ると、基準寸法3~6で公差域クラスH7の場合、公差数値は+12~0μmです。つまり、公差等級ITの公差数値は、寸法公差の幅を表していることが分かります。

表5:穴の公差域クラス(抜粋)
基準寸法の区分
(mm)
穴の公差域クラス
超え 以下 F6 F7 F8 G6 G7 H5 H6 H7 H8 H9 H10 Js5 Js6 Js7
3 +12 +16 +20 +8 +12 +4 +6 +10 +14 +25 +40 ±2 ±3 ±5
+6 +2 0
3 6 +18 +22 +28 +12 +16 +5 +8 +12 +18 +30 +48 ±2.5 ±4 ±6
+10 +4 0
6 10 +22 +28 +35 +14 +20 +6 +9 +15 +22 +36 +58 ±3 ±4.5 ±7.5
+13 +5 0
10 18 +27 +34 +43 +17 +24 +8 +11 +18 +27 +43 +70 ±4 ±5.5 ±9
+16 +6 0
18 30 +33 +41 +53 +20 +28 +9 +13 +21 +33 +52 +84 ±4.5 ±6.5 ±10.5
+20 +7 0
30 50 +41 +50 +64 +25 +34 +11 +16 +25 +39 +62 +100 ±5.5 ±8 ±12.5
+25 +9 0

以下に、公差クラスの記号を使った寸法記入の実例を示します。図9、図10を参照し、段付き軸にはめあい公差を記入してみましょう。図9の組み立て図の情報から、この段付き軸は、U字型のブラケットを貫通していることが分かります。

軸の組み立て図

図9:軸の組み立て図

さらに、図10の段付き部分の寸法hをブラケットの板厚部分に差し込み、Eリングで固定します。よって、……

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第3回:表面性状の考え方の基本

前回は、寸法公差と許容差を紹介しました。今回は、表面性状の考え方を解説します。製図では、寸法や寸法公差とは別に、表面性状(表面粗さ)を指示しなければなりません。製品にとって、表面性状とはどのような要素なのでしょう? また、表面性状の指定は、なぜ必要なのでしょう? 今回は、これらについて詳しく解説します。

1. 表面性状を図示する理由

表面性状とは、除去加工に伴う面の肌(滑らか度)や、うねり、加工によって付いた工具の筋目(凸凹)、表面粗さなどの総称です。表面性状は、密封などの機能を果たすため、あるいは外観の装飾性を表現するため、手触り感を良くするためなど、製品の機能として大変重要な要素となります。製図では、寸法や寸法公差とは別に、表面性状を指示する必要があります。

金属を切削加工した場合、図1に示すような刃物の傷跡が残る場合があります。

図1:切削加工した金属に残る刃物の傷跡

図1:切削加工した金属に残る刃物の傷跡

傷があると見た目を損なうため、このような部品には商品価値がないと考える人もいるでしょう。しかし、部品の状態では傷跡が見えていても、……

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2. 2種類の表面粗さ

表面粗さを表す主なパラメータには、算術平均粗さ(Ra)と、最大高さ(Rz)の2種類があります。以下に詳しく解説します。

・算術平均粗さ(Ra)

算術平均粗さ(Ra)とは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計して平均した値をいいます。特徴として、1つの傷が測定値に及ぼす影響が非常に小さくなり、安定した結果が得られることが挙げられます。

図2に示すように、粗さの平均線で谷の部分を折り返し、さらにその平均を取った値が算術平均粗さ(Ra)です。実際の粗さの山と谷の、約1/4の大きさとなります。算術平均粗さは、一般的な機械部品に用いられています。日本を含め、世界的にも算術平均粗さが用いられることが多いようです。

図2:算術平均粗さ

図2:算術平均粗さ

・最大高さ(Rz)

最大高さ(Rz)とは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜き取り部分の平均線から山頂線までの高さと谷底線までの深さとの和の値をいいます(図3)。

図3:最大高さ

図3:最大高さ

最大高さは、……

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3. 代表的な表面粗さの計測方法

表面粗さを計測する方法には、2つの方法があります。一つは、あらかじめ加工方法ごとに基準を満たして製作された表面粗さ標準片を用意し、現品を比較する方法です。比較は、人が感覚的に判断します。もう一つは、表面粗さ測定機を用いて数値を求める方法です。

・人の感覚による判断

表面粗さ標準片を用いる場合は、視覚による比較と、爪先でこする触覚による比較の2通りを行います。この方法は簡易的なため、生産現場では日常的に用いられています。

比較用表面粗さ標準片

図4:比較用表面粗さ標準片

・測定機による判断

表面粗さを数値的に求める場合、表面粗さ測定機には、接触式測定器と非接触式測定器があります。レーザなどを用いた非接触式測定器は、測定物を傷つけることなく表面粗さを測定できるメリットがあります。

一方、最も広く普及しているのは、……

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第4回:表面性状の表し方

前回は表面性状の考え方を紹介しました。今回は、前回の記事を踏まえて、表面性状を表す記号の種類と使い方、および図面に表面性状を指示するための製図ルールを解説します。

1. 表面性状の種類と記号

切削加工では工具による加工の跡が残ります。加工跡は、加工の送り速度が速いほど残りやすく、その結果、表面は粗くなります。図面には、機能上、傷跡の除去加工が必要な面と不要な面との差を、その公差範囲に見合う表面性状の記号と値をもって、寸法公差とともに指示します。一般的に、表面性状の指示は、切削加工品の表面における除去加工の要否の他、面の粗さ、筋目について記入します。切削加工を伴わない板金部品には指示しません。

記号は、時代の流れで変化しています。ISO準拠の記号が最新のものです。ただし、実際の現場では、旧式の記号を使った図面も現役で使用されています。時代ごとの記号が入り混じった環境で作業をすることも多いため、改定前の記号の違いも理解する必要があります(図1)。

図1:表面性状の図示記号と変遷

図1:表面性状の図示記号と変遷

・基本図示記号

基本図示記号は、対象面を示す線に対して約60°傾いた長さの異なる2本の直線で構成します(図2)。ただし、基本図示記号だけでは、表面性状の要求事項の指示にはなりません。

図2:基本図示記号(除去加工の有無を問わない基本記号)

図2:基本図示記号(除去加工の有無を問わない基本記号)

・除去加工の図示記号

表面性状における除去加工とは、機械加工によって材料の表層部を削り取り、表面を滑らかに仕上げることをいいます。ただし、素材の状態で寸法精度があるものは、除去加工をしない記号を指示しなければなりません。対象面に機械加工(除去加工)をしてもしなくてもよい場合は、図2の基本図示記号に、表面性状パラメータを指示します。

除去加工をする場合は、基本図示記号に横線を加え三角形状にして、表面性状パラメータを指示します(図3)。ただし、……

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2. 加工方法と表面粗さの関係

加工機械や使用する工具によって、表面粗さの数値が決まるものがあります。一般的な例を表3に示します。

表3:加工と表面粗さの関係
名称 指示例 写真 備考
ドリル

「キリ」と指示した場合は、ドリルで加工するため表面性状はRa25と判断されます。従って表面性状の記号は省略します。
リーマ

「リーマ」と指示した場合は、リーマで仕上げるため表面性状はRa1.6と判断されます。従って表面性状の記号は省略します。
研削盤

また

平面研削盤

砥石

砥石(といし)

一般論として、Ra0.4~0.8を指示した場合、研削加工を行うものと考えられます。研削盤に載せ換えて加工するため、段取り工数が増え、大幅なコストアップになります。機能上、本当に必要かを確認する必要があります。

3. 表面性状の記入例

表面性状の図示記号は、投影図の外形線か、その延長線上にある寸法補助線、あるいは引き出し線に接し、図面の下辺、または右辺から読めるように向けます(図7左)。また、記号の突起部は、部品実体の表面側に向けて指示する必要があります(図7右)。

表面性状記号の向き

図7:表面性状記号の向き

大部分の表面が同じ表面性状の場合、正面図の近辺にその図示記号を示し、部分的に異なった表面性状が別に存在することを、かっこで囲んだ基本図示記号で表します。これは、機械加工面全てに対し、個別に表面性状を指示すると、図面が見にくくなるためです。あるいは、かっこで囲んだ基本図示記号の代わりに、図中で示した種類の表面性状記号を記入しても構いません(図8)。

大部分の表面が同じ表面性状の場合

図8:大部分の表面が同じ表面性状の場合

基本記号に円を付けると、指示した表面性状は、その投影図の全周の表面に適用されます。ただし、投影図の手前と裏の面には適用されないため、注意が必要です(図9)。

全周記号

図9:全周記号

面の肌に関する指示記号は、面の指示記号に対し、表面粗さの値や加工方法、筋目方向の指示をすることができます。図10に、各指示記号の記入位置を示します。

面の指示記号

図10:面の指示記号
  1. 通過帯域、または基準長さ
  2. 複数パラメータが要求されたときの2番目以降のパラメータ指示
  3. 加工方法
  4. 筋目方向とその方向
  5. 削りしろ

例えば、ある表面をフライス盤で加工し、……

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第5回:ねじの製図

前回は、表面性状の考え方を紹介しました。今回は、ねじの製図について解説します。ねじの製図には、これまでに学んだ機械製図とは異なるルールがあります。ねじの種類と、図面での表し方について、詳しく説明します。

1. ねじの種類

ねじには、外側にねじ山を持つおねじと、内側にねじ山を持つめねじがあります。また、右に回転させて締め込むねじを右ねじ、左に回転させて締め込むねじを左ねじといいます。一般的なねじは、右ねじです。

ねじには、さまざまな分類方法があります。

・ねじ山の形による分類(表1)

(例)三角ねじ、角ねじ、台形ねじ、鋸(のこ)歯ねじ、丸ねじ、ボールねじなど

表1:ねじ山の形による分類
名称 特徴 形状
三角ねじ 一般的に締結用に用いられます。
ピッチの単位によって、メートルねじ(ミリメートル)、ユニファイねじ(インチ)があります。ねじ山の角度は60°です(写真上)。
管(くだ)用ねじはインチねじの一種です。ねじ山の角度は55°です(写真下)。

ねじ山の角度は60°

ねじ山の角度は55°

角ねじ ジャッキや万力、バイスの締め付けなど、大きな力の伝達用に用いられます。

台形ねじ 旋盤など工作機械の送り用ねじとして用いられます。

鋸(のこ)歯ねじ ねじ山の断面が、角ねじと三角ねじを組み合わせたのこぎりの刃のような形状をしています。一方向からのみ大きな力が作用する場合に使用します。

・ボルトやナットなど、形状や寸法、強度などによる分類

(例)十字穴付きねじ、六角ボルト、六角ナットなど

・ねじ山のピッチによる分類

(例)メートル並目ねじ、メートル細目ねじ、メートル台形ねじ、管用ねじなど

ピッチとは隣り合ったねじ山の中心同士を結んだ間隔をいいます(図1)。

図1:ねじのピッチ

図1:ねじのピッチ

ねじ山のピッチで分類されるねじには、次のようなものがあります。

  • メートル並目ねじ(M):(例)M8
  • メートル細目ねじ(M):(例)M8×1

……

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2. おねじとめねじの図示の仕方

ねじは、一般的に軸に直角な方向から見た図を正面図とし、JISによって図示方法が決まっています。図2に、ねじ部の名称を示します。呼び長さと、ねじ長さの違いを理解しましょう。なお、呼び長さをL(エル)長さともいいます。

図2:ねじ部の名称

図2:ねじ部の名称

機械製図では、ねじは太い実線と細い実線を組み合わせた二重円を用いて表します。おねじは外径の線を太い実線で、ねじの谷底の線を細い実線で表します。一方、めねじは内径の線を太い実線で、ねじの谷底の線を細い実線で表します。

ねじの谷底を表す細い実線は、円周の3/4にほぼ等しい円の一部で表し、やむを得ない場合を除いて、右上方1/4円を空けるのがよいと規定されています(図3)。やむを得ない場合とは、寸法の矢が右上方からしか引き出せない場合や、図形の省略によってねじの投影図が半分しか描けない場合などです。その場合、右上方以外で1/4円を空けることができます。

図3:おねじとめねじの表し方

図3:おねじとめねじの表し方

ねじ部には、一般的に三角のらせん状の突起があります。しかし、機械製図では、……

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3. ねじの寸法記入

以下に、ねじの寸法指示の方法を示します(図7)。

  • ねじの寸法指示は、丸く見える方向から見た投影図では、おねじの山の頂、またはめねじの谷底から矢を引き出して記入します。
  • ねじの断面図では、穴の入口の中心点から寸法線を引き出し、一括指示することができます。
  • ねじの断面図では、一般の寸法のように個別に寸法を記入することもできます。
  • ねじの呼び径は、常におねじの山の頂、またはめねじの谷底に対して記入します。
  • ねじの長さ寸法、または深さ寸法は、一般にねじ部の長さを指示し、貫通でない限り必要です。ただし、下穴深さは、機能上必要でない場合は省略しても構いません。下穴深さを指定しない場合は、一般的にねじ長さの約1.25倍に描きます。

なお、図7では下穴径を記入しています。ただし、……

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第6回:歯車とばねの製図

前回は、ねじの製図方法を紹介しました。今回は、最終回です。歯車とばねの製図の決まりごとについて解説します。歯車とばねは、ねじと同様に代表的な機械要素です。歯車とばねの種類と機能、および図面での表し方を学びましょう。

1. 歯車の種類

歯車は、その形状、用途、材質などにより、さまざまな種類に分類できます。その中でも、歯車軸によっては、次の3つに分類できます。

  • 2軸が互いに平行である歯車(平歯車、はすば歯車、内歯車)
  • 2軸が1点で交わる歯車(すぐばかさ歯車、曲がりかさ歯車)
  • 2軸が食い違い、平行でもなければ交わりもしない歯車(ラック&ピニオン、ねじ歯車、ウォームギヤ、ハイポイトギヤ)

歯車製図の規格では、一般的な機械に用いる以下の8種類歯車(主として、インボリュート歯車)の製図について規定しています。

表1:歯車の種類
名称 特徴 形状
平歯車 歯すじが軸に平行な直線である円筒歯車です。
製作が容易であるため、動力伝達用に最も多く使われています。

はすば歯車 歯すじがつるまき線である円筒歯車です。
平歯車よりも噛(か)み合い率が大きくなるので強度があり、静音化にも使われます。

はすばラック はすば歯車と噛み合うねじれを持った直線歯形の歯車です。
一般的な自動車の操舵(そうだ)装置に用いられているラック&ピニオンとして使われてます。

すぐばかさ歯車 歯すじが直線で軸心が交わる交差歯車です。
比較的、政策が容易であるため、一般的に動力伝達用かさ歯車として使われています。

ハイポイドギヤ 「食い違い軸の間に運動を伝達する円錐(えんすい)状の歯車の対」で、かさ歯車の2軸が交わらないものです。

ウォーム&ウォーム
ホイール
コンパクトな機構で大きな減速比(高トルク)を簡単にとるのに最適な歯車です。

2. 歯車図面の例

歯車の図示方法は、JISによって規定されています。軸に直角な方向(歯すじが見える方向)から見た図を正面図とし、軸線を水平に配置します。円周上に存在する歯車の歯は、インボリュート歯形という突起が一般的です。ただし、投影図では歯形を描きません、そこで、歯形の代わりに簡略図を用います(図1)。以下に、簡略図の描き方を示します。

  • 歯先円(歯の先端)は、太い実線で表します。
  • 基準円(互いの歯の噛み合い中心線)は、細い一点鎖線で表します。以前はピッチ円と呼んでいましたが改定により基準円に変更されました。
  • 歯底円(歯の谷底)は、細い実線で表します。ただし、正面図を断面図で図示するときは、歯底の線は太い実線で表します。

歯車の簡略図

図1:歯車の簡略図

はすば歯車(歯が軸線に対して傾いている歯車)は、歯すじ方法を図示します。外形図で表す場合、……

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3. ばねの種類

ばねを設計する場合、使用条件に応じて必要なばね定数を与え、使用中起こりうる最大の負荷、または繰り返し荷重に対して適当な安全率を見込み、ばねの占める空間を考慮しながら形式、大きさ、寸法を決めていきます。図4に、ばねの分類を示します。

ばねの分類

図4:ばねの分類

代表的なばねに、……

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4. ばね図面の例

ばねの図示方法は、JISによって規定されています。一般的に軸に直角な方向(全長が見える方向)から見た図を正面図とし、軸線を水平に配置します。ばねの種類、および形状だけを簡略図で表す場合は、ばね材料の中心線だけを太い実線で描きます(図5)

ばねの簡略図

図5:ばねの簡略図

ただし、製図に用いる場合は、ばねの全てを描くか、一部省略図を用いるのが一般的です。ばねの全てを描く場合、コイルばねの正面図は、正確にはらせん状になります。ただし、製図では、直線として表します。一部省略図のように両端を除いた同一形状部分を省略する場合は、省略する部分の線径の中心線を、細い一点鎖線で表します(図6)。

ばねの省略図

図6:ばねの省略図

よく用いられるばねの図面には、……

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