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表面性状の表し方:機械製図の基礎知識(設計精度保証編)4

機械製図の基礎知識(設計精度保証編)

更新日:2021年4月9日(初回投稿)
著者:Material工房・テクノフレキス 代表 藤崎 淳子
監修:株式会社ラブノーツ 代表取締役 技術士(機械部門) 山田 学

前回表面性状の考え方を紹介しました。今回は、前回の記事を踏まえて、表面性状を表す記号の種類と使い方、および図面に表面性状を指示するための製図ルールを解説します。

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1. 表面性状の種類と記号

切削加工では工具による加工の跡が残ります。加工跡は、加工の送り速度が速いほど残りやすく、その結果、表面は粗くなります。図面には、機能上、傷跡の除去加工が必要な面と不要な面との差を、その公差範囲に見合う表面性状の記号と値をもって、寸法公差とともに指示します。一般的に、表面性状の指示は、切削加工品の表面における除去加工の要否の他、面の粗さ、筋目について記入します。切削加工を伴わない板金部品には指示しません。

記号は、時代の流れで変化しています。ISO準拠の記号が最新のものです。ただし、実際の現場では、旧式の記号を使った図面も現役で使用されています。時代ごとの記号が入り混じった環境で作業をすることも多いため、改定前の記号の違いも理解する必要があります(図1)。

図1:表面性状の図示記号と変遷

図1:表面性状の図示記号と変遷

・基本図示記号
基本図示記号は、対象面を示す線に対して約60°傾いた長さの異なる2本の直線で構成します(図2)。ただし、基本図示記号だけでは、表面性状の要求事項の指示にはなりません。

図2:基本図示記号(除去加工の有無を問わない基本記号)

図2:基本図示記号(除去加工の有無を問わない基本記号)

・除去加工の図示記号
表面性状における除去加工とは、機械加工によって材料の表層部を削り取り、表面を滑らかに仕上げることをいいます。ただし、素材の状態で寸法精度があるものは、除去加工をしない記号を指示しなければなりません。対象面に機械加工(除去加工)をしてもしなくてもよい場合は、図2の基本図示記号に、表面性状パラメータを指示します。

除去加工をする場合は、基本図示記号に横線を加え三角形状にして、表面性状パラメータを指示します(図3)。ただし、要求事項を記入せず、除去加工の図示記号だけを使うことはできません。

図3:除去加工する基本記号

図3:除去加工する基本記号

除去加工を許さない場合は、基本図示記号に丸の記号を付け、表面性状パラメータを指示します(図4)。

図4:除去加工しない基本記号

図4:除去加工しない基本記号

・表面性状の図示記号
表面性状パラメータを指示する場合は、図示記号の長い方の斜線に横線を付けます(図5)。

図5:表面性状の図示記号

図5:表面性状の図示記号

表面性状の要求事項をパラメータとして記入する場合、下図の位置へ示します(図6)。

図図6:表面性状パラメータの位置

図6:表面性状パラメータの位置

・図示記号
3種類の図示記号を使い分けます(図3~5参照)。

・粗さパラメータ
一般的に、算術平均粗さ(Ra)、または最大高さ(Rz)を用います。

・粗さの値(μm)
標準数を使用します。(第3回の表1を参照)

・加工方法の記号
最終工程で使用する加工法の名称で表します。解釈に誤りがないと判断できる場合には、略号を使っても構いません(表1)。

表1:加工方法の略号
加工方法略号
旋削L
穴あけ(ドリル加工)D
中ぐりB
フライス削りM
平削りP
形削りSH
ブローチ削りBR
リーマ仕上げFR
研削G
加工方法略号
ホーニング仕上げGH
液体ホーニング仕上げSPL
バフ仕上げFB
ブラスト仕上げSB
ラップ仕上げFL
やすり仕上げFF
きさげ仕上げFS
ペーパー仕上げFCA
鋳造(ちゅうぞう)C

・筋目方向の記号
除去加工によって生じる顕著な筋目の方向を記入します(表2)。

表2:筋目方向の記号
記号説明図および解釈
=節目の方向が、記号を指示した図の投影面に平行
例)形削り面、旋盤面、研削面

節目の方向が、記号を指示した図の投影面に乗直
例)形削り面、旋盤面、研削面

X節目の方向が、記号を指示した図の投影面に斜めで2方向に交差
例)ホーニング面

M節目の方向が、多方面に交差
例)正面フライス削り面、エンドミル削り面

C節目の方向が、記号を指示した面の中心に対してほぼ同心円状
例)正面研削面

R節目の方向が、記号を指示した面の中心に対してほぼ放射線状
例)端面研削面

P節目が、粒子状のくぼみ、無方向または粒子状の突起
例)放電加工面、超仕上げ面、ブランチング面

備考:これらの記号によって明確に表すことのできない節目模様が必要な場合には、図面に注記として指示する。

2. 加工方法と表面粗さの関係

加工機械や使用する工具によって、表面粗さの数値が決まるものがあります。一般的な例を表3に示します。

表3:加工と表面粗さの関係
名称指示例写真備考
ドリル

「キリ」と指示した場合は、ドリルで加工するため表面性状はRa25と判断されます。従って表面性状の記号は省略します。
リーマ

「リーマ」と指示した場合は、リーマで仕上げるため表面性状はRa1.6と判断されます。従って表面性状の記号は省略します。
研削盤

また

平面研削盤

砥石

砥石(といし)

一般論として、Ra0.4~0.8を指示した場合、研削加工を行うものと考えられます。研削盤に載せ換えて加工するため、段取り工数が増え、大幅なコストアップになります。機能上、本当に必要かを確認する必要があります。

3. 表面性状の記入例

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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