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歯車とばねの製図:機械製図の基礎知識(設計精度保証編)6

機械製図の基礎知識(設計精度保証編)

更新日:2021年5月12日(初回投稿)
著者:Material工房・テクノフレキス 代表 藤崎 淳子
監修:株式会社ラブノーツ 代表取締役 技術士(機械部門) 山田 学

前回は、ねじの製図方法を紹介しました。今回は、最終回です。歯車とばねの製図の決まりごとについて解説します。歯車とばねは、ねじと同様に代表的な機械要素です。歯車とばねの種類と機能、および図面での表し方を学びましょう。

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1. 歯車の種類

歯車は、その形状、用途、材質などにより、さまざまな種類に分類できます。その中でも、歯車軸によっては、次の3つに分類できます。

・2軸が互いに平行である歯車(平歯車、はすば歯車、内歯車)
・2軸が1点で交わる歯車(すぐばかさ歯車、曲がりかさ歯車)
・2軸が食い違い、平行でもなければ交わりもしない歯車(ラック&ピニオン、ねじ歯車、ウォームギヤ、ハイポイトギヤ)

歯車製図の規格では、一般的な機械に用いる以下の8種類歯車(主として、インボリュート歯車)の製図について規定しています。

表1:歯車の種類
名称 特徴 形状
平歯車 歯すじが軸に平行な直線である円筒歯車です。
製作が容易であるため、動力伝達用に最も多く使われています。

はすば歯車 歯すじがつるまき線である円筒歯車です。
平歯車よりも噛(か)み合い率が大きくなるので強度があり、静音化にも使われます。

はすばラック はすば歯車と噛み合うねじれを持った直線歯形の歯車です。
一般的な自動車の操舵(そうだ)装置に用いられているラック&ピニオンとして使われてます。

すぐばかさ歯車 歯すじが直線で軸心が交わる交差歯車です。
比較的、政策が容易であるため、一般的に動力伝達用かさ歯車として使われています。

ハイポイドギヤ 「食い違い軸の間に運動を伝達する円錐(えんすい)状の歯車の対」で、かさ歯車の2軸が交わらないものです。

ウォーム&ウォーム
ホイール
コンパクトな機構で大きな減速比(高トルク)を簡単にとるのに最適な歯車です。

2. 歯車図面の例

歯車の図示方法は、JISによって規定されています。軸に直角な方向(歯すじが見える方向)から見た図を正面図とし、軸線を水平に配置します。円周上に存在する歯車の歯は、インボリュート歯形という突起が一般的です。ただし、投影図では歯形を描きません、そこで、歯形の代わりに簡略図を用います(図1)。以下に、簡略図の描き方を示します。

・歯先円(歯の先端)は、太い実線で表します。
・基準円(互いの歯の噛み合い中心線)は、細い一点鎖線で表します。以前はピッチ円と呼んでいましたが改定により基準円に変更されました。
・歯底円(歯の谷底)は、細い実線で表します。ただし、正面図を断面図で図示するときは、歯底の線は太い実線で表します。

図1:歯車の簡略図

はすば歯車(歯が軸線に対して傾いている歯車)は、歯すじ方法を図示します。外形図で表す場合、歯すじ方向は3本の細い実線で表します(図2左)。断面図で表す場合、歯すじ方向は外形図にしたときに見える歯すじ方向を、3本の細い2点鎖線(想像線)で表します(図2右)。

図2:歯すじの図示方法

一般的な歯車の製図は、歯切り加工前の形状(ブランク)を表す寸法線と、機能上必要とされる寸法公差や幾何公差とともに、歯車諸元表を同一図面内に記入します。歯車諸元表とは、製作する歯車の諸元(モジュール、歯数、工具圧力角など)や、相手歯車との中心間距離、加工方法などを記入したものです(図3)。

図3:平歯車の投影図と諸元表の例

歯車緒元
歯車歯形 転位
基準ラック 歯形 並歯
モジュール 6
工具圧力角 20
歯数 18
基準ピッチ円直径 108
転位量 3.16
全歯たけ 13.34
歯厚 またぎ歯厚

47.9-0.06-0.38

またぎ歯数 Z=3
仕上げ方法 ホブ切り
精度 JIS B 1702 5級

図3:平歯車の投影図と諸元表の例

3. ばねの種類

ばねを設計する場合、使用条件に応じて必要なばね定数を与え、使用中起こりうる最大の負荷、または繰り返し荷重に対して適当な安全率を見込み、ばねの占める空間を考慮しながら形式、大きさ、寸法を決めていきます。図4に、ばねの分類を示します。

図4:ばねの分類

代表的なばねに、金属製コイルばねである圧縮コイルばね、引張コイルばね、ねじりコイルばねなどがあります(表2)。

表2:コイルばねの種類
圧縮コイルばね
引張コイルばね
ねじりコイルばね
・形状が小さくまとまり、製作
 費が安い
・引張ばねと異なり、端末部に
 応力集中がない
・異常時に全圧縮まで使うこと
 でストッパの役目を果たす
・製作費が圧縮ばねに比べて
 高い
・端末の処理が面倒である
・破壊した場合、そのシステム
 は直ちに機能を失う
・巻き方向のトルクを発する
・コンパクトな設計に対応できる
・巻き込み方向と巻き戻し方向に
 トルクを発することができる
 巻き戻し方向で使う場合は、
 破損の恐れがあり、注意が必要
圧縮コイルばね 引張コイルばね ねじりコイルばね

 

コイルばねは、低価格でコンパクトであるなどの利点から、広い用途に使われています。フック部や座巻き部を除いて均等な応力がかかるため、板ばねより材料の利用効率が高いという特徴があります。

4. ばね図面の例

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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