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機械製図の基礎知識

機械製図の基礎知識

著者:Material工房・テクノフレキス 代表 藤崎 淳子
監修:株式会社ラブノーツ 代表取締役 技術士(機械部門) 山田 学

近年、3DCADによる設計製造プロセスの合理化が進められています。3DCADでは、3Dモデルから2次元図面を作成でき、製図作業は楽になりました。しかし、3Dモデルを2次元化しただけでは、図面とは呼べません。図面は、設計者の意図を伝える手段です。製造に必要な情報を的確に指示しなければなりません。本シリーズでは、10回にわたりJIS機械製図の基礎知識を解説します。初回となる今回は、製品開発における図面の役割を紹介します。

第1回:図面とは

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1. 設計の流れと製図

図1は、製品開発の一般的な流れを示します。設計者が描き起こした図面を中心にものづくりが行われ、全体を通して、図解力と製図力の2つが求められています。

図1:製品開発の流れ

図1:製品開発の流れ

設計者にとって必要な図解力とは、頭の中のさまざまなアイデアを具現化する能力です。また、製図力とは、製造に必要な情報や設計意図を適切に伝えるための図面を作成する能力です。なお、製品開発プロセスには、設計者以外のさまざまな関連部門のエンジニアが存在します。このようなエンジニアにも、設計者が描いた図面を理解するための図解力が求められます。

図解力=平面と立体を頭の中で自由自在に変換できる能力

製図力=設計の機能や組み立てを知り、基準を明確にした図面を正しく描く能力

この2つの基礎をしっかり学ぶことで、エンジニアとしての思考力が向上します。また、製品開発プロセスに関わる全ての人に、正しい情報を伝えられるよい図面を描けるようになります。

2. ISOとJIS

モノづくりに携わっている読者の皆さんは、ISOやJISという名称を聞いたことがあると思います。

ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)は、国際規格を策定するための非政府系独立組織です。略称のISOは、ギリシャ語で平等を意味するisosに由来するといわれています。ISOが策定した国際規格(ISO規格)には、ISO 9001(品質管理システム)、ISO 14001(環境マネジメントシステム)、ISO 12001(安全管理)などの種類があります。

一方、JIS(Japanese Industrial Standards:日本産業規格)は、産業標準化法(JIS法)に基づき、全ての工業製品について定められる日本の国家規格です(2019年7月1日付で、JISは日本工業規格から日本産業規格へ、またJIS法は工業標準化法から産業標準化法へ変更されました)。規格に適合した鉱工業品には、JISマークが付されます(図2)。

図2:鉱工業品JISマーク

図2:鉱工業品JISマーク

JISの定める機械製図は、JIS B 0001(JIS製図)に制定されています。JIS製図には、図面を作成するときの基本事項、つまり、決まり事が記載されています。

図面には、誰が見ても同じものを作ることができる共通性が必要です。その共通性を図るために、JIS製図が存在します。また、企業活動のグローバル化に伴い、設計・製図分野では国際的な標準化が進められています。JIS規格も国際標準に準ずるように定期的に改訂が加えられています。

多くの企業では、図面の描き方について、ある部分では企業独自のルールがあり、またある部分では漠然と個人の判断に任せています。これらの基準となるものがJISの定める機械製図です。これを基礎知識として習得し、皆さんの描く図面と異なる部分があるか比較しても面白いでしょう。

3. 図面の役割

皆さんは、折り紙を折るとき、寸法や形状をどの程度意識するでしょうか? 折り目が多少ずれたりして形状がおかしくなっても、誰からも文句を言われることはありません。しかし、これが製品に使用する部品だと、そうはいきません。寸法が狂っていたり、おかしな形状になっていたりすれば、不良品になります。そのため、加工者は、正確に部品を作ろうと努力します。その際の指標となるのが図面です。

図面の役割は、設計者の設計意図を、図形や文字を使い、紙面に表して第三者に伝えるということです。加工者の立場からすれば、加工に必要な情報を、もれなく正しく受け取るための手段が図面ということになります(図3)。

図3:図面の役割

図3:図面の役割

以下に、加工に必要な具体的な情報を示します。もし自分が加工者の立場なら、最低限このくらいの情報が必要ではないでしょうか?

  1. 形状、寸法
  2. 材料の種類(鉄、アルミなど大ざっぱな表現ではなく、材料記号で表す)
  3. 許容差(図面上の寸法と実物の仕上がり寸法との許される最大値と最小値)
  4. 表面粗さ(加工後の肌の状態)
  5. 表面処理の種類(どんなめっきや塗装をするのか。膜厚はどのくらいか)

図面では、こうした情報もJIS製図の決まり事であるJIS B 0001にのっとって表します。このように、製図作業では、第三者が求める情報を、正確に、簡潔に、分かりやすく表すことに注意しながら図面を作成しなくてはいけません。

いかがでしたか? 今回は、製品開発における図面の役割と、設計・製図に必要な基本要素を紹介しました。図面とは設計者の思いを伝える手段であり、よい図面を描くためには、図解力と製図力が必要です。そして、誰もが同じ解釈ができるように、JIS製図の作法にのっとった図面を描くことの重要性が理解できたと思います。次回は、投影図の描き方を解説します。お楽しみに!

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第2回:投影図の描き方

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前回は、製品開発における図面の役割と、設計・製図に必要な基本要素を紹介しました。今回は、投影図の描き方を解説します。立体形状を図面として表すための、平面の投影図の概念をつかみ、正しい図面を描くために必要な、JISで定められた図面様式を理解しましょう。

1. 用紙サイズ、線の種類と用途、尺度

3DCADを使った設計が主流になりつつある現在、図面の描き方も、さまざまに試行錯誤されています。例えば、図面を使用せず、3Dモデル上に直接寸法を記入する図面レスの方法や、図面には主要寸法だけを記入し、一般寸法は3Dモデルを参照させるなどの方法です。しかし、加工や検査の現場では、紙の図面がないと作業性が悪いため、紙図面はどうしても必要とされます。

紙図面のサイズについて、JIS製図では、A列の5種類を標準サイズとして規定しています。A0を最大として、それを半分にしたものがA1です。また、A1を半分にしたものがA2、その半分がA3という具合に小さくなります(図1)。

図1:図面の大きさと種類

図1:図面の大きさと種類(引用:JIS B 0001 A列サイズ-第一優先、2019年、P.5)

A3以上の大きな紙図面は、持ち運び時や保管時には折りたたむ必要があります。この折り方にもルールがあります。折り方の種類には次の3つがあり、どれもA4サイズ仕上がりに折りたたむ方法です。

・基本折り:一般的に折りたたむ方法

・ファイル折り:とじ代を設けて折りたたむ方法

・図面袋折り:主にとじ穴のあるA4の袋の大きさに入るように折りたたむ方法

表1に、一般的に用いられる基本折りの折り方を示します。なお、表1で示した表題欄については、次の項目で説明します。

表1:図面の基本折り(引用:JIS Z 8311 基本折り、1998年、P.10)

表1:図面の基本折り

図面に描く線にも、種類と太さ、そして適用のルールがあります。線種と太さは次の8種類です。なお、旧JISにあった中線(ちゅうせん)は、現在のJISには存在しません。

・太い実線(じっせん)

・細い実線

・極太の実線

・太い破線(はせん)

・細い破線

・太い一点鎖線(いってんさせん)

・細い一点鎖線

・細い二点鎖線(にてんさせん)

表2に、線の適用ルールを示します。

表2:線の種類と適用(抜粋)(引用:JIS B 0001 線の種類および用途、2019年、P.8)

表2:線の種類と適用(抜粋)

図面に描く図形は、原寸大が良いとされます。しかし、設計する部品の性質上、図面サイズに対して投影対象物が小さすぎたり、逆に大きすぎたりすることがあります。その場合、尺度を変更して図面を描くことができます。尺度について、JISでは推奨尺度が規定されています。ここに手ごろな尺度がなければ、自分で最適な尺度を決めて使用しても差し支えありません(表3)。

表3:推奨する尺度(引用:JIS B 0001推奨する尺度、2019年、P.20)

表3:推奨する尺度

2. 表題欄

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3. 第一角法と第三角法と矢示法

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第3回:加工と投影図の向き

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前回は、投影図の描き方を紹介しました。今回は、加工と投影図の向きを解説します。図面は、部品加工や組み立ての指標として描くものです。そのため、加工者にとって分かりやすく、誤解されない内容でなければいけません。加工方法を考慮した、見やすい投影図を描くために必要な知識を紹介します。

1. 正面図の決め方と投影図を配置する際の注意点

正面図とは、投影対象物の特徴を最もよく表す方向から見た図のことです。例えば自動車の場合、横から見た形状が最も自動車の特徴を表しているので、それが正面図となります(図1)。

図1:自動車の正面図と側面図

図1:自動車の正面図と側面図

正面図を基準として、上方向から見た投影図は平面図、下方向から見た投影図は下面図、左方向から見た投影図は左側面図、右方向から見た投影図は右側面図です。また、右側面のさらに右方向は正面図の真裏になり、これが背面図になります(図2)。

図2:第三角法を用いた各方向から見た投影図

図2:第三角法を用いた各方向から見た投影図

6つの投影図を全て図面に配置したものが、図3です。平面図、下面図を描く際には、基準となる正面図に対して垂直の位置を合わせて描きます。左・右側面図、背面図を描く際には、正面図に対して水平の位置を合わせて描きます。また、投影方向から見える形状は全て実線で描き、隠れている形状は破線を使って描きます。

図3:投影図の表し方

図3:投影図の表し方

ただし、必ずしも6つの投影図を描く必要はなく、対象物の情報を整理して、必要な数の投影図にまとめます。多くの場合、正面図、平面図、側面図(右か左)の3面図にまとめられます。

以下に、JISの一般原則に基づく、投影図の表し方のルールを示します。

・最も対象物の情報を与える投影図を主投影図、または正面図とする

・他の投影図(断面図を含む)が必要な場合には、あいまいさがないように、完全に対象物を規定するために必要かつ十分な投影図や断面図の数とする

・可能な限り隠れた外形線やエッジを表現する必要のない投影図を選ぶ

・不必要な細部の繰り返しを避ける

2. 旋盤加工と投影図

図4に示すような、片側にEリング溝と段付き加工をした軸について、加工方法を踏まえた投影図の描き方を説明します。

図4:段付き軸

図4:段付き軸

図5は、この段付き軸の組立図です。

図5:軸の組立図

図5:軸の組立図

このような丸軸は、寸法線でφを付けることで円形であることを表現できるので、正面図のみを描き、側面図は省略するのが一般的です。そこで、図4図5から、以下のような投影図が描かれるかもしれません(図6)。この投影図は、間違ってはいないものの、部品図面として親切ではありません。なぜなら、この図面は、軸を加工する人にとって、とても見づらく、不親切な図面だからです。

図6:不親切な丸軸の投影図

図6:不親切な丸軸の投影図

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3. フライス盤加工と投影図

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第4回:特殊な図示法1

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前回は、加工方法を考慮した、見やすい投影図を描くために必要な知識を紹介しました。今回は、読み手の理解を深めつつ簡潔に投影図を表すことができる、特殊な図示法を解説します。第三角法による正投影による投影図では図面が煩雑になってしまい、対象物の情報を分かりやすく表せないことがあります。そのような場合、加工者が誤解しない投影図を描くために、断面図や省略図といった図示法を用いて表現します。

1. 断面図

物体を外形から見たとき、隠れた部分を分かりやすくするため、物体のある面を切断したと仮定して、その状態を断面図として図示することができます。これは、対象物をより理解しやすくするために、最もよく使うテクニックの一つです。

このように、加工者にとって理解しやすい製図を作るための断面図の作法には、さまざまな種類があります。

・全断面図

対象物の基本中心線で、切断面を決めて断面にしたものが全断面図です(図1)。

図1:全断面図の例

図1:全断面図の例

対称図形などで基本中心線が明らかな場合は、切断線の指示を省略することができます。しかし、特定の部分を断面にする場合は、切断線を用いて切断面を明確に指示する必要があります。

・片側断面図

対称形の対象物の中心線から片側を外形図、もう一方を断面図として表すことができます(図2)。これを、片側断面図といいます。

図2:片側断面図の例

図2:片側断面図の例

・合成断面図

平行な2つ以上の平面で切断した断面を、組み合わせて表したものが、合成断面図です。この場合、切断箇所が明確になるように切断線を示す必要があります(図3)。

図3:合成断面図の例

図3:合成断面図の例

2. ハッチングの描き方

ハッチングとは、一定の面を平行な線で埋めることをいいます。切断面の切り口を表す場合は、切断面、または切り口の軸、および輪郭に対して45度の角度で描きます。ただし、形状に合わせて角度を変えるのがよいとされています(図4)。

図4:ハッチングの良い例悪い例

図4:ハッチングの良い例悪い例

組み合わせ部品の場合は、部品のハッチングの向きを変えて、組み合わせ部品であることを分かりやすくします。また、ハッチング範囲内に文字や記号がある場合は、その部分だけハッチングを中断します(図5)。

図5:ハッチングの注意点

図5:ハッチングの注意点

3. 断面にしてはいけないもの

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4. 省略図(長尺部品、片側省略、繰り返し図形の省略)

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第5回:特殊な図示法2

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前回は、断面図や省略図など、特殊な図示法を紹介しました。今回は、特殊な図示法の2回目として、部分投影図、局部投影図、部分拡大図、相貫線を解説します。図面が複雑になることで読み手が誤解しないように、投影対象物を分かりやすく表現するためのテクニックを身に付けましょう。

1. 部分投影図

対象物の必要な部分だけを示せば十分なとき、その部分だけを部分投影図として表すことができます。省略した部分との境界は破断線を用いて示します。ただし、明確な場合に限り破断線は省略できます。この場合、隣接する投影図との間に中心線を描いて結ぶか、中心線がない場合は形状の一部と細い実線で結びます(図1)。

図1:部分投影図の例

図1:部分投影図の例

最近では3次元CADの普及により、省略する作業が逆に手間となることがあります。しかし、部分投影図における省略は、図面をコンパクトに描くための重要なテクニックなのです。

2. 局部投影図

穴や溝などの形状だけを示せば形状が理解できる場合、対象物の穴や溝だけを局部投影図として示すことができます。これは、詳細の不必要な繰り返しによる見づらさを避けることにもなります。

局部投影図では、部分投影図と同様に、隣接する投影図との間に中心線を描いて結ぶか、中心線がない場合は形状の一部と細い実線で結びます(図2)。

図2:局部投影図の例

図2:局部投影図の例

3. 部分拡大図

対象物の特定部分が小さいため、詳細な図示や、寸法記入がしづらい場合には、その部分を細い実線で囲み、アルファベットの大文字で表示することで、該当部分を別の場所に、適当な尺度で拡大して示すことができます。これを部分拡大図といいます。

その際、拡大図の照合文字(Aなど)の横に、尺度を明記する必要があります。元図の尺度が現尺(1:1)で描かれているとき、部分拡大図をその2倍の大きさで描く場合は、図3のように(2:1)と書きます。元図の尺度が縮尺(1:2など)で描かれているとき、部分拡大図をその2倍の大きさで描く場合は、(1:1)と書きます。

図3:部分拡大図の例

図3:部分拡大図の例

4. 相貫線

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第6回:寸法記入に関する決まり事

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前回は、部分投影図、局部投影図、部分拡大図、相貫線の描き方を紹介しました。これまで、対象物を図形にして示す投影図の描き方や、特殊な図示法について学んできました。しかし、図形だけでは、対象物のサイズが分かりません。図形に寸法を記入することで、図面は成り立ちます。今回は、寸法記入に関するJISの基本ルールを解説します。

1. 寸法数値の向き、寸法補助線、矢の種類

JISによると、寸法とは、決められた方向での、対象部分の長さ、距離、位置、角度、大きさを表す量であると定義されています。寸法により長さや角度を指示することで、対象物の形状を定義することができます。

寸法は、主に次の要素から成り立ちます。

・横方向の長さ

・縦方向の長さ

・任意方向の長さ

・角度

・円、または球の直径

・円、または球の半径

投影図に寸法を記入するには、細い実線で描いた寸法補助線と、寸法線を用います。寸法線の上には、寸法数値を記入します。

寸法記入要素には、次のものがあります(図1)。

・寸法補助線:投影図の外側に寸法を導く細い実線

・寸法線:寸法数値を表すための細い実線

・引き出し線:穴やねじなどの形状から引き出す細い実線

・寸法線の端末記号(矢、斜線、黒丸):寸法線の両端に付ける矢印などの記号

・寸法数値:寸法線の端末記号で挟まれた領域の大きさを表す数値

・寸法補助記号(φ、C、Rなど):寸法に形状の意味を持たせる記号

図1:寸法記入要素

図1:寸法記入要素

寸法補助線は、図形と接して引き出し、寸法線を1~2mm延長した辺りまで描きます。寸法線の先端に付ける端末記号には、通常は矢印を用います。ただし、領域が狭く、端末記号を記入しにくい場合は、矢印の代わりに斜線、あるいは黒丸を付けます(図2)。CADでは端末記号の種類を選択したり、自動的に適用させたりすることも可能です。ただし、1枚の図面の中では、斜線、または黒丸のどちらかに統一します。

図2:端末記号の使い方

図2:端末記号の使い方

2. 寸法数値の記入

長さ寸法の数値の単位は、ミリメートル(mm)で表します。ただし、図面では、サイズ公差も含め、数値には単位記号を付けません。角度寸法の数値の単位は、度(°)で表します。なお、必要に応じて、分(′)や秒(″)を使うこともできます。角度寸法の場合、数値には単位記号を付ける必要があります。

寸法数値の配置には規定があります。一般的に、水平方向の寸法線に対しては、図面の下辺を下にして読めるように配置します。また、垂直方向の寸法線に対しては、図面の右辺を下にして読めるように配置します。斜め方向の寸法数値についても、これに準じて配置します(図3)。

図3:寸法数値の配置

図3:寸法数値の配置

なお、図4のように、引き出し線から水平線を引き、その上に寸法数値を配置しても問題ありません。

図4:引き出し線を用いた寸法数値の記入例

図4:引き出し線を用いた寸法数値の記入例

3. 長さ寸法の記入例

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4. 角度寸法の記入例

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第7回:寸法補助記号1

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前回は、寸法記入要素と寸法記入に関するルールを紹介しました。図面に寸法を記入する際、サイズを明確にする寸法数値の他に、形状の意味を指示する記号を用います。JISではこれを、寸法補助記号と規定しています。今回は、寸法補助記号の種類と意味、記入に関するルールを解説します。

1. 各種の記号(φ、R、C)

寸法補助記号は、寸法数値に付与して、寸法に形状の意味を持たせるための記号です(表1)。本稿では、基本として押さえておきたい3つの寸法補助記号、φ(直径)、R(半径)、C(45°の面取り)を解説します。

表1:寸法補助記号の種類と呼び方

表1:寸法補助記号の種類と呼び方

2. 直径の指示

円形の対象物を側面から見た図や、断面で表す場合、それが円の直径であることを示すために、寸法数値の前に直径記号φを記入します(図1)。

図1:円を側面から見た図の直径指示例

図1:円を側面から見た図の直径指示例

円を正面から見た図に直径寸法を指示するときなど、寸法線の両端に端末記号(第6回参照)が付く場合は、φは記入しません。(図2)。ただし、これはJIS製図による作法で、実際には、寸法線の両端に端末記号が付く場合もφを記入することが一般的です。

図2:円を正面から見た図の直径指示例

図2:円を正面から見た図の直径指示例

引き出し線を用いて寸法を指示した場合、数値だけでは、直径または半径のどちらを表しているのか区別が付きません。このときは、φを記入する必要があります(図3のa)。ただし、円を正面から見た図や、側面図、断面図で円形が表れない図において、直径の寸法数値の後に明らかに円形と分かる加工方法(キリ、リーマなど)が併記される場合はφを記入しません(図3のb)。

図3:引き出し線による直径指示例

図3:引き出し線による直径指示例

 同一寸法の穴が多数整列した状態の寸法を記入する場合、その穴の1つから引き出し線を引き出し、穴の総数を表す数字の次に、×を記入します(図4)。

図4:一群の同一形状の指示1

図4:一群の同一形状の指示1

これは円の直径だけでなく、角穴や長穴、切り欠きにも使える方法です(図5)。

図5:一群の同一形状の指示2

図5:一群の同一形状の指示2

3. 半径の指示

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4. 面取りの指示

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第8回:寸法補助記号2

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前回は、JISで規定された寸法補助記号のうち、図面で頻繁に使用されるφ、R、Cの3つの記号の意味と使い方、注意点を解説しました。今回は、寸法補助記号の2回目です。加工形状を示す寸法補助記号(正方形、円弧、穴深さ、ざぐり、皿ざぐり)の意味と使い方を解説します。

1. 正方形

正方形の対象物を側面から見た図や断面で表した場合、その形状を表さず、辺の長さを表す寸法数値の前に□(カク)を記入します(図1)。

図1:正方形の指示(側面から見た図や断面で表した図)

図1:正方形の指示(側面から見た図や断面で表した図)

正方形を正面から見た投影図では、両辺に寸法を記入するか、正方形の一辺に□(カク)を記入します(図2)。

図2:正方形の指示(正面から見た投影図)

図2:正方形の指示(正面から見た投影図)

2. 円弧の長さ

円弧の長さを表す記号は、寸法数値の前、または上に記入します(図3)。

図3:円弧の長さの指示

図3:円弧の長さの指示

3. 穴深さ

対象物に開けられた穴が貫通穴の場合、穴の深さを記入する必要はありません。これに対し、貫通していない穴(止まり穴)の深さの指示をする場合は、3つの記入方法があります。

止まり穴を、その正面から寸法指示する場合は、引き出し線を用いて、直径の数値と深さの数値で挟むように穴深さを表す記号を記入します(図4のa)。穴の断面に寸法指示する場合は、穴入口の中心点から矢を引き出し、穴の直径と深さを記入します(図4のb)。また、寸法線を用いて、穴の断面に直径を、胴体部に深さを分けて記入することもできます(図4のc)。

ここでいう穴の深さとは、ドリルの刃先(円錐部の先端)からの長さではなく、直径と同じ胴体部の長さであることに留意してください。

図4:穴の深さの指示

図4:穴の深さの指示

傾斜した穴の深さは、その中心線の入口からの深さで指示するか、別の寸法線によって指示します(図5)。

図5:傾斜した穴の寸法指示

図5:傾斜した穴の寸法指示

なお、標準ドリルの刃先形状は、JISにより118°に規格化されています。そのため、切削加工による部品の作図で止まり穴を描く場合は、穴の底を118°の円錐で描くことが望ましいとされます。ただし、120°で描いても問題はありません。

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4. ざぐり

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5. 皿ざぐり

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第9回:寸法の配列

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前回は、正方形、円弧、穴深さ、ざぐり、皿ざぐりの加工形状を表す寸法補助記号を紹介しました。今回は、寸法の配列を解説します。実際の製品の寸法には、必ずばらつきが生じます。設計者の意思を反映しながら、ばらつきを最小限に抑えるための寸法記入法を学びましょう。

1. 普通許容差

寸法記入法で最もよく使われるものに、直列寸法記入法と並列寸法記入法があります。この2つの寸法記入法の違いは、普通許容差にあります。

普通許容差を理解する前に、寸法のばらつきという現象について、詳しく解説します。図面に寸法数値を記入しても、実際に加工したとき、図面に記入した寸法数値と全く同じ寸法に仕上げることはできません(図1)。

図1:実際に加工した寸法のばらつき

図1:実際に加工した寸法のばらつき

図面上の寸法数値は、あくまでも加工の目標値です。寸法数値±0に加工することは不可能です。そのため、寸法に応じて実際の寸法として許される最大値と最小値が決められています。これを、許容差といいます。図面にサイズ公差が明確に指示されていれば、寸法不良かどうかの判断が可能です。しかし、サイズ公差が書かれていない場合は判断に困ります。そのためにも基準が必要となり、普通許容差を適用します。つまり、寸法数値以外に何の表示もない場合、通常は、寸法数値として書かれた図示サイズを中心に、プラス側とマイナス側に同じだけのサイズ公差が隠れています。普通許容差とは、その範囲内であれば、加工にばらつきがあっても構わないという決まり事です(図2)。

図2:サイズ公差と普通許容差の考え方

図2:サイズ公差と普通許容差の考え方

普通許容差は加工方法によって変わります。一般的によく使う切削加工の普通許容差を表1に示します。切削加工の普通許容差には、精級、中級、粗級、極粗級の4段階の公差等級があり、長さ寸法の他、面取り長さ寸法(表2)、角度寸法に対するそれぞれの許容公差(表3)に定められています。

表1:面取りを除く長さ寸法の普通許容差

表1:面取りを除く長さ寸法の普通許容差

表2:面取り部分の長さ寸法に対する許容差

表2:面取り部分の長さ寸法に対する許容差

表3:角度寸法の許容差

表3:角度寸法の許容差

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2. 直列寸法記入法と並列寸法記入法

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第10回:寸法記入思考

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前回は、寸法の配列を解説しました。今回は最終回です。寸法記入思考と題して、各種寸法記入の考え方や、決まり事を解説します。これまで学んだルールに沿って、実際に機械部品図面に寸法を記入するための考え方を学びましょう。

1. 寸法記入の原則

機械部品図面に寸法を記入する場合、ただ端から順に記入してはいけません。もちろん、試作品を数個作る程度なら、思いつきで寸法を記入しても、ばらつきの影響はほとんど分かりません。しかし、同じ品物を数百~数十万個作り、不具合が発生した場合、その原因が図面不備によるばらつきであると判明し、大騒ぎになることがあります。ここでは、寸法を記入する上で最も重要な、寸法記入の一般原則を紹介します(JIS B 0001 機械製図より)。繰り返し読んで、しっかり理解しましょう。

寸法記入の一般原則

・寸法は、対象物の大きさ、姿勢、および位置を明確に表すのに必要で十分なものを記入する
・図面に示す寸法は、特に明示しない限り、その図面に図示した対象物の仕上がり寸法を示す
・寸法は、なるべく正面図に集中する
・寸法は、必要に応じて基準とする点、線、または面を基にして記入する
・対象物の機能上必要な寸法(機能寸法)は必ず記入する
・寸法は、なるべく工程ごとに配列を分けて記入する
・関連する寸法は、なるべく1か所にまとめて記入する
・寸法は、重複記入を避ける
・寸法は、なるべく計算して求める必要がないように記入する。参考寸法については寸法数値に括弧を付ける
・寸法には、機能上必要な場合、寸法の許容限界(サイズ公差、または幾何公差)を指示する

2. 機械部品の寸法記入の考え方

投影図を決めるまでは、その対象物の形状を見て判断すれば問題ありませんでした。しかし、寸法を記入するに当たり、形状だけでは、何が基準なのか、どの穴とどの穴が関連するのかなどの情報が得られません。従って、寸法を記入する際は必ず計画図(組立図)を見て、その部品が持つ機能を把握する必要があります。

このとき、計画図(組立図)全体を把握する必要はありません。把握しなければならないのは、これから寸法を入れようとする部品周りの関係(取り付け基準面や穴の位置関係など)です。以下に示す、ブロックの付いた計画図(組立図)において、ブロックの寸法を入れる場合の思考過程を確認していきましょう(図1)。

図1:ブロックの付いた計画図(組立図)

図1:ブロックの付いた計画図(組立図)

まず、ブロックがどのような機能を持ち、何が基準であるのかを、その周囲の2次元図から検証します(図2)。

図2:ブロックとその周囲の2次元図

図2:ブロックとその周囲の2次元図

次に、図3に示すブロックの情報を検証するさまざまな視点によって、ブロックの機能や基準の情報を箇条書きにしてまとめます。

図3:ブロックの情報を検証する視点

図3:ブロックの情報を検証する視点

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