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図面とは:機械製図の基礎知識1

機械製図の基礎知識

更新日:2019年10月3日(初回投稿)
著者:Material工房・テクノフレキス 代表 藤崎 淳子
監修:株式会社ラブノーツ 代表取締役 技術士(機械部門) 山田 学

近年、3DCADによる設計製造プロセスの合理化が進められています。3DCADでは、3Dモデルから2次元図面を作成でき、製図作業は楽になりました。しかし、3Dモデルを2次元化しただけでは、図面とは呼べません。図面は、設計者の意図を伝える手段です。製造に必要な情報を的確に指示しなければなりません。本シリーズでは、10回にわたりJIS機械製図の基礎知識を解説します。初回となる今回は、製品開発における図面の役割を紹介します。

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1. 設計の流れと製図

図1は、製品開発の一般的な流れを示します。設計者が描き起こした図面を中心にものづくりが行われ、全体を通して、図解力と製図力の2つが求められています。

図1:製品開発の流れ

図1:製品開発の流れ

設計者にとって必要な図解力とは、頭の中のさまざまなアイデアを具現化する能力です。また、製図力とは、製造に必要な情報や設計意図を適切に伝えるための図面を作成する能力です。なお、製品開発プロセスには、設計者以外のさまざまな関連部門のエンジニアが存在します。このようなエンジニアにも、設計者が描いた図面を理解するための図解力が求められます。

図解力=平面と立体を頭の中で自由自在に変換できる能力

製図力=設計の機能や組み立てを知り、基準を明確にした図面を正しく描く能力

この2つの基礎をしっかり学ぶことで、エンジニアとしての思考力が向上します。また、製品開発プロセスに関わる全ての人に、正しい情報を伝えられるよい図面を描けるようになります。

2. ISOとJIS

モノづくりに携わっている読者の皆さんは、ISOやJISという名称を聞いたことがあると思います。

ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)は、国際規格を策定するための非政府系独立組織です。略称のISOは、ギリシャ語で平等を意味するisosに由来するといわれています。ISOが策定した国際規格(ISO規格)には、ISO 9001(品質管理システム)、ISO 14001(環境マネジメントシステム)、ISO 12001(安全管理)などの種類があります。

一方、JIS(Japanese Industrial Standards:日本産業規格)は、産業標準化法(JIS法)に基づき、全ての工業製品について定められる日本の国家規格です(2019年7月1日付で、JISは日本工業規格から日本産業規格へ、またJIS法は工業標準化法から産業標準化法へ変更されました)。規格に適合した鉱工業品には、JISマークが付されます(図2)。

図2:鉱工業品JISマーク

図2:鉱工業品JISマーク

JISの定める機械製図は、JIS B 0001(JIS製図)に制定されています。JIS製図には、図面を作成するときの基本事項、つまり、決まり事が記載されています。

図面には、誰が見ても同じものを作ることができる共通性が必要です。その共通性を図るために、JIS製図が存在します。また、企業活動のグローバル化に伴い、設計・製図分野では国際的な標準化が進められています。JIS規格も国際標準に準ずるように定期的に改訂が加えられています。

多くの企業では、図面の描き方について、ある部分では企業独自のルールがあり、またある部分では漠然と個人の判断に任せています。これらの基準となるものがJISの定める機械製図です。これを基礎知識として習得し、皆さんの描く図面と異なる部分があるか比較しても面白いでしょう。

3. 図面の役割

皆さんは、折り紙を折るとき、寸法や形状をどの程度意識するでしょうか? 折り目が多少ずれたりして形状がおかしくなっても、誰からも文句を言われることはありません。しかし、これが製品に使用する部品だと、そうはいきません。寸法が狂っていたり、おかしな形状になっていたりすれば、不良品になります。そのため、加工者は、正確に部品を作ろうと努力します。その際の指標となるのが図面です。

図面の役割は、設計者の設計意図を、図形や文字を使い、紙面に表して第三者に伝えるということです。加工者の立場からすれば、加工に必要な情報を、もれなく正しく受け取るための手段が図面ということになります(図3)。

図3:図面の役割

図3:図面の役割

以下に、加工に必要な具体的な情報を示します。もし自分が加工者の立場なら、最低限このくらいの情報が必要ではないでしょうか?

  1. 形状、寸法
  2. 材料の種類(鉄、アルミなど大ざっぱな表現ではなく、材料記号で表す)
  3. 許容差(図面上の寸法と実物の仕上がり寸法との許される最大値と最小値)
  4. 表面粗さ(加工後の肌の状態)
  5. 表面処理の種類(どんなめっきや塗装をするのか。膜厚はどのくらいか)

図面では、こうした情報もJIS製図の決まり事であるJIS B 0001にのっとって表します。このように、製図作業では、第三者が求める情報を、正確に、簡潔に、分かりやすく表すことに注意しながら図面を作成しなくてはいけません。

いかがでしたか? 今回は、製品開発における図面の役割と、設計・製図に必要な基本要素を紹介しました。図面とは設計者の思いを伝える手段であり、よい図面を描くためには、図解力と製図力が必要です。そして、誰もが同じ解釈ができるように、JIS製図の作法にのっとった図面を描くことの重要性が理解できたと思います。次回は、投影図の描き方を解説します。お楽しみに!

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