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機械安全の基礎知識

機械安全の基礎知識

著者:職業能力開発総合大学校 教授 千葉 正伸

私たちの身の回りには機械や設備が数多くあり、生活を快適にしたり、業務を効率的にしています。しかし、機械は大きな動力を扱うことも多く、危険とも隣り合わせ。全7回で、技術者が押さえておきたい機械安全の基礎知識を解説します。第1回は、機械安全におけるリスクアセスメントについてです。

第1回:機械安全のリスクアセスメント

1. 機械安全に関する世界的な流れ

安全第一という言葉に象徴されるように、安全は最優先事項です。産業分野においては、人間尊重の理念に基づき、危険を排除して災害や事故の防止を目指します。さらに技術革新による新しい危険の発生も抑えられるべきです。そして、労働者を含む全ての人が、健康で安全・快適な生活を送れるようにしなければなりません。

安全に関する取り組みは、欧州が先導しました。1980年代からEU(欧州連合)統合に向けて、貿易障壁撤廃のための指令が発信され、機械の安全性はその製造者によって達成すべきと規定されました。安全性確保の必須要求事項を満たしていない機械は、域内市場に流通させることができなくなりました。この指令が基本となってEN規格(欧州の統一規格)が制定され、これをベースとして、1990年には国際安全規格としてISO/IECガイド51(機械類に関する基本的指針)が制定されました。また、安全性確保の必須要求条件として、1995年にCEマーキング制度の運用がはじまりました。CEマーキングの認証を受けていない製品はEU域内に輸出ができないという厳しい取り決めがなされました。

2. 機械安全に関する国際規格

機械安全に関する国際安全規格のISO/IECガイド51は、A規格、B規格、C規格と階層(ピラミッド)構成になっています(図1)。原則として、機械安全に関する規格は、A規格、B規格、C規格のいずれかに分類されます。

・A規格(基本安全規格)
全ての機械類に適用できる基本概念、設計原則および一般的側面を規定する規格

・B規格(グループ安全規格)
広範な機械類に適用できる安全面、または安全防護物を規定する規格

B1:特定の安全面に関する規格(例:安全距離、表面温度、騒音)

B2:安全防護物に関する規格(例:両手操作制御装置、インターロック装置、圧力検知装置、ガード)

・C規格(個別機械安全規格)
個々の機械、または機械群の詳細な安全要求事項を規定する規格(例:フライス盤、マシニングセンタ)

図1:機械安全に関する国際安全規格の体系

図1:機械安全に関する国際安全規格の体系(引用:日本機械工業連合会、機械類の安全性、2014年、一部を抜粋)

3. 安全性の定義

ISO/IECガイド51のA規格の中に、リスクアセスメントの項目があります。リスクアセスメントとは、これから設計する機械類にどのようなリスク(危険性)があるのかを事前にチェックする方法です。

ここで重要なのが、リスクと安全についての考え方です。国際安全規格において安全とは、受け入れ不可能なリスクがないことと定義されています。図2で、安全性とリスクの概念を分かりやすく説明します。

図2:安全性とリスクの概念

図2:安全性とリスクの概念

この逆三角形の面積はリスクの大きさを表現しており、上部であるほどリスクが大きくなり、許容レベルが低い(受け入れが難しくなる)状態です。例えば、もし子どもが、動物園で、間に何もない状態でライオンに遭遇してしまったら、非常に危険です。これは、受け入れ不可能なリスクです。ライオンの前に金属製の柵を設置すれば、リスクは小さくなります。このように、何らかの保護方策を行い、受け入れ可能になるまでリスクを低減させます。受け入れ可能なリスクは、その時代の社会的価値観に基づいたものと定義されています。

また、先の子どもの例で、柵の間隔が広すぎると危険性が残ります。このように、保護方策を取った後にまだ残っているリスクを、残留リスクといいます。残留リスクに対しては、警告や訓練、教育、保護具使用などの情報提供を対象者に行い、さらにリスクを低減させます。

4. リスクアセスメントとリスク低減のプロセス

図3は、リスクアセスメントとリスク低減のプロセスを示したものです。これは、機械安全に関する国際安全規格の体系(図1)のA規格のISO 12100に、リスクアセスメント規格として存在しています。

図3:リスクアセスメント・リスク低減の反復プロセス

図3:リスクアセスメント・リスク低減の反復プロセス(引用:JIS Z 8051:2015(ISO/IEC Guide51:2014) 安全側面)

1:使用や予見可能な誤使用の同定とは、ハザード(危険源)と間違った使い方を、製品の取り扱い説明書に記載することです。2:ハザードの同定のうち、ハザードは危害を起こす潜在的根源と定義されています。同定は、さまざまな事故例の情報をものに、この機械はこのハザードに該当と系統的に振り分けることです。自分で考える必要はありません。3:リスクの見積りでは、振り分けられたハザードのリスクの大きさを見積もります。

次に、4:リスクの評価で、見積もったリスクが許容可能かどうかを判断します。図2で示した安全性とリスクの概念に沿って、どのレベルが許容可能なリスクなのか、リスクのランク付けを行います。リスクが高く危険であれば、許容不可能なためリスクを低減する必要があります。5:リスク低減を実施します。また、許容可能なレベルの場合は、8:妥当性の確認と文書化を行い、使用者に情報提供を行います。

今回は機械安全の取り組みにおけるリスクアセスメントについて説明しました。次回は機械安全のリスク低減を取り上げます。お楽しみに!

 

第2回:機械安全のリスク低減

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第1回では、国際安全規格とリスクアセスメントについて、説明しました。リスクアセスメントの結果、許容できないリスクがある場合は、リスクを低減させるための施策を打ちます。今回は、国際安全規格で定義されているリスク低減方策を解説します。

1. リスク低減方策のフロー

国際安全規格のISO12100機械類の安全性では、リスクアセスメントで判明したリスクについて、大きく、設計段階と使用段階で低減させるフローを示しています(図1)。

図1:リスク低減のフロー

図1:リスク低減のフロー(引用:JIS Z 8051:2015(ISO/IEC Guide51:2014) 安全側面、P.7)

まずは、できる限り設計段階で、リスク低減方策を講じることが重要です。図2は、設計段階でのリスク低減手順を示したものです。大きく3つの手順に分かれています。まずは、ステップ1:本質的安全設計で基本的な安全性を確保します。許容できないリスクが残った場合は、ステップ2:の安全防護による方策(ガードおよび保護装置)や追加の予防策を実施し、リスク低減を行います。最終的に残ったリスクについては、ステップ3:残留リスク(使用上の情報)を機械類使用者に提供します。このステップ1~3の手順は、国際安全規格ISO 12100では3ステップメソッドと呼ばれており、この手順を変更してはなりません。

図2:設計段階での安全方策

図2:設計段階での安全方策

2. 3ステップメソッドと具体的なリスク低減方策

リスク低減方策の流れが分かったところで、3ステップメソッドの詳細と具体的な方策を見ていきましょう。

ステップ1:本質的安全設計方策

リスク低減が必要な場合、最初に実施するのが、本質的安全設計方策です。可能な限り本質的安全設計により、リスクの低減を図らなくてはなりません。具体例に、設計段階で解決できる2つの事例を挙げます。

・危険を及ぼす恐れがある鋭利な端部(バリ)、角、突起物を除去する。

・身体の一部が機械に挟まれる危険を回避するため、機械の形状や寸法を、進入できないよう狭くするか、挟まれない程度に広げる。また、挟まれたり激突されたりしたときのために、身体に被害が生じない程度に駆動力を小さくし、運動エネルギーも小さくする。

ステップ2:安全防護による保護方策(ガードおよび保護装置)

ステップ1の本質的安全設計方策で、リスクを除去または低減できない場合は、安全防護によるリスク低減方策を検討します。危険が伴う機械の運転時の安全防護には、隔離の原則と停止の原則があります。

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第3回:保護具による残留リスクの低減

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機械安全のリスク低減方策には、設計段階と使用段階の2段階があります。前回は、設計段階におけるリスク低減方策を説明しました。今回から3回にわたり、使用段階におけるリスク低減方策を取り上げます。今回は、主な保護具について解説します。

1. 使用段階でのリスク低減方策

機械の安全性は、まず、設計段階で十分に検討されなければなりません。設計段階におけるリスク低減方策は、国際安全規格ISO 12100において、3ステップメソッドと呼ばれています。ステップ1:本質的安全設計と、ステップ2:安全防護設計(ガードおよび保護装置)でハード的なリスク低減を行い、それでも残った危険性(残留リスク)は、ステップ3:使用上の情報で取り扱い説明書(マニュアル)に明記し、使用者側に情報提供します。

設計段階の残留リスクは、使用段階で低減方策を講じます。使用段階のリスク低減フローでは、追加の保護装置、訓練(教育)、作業の組織・用具の適用および監督、個人用の保護具などの方策があり、この順番で実施する必要があります(図1)。

図1:リスク低減方策のフロー

図1:リスク低減方策のフロー

2. リスク低減のための保護具

まずは、一番身近な保護具から詳細を見ていきます。保護具は、機械を使用する際、作業環境や作業の危険から身を守るために装着する道具です。代表的な保護具は、足のけがを防ぐ安全靴や、落下物から頭を保護するヘルメット、目を守る保護めがねです。また、安全帯は重大災害の防止に欠かせません。

保護具を装着したからといって、あらゆるリスクから身を守ることはできません。リスクを軽減することはできます。保護具を装着すると行動が制限される場合があり、厄介で邪魔なものと考える人がいるかもしれません。しかし、危険から身を守るための必要性を十分に理解し、必ず装着してください。また、保護具は万能ではないことや、作業内容に見合った適切な保護具を使用することの大切さも、理解する必要があります。

3. ヘルメット

ヘルメット(保護帽)は、飛来・落下物や、墜落時の衝撃から頭部を守る国家検定品の保護具です。大きく2種類に分けられ、飛来・落下物用と、墜落時保護用(飛来・落下物兼用)があります。図2に、墜落時保護用(飛来・落下物兼用)ヘルメットを示します。墜落時保護用ヘルメットの内側には、衝撃吸収発泡体が取り付けられています。

図2:墜落時保護用(飛来・落下物兼用)ヘルメット

図2:墜落時保護用(飛来・落下物兼用)ヘルメット

ヘルメットは、装着時に頭にフィットするものを選び、頭の大きさに合わせて着装体(ヘッドバンド)を調節します。また、衝撃を受けてもヘルメットが抜け落ちないように、顎ひもをしっかりと留めます。

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4. 安全帯

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5. 安全靴

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6. 保護めがね

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7. 防じんマスク

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第4回:教育による残留リスクの低減

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前回は、保護具を用いた機械安全のリスク低減方策を説明しました。今回は、安全教育の観点から、リスク低減方策を解説します。

1. 安全教育の必要性

近年、機械設備の高エネルギー化や、生産設備の高度化が進み、作業者を取り巻く環境は大きく変化しています。それに伴い、労働災害も多様化しています。図1は、製造業における作業者の不安全な行動と、死傷者数の内訳を示したものです。災害発生の根本的な原因を見ると、多くの場合、設備の不安全状態(事故が発生しうる状態・事故の発生原因が作り出されている状態)と、人間の不安全行動(意図的に人間の安全を脅かす可能性のある行動を行うこと)が関係しています。

図1:不安全な行動の内訳別死傷者数

図1:不安全な行動の内訳別死傷者数(厚生労働省、職場のあんぜんサイト 労働災害原因要素の分析 平成25年 製造業)

人による誤った動作や不安全な行為による事故は、機械設備側に本質的な安全方策を施すことより、防ぎます。これがフェールセーフの考え方です。人はミスをすることを前提に、フールプルーフや機械のフェールセーフは設計されます。

一方、作業現場では、非定常作業(保守作業やトラブル対処など、通常の作業と異なる作業)や再起動の確認など、人に委ねられる作業がなくなることはありません。安全構築には、フェールセーフと同様に、人に対する安全教育が重要です。また、不安全行動は、作業者の知識や経験、技能の不足に起因することが多く、事業者には、安全衛生教育、就業制限、中高年齢者の適正配置が義務付けられています。

2. 法的な安全衛生教育

事業者は労働者を雇い入れたときや、作業内容を変更したとき、危険または有害な業務に就かせるときには、従事する業務に関する教育を行うことが義務付けられています(労働安全衛生法第59条)。

雇い入れ時の安全衛生教育

労働者を雇い入れたときは、遅滞なく、8つの事項について、教育を行なわなければなりません(労働安全衛生規則第35条)。

・安全装置、保護具などの性能および取り扱い方法

・作業手順に関すること

・作業開始時の点検に関すること

・機械、原材料などの危険・有害性および取り扱い方法

・事故時の応急処置および避難に関すること

・業務により発生する恐れのある疾病の原因および予防に関すること

・整理・整頓・清潔の保持に関すること

・その他、安全衛生に関する必要事項

危険・有害な業務に関する教育(特別教育)

事業者は、労働者を危険または有害な業務に就かせるときは、その業務に関する安全または衛生のための特別教育を行わなければなりません(労働安全衛生法第59条、労働安全衛生規則第36条)。特別教育を必要とする業務には、アーク溶接や小型車両系建設機械の運転など計49種があり、労働安全衛生規則第36条に規定されています。事業者は、特別教育を行った受講者や科目などについて記録を作成し、3年間保存しなければなりません。

3. 安全教育の種類

人の不安全行動の原因と、必要となる安全教育の種類を表1に示します。

表1:人の不安全行動の原因と安全教育の種類
人の不安全行動の原因 必要となる安全教育の種類
知らない(安全に関する知識がない、または不足している) 安全知識教育
知っているが、できない(安全に関する知識を持っているものの、技能が伴わない) 安全技能教育
知っているが、やらない(知識、技能を持っていても、実行しない。本人の性格に起因することが多い) 安全態度教育

安全知識教育、安全技能教育、安全態度教育の詳細を、それぞれ説明していきます。

安全知識教育

災害の原因は、入社後1年未満の作業者の不安全行動が多くを占めています。このことから、新入社員に対する安全知識教育が、いかに重要であるかが分かります。新入社員には、入社後1週間のうちに、各職場共通の安全に対する集合教育を行います。教育の項目としては、企業の沿革、生産設備と工程の一般知識、共通の安全作業心得、一般的安全知識、法定教育などがあります。集合教育終了後は、職場ごとに、作業に応じた技能教育を個別に行い、危険箇所を学ばせます。

安全技能教育

安全技能教育の目的は、安全知識教育で得た知識を生かして、技能を身に付けることです。現場作業を通じて、作業者のレベルに応じた個別教育を行います。作業別に作成された作業標準に基づき、繰り返し実施することが重要です。危険作業の場合は、実際に現場に入る前に、パソコンなどを使いシミュレーションによる安全性の確認をすることが、重要です(図2)。

図2:シミュレーションによる安全性の確認の様子

図2:シミュレーションによる安全性の確認の様子

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4. 一般教育と現場監督者教育

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第5回:訓練による残留リスクの低減

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前回は、安全教育によるリスク低減方策を説明しました。今回は、訓練の観点から、リスク低減方策を解説します。

1. 訓練のあり方

機械安全は、まずは設計段階で十分に検討され、万が一誤動作やトラブルを起こしても事故にならないようフェールセーフを構築します。しかし、機械の使用段階では、メンテナンスや修理後の再起動、清掃など、人に依存する作業が数多くあります。作業手順や動作行動を間違えると、重大な事故を招きます。事故を未然に防ぐには、安全に対する正しい理解や技能訓練によるリスク低減方策が欠かせません。具体的には、5S活動、OJT(ON-the-Job Training)による技能と機械安全の訓練、危険予知訓練などを実施します。

2. 5S活動の取り組み

5Sは、整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)の頭文字Sを取ったスローガンです。職場環境を快適にし、作業効率を向上させるために、5S活動は不可欠です。安全の確保や災害の防止にも効果があり、5S活動を各作業に取り入れ、訓練を行います。簡単に、5Sのあるべき状態を解説します。

・整理:必要なものと不要なものを区分して、不要なものを処分する。

・整頓:必要なものを、すぐに取り出せるようにする。工具や材料などを、誰にでも分かるように明示し、使いやすいように安全な場所に置く。

・清掃:ごみやほこりのない、きれいな状態にする。

・清潔:掃除したきれいな状態を維持する。洗濯された服装で、周囲の人に不快感を与えないことを意味することもある。

・躾(しつけ):決められた服装や作業手順、清掃などのルールを、正しく守る習慣を身に付ける。

5S活動が根付いた職場では、不安全な状態や行動が見えやすくなり、危険源も特定しやすくなります。安全で効率的な職場環境を維持するためにも、継続的に5S活動に取り組んでください。

参考:5S活動の基礎知識

3. 技能と機械安全の訓練

安全かつ正確に作業を行うには、十分な訓練が必要です。訓練の基本は、やらせてみることです。

例えば、溶接は、技術や技能の訓練が特に必要な作業です。溶接の品質は、作業者の技能に依存します。作業が終わった溶接部分には、目視で問題がなさそうでも、内部欠陥が潜んでいるかもしれません。内部欠陥を確認するにはX線照射などが必要で、見た目では確認できません。欠陥のない溶接を行うためには、繰り返しやらせてみて、技能を向上させる訓練が必要です。機械安全に関しても、技能と同様に、OJTを通じ、訓練を行います。コツを培うには、繰り返しやってみることが重要です。

図1:溶接作業の様子

図1:溶接作業の様子

4. 危険予知(KYT)訓練

危険予知訓練は、現場に潜在する危険予知を行う訓練です。危険(Kiken)、予知(Yochi)、訓練(Training)の頭文字をとって、KYT訓練といいます。作業開始前10~15分程度の短時間でミーティングを行い、作業現場の危険を把握します。事故災害を未然に防止する訓練として、広く普及している訓練手法です。

うっかり、ぼんやり、勘違いは誰にでもあるものです。危険予知訓練は、危ないことを危ないと感じる感受性を高め、人的エラーを減らすために実施します。また、過去の類似災害ケースを元に、作業現場に潜む危険を事前に察知して、危険に対する情報を共有します。作業の要所で「脚立角度75°、ヨシ!」などと指差し呼称を行い、集中力を高めることも大切です。

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第6回:労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)

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前回は、訓練によるリスク低減方策を解説しました。今回は、職場の安全衛生管理を、自主的かつ継続的に行うための労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS:Occupational Safety and Health Management System)を紹介します。

1. 労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)の改正

2003年以降、日本の代表的な企業で、重大な災害が相次いで発生しました。これを受け、大規模製造業事業場は、安全管理体制および安全衛生活動に関する自主点検を実施しました。厚生労働省が自主点検の結果をまとめたところ、災害発生率が高い事業場では、6つの問題点があることが分かりました。また、6つの問題点に対する経営トップの積極的な取り組みが重要であることも明らかになりました。

・事業場のトップ自らによる率先した安全管理活動の実施が不十分である。

・事業場のトップが、安全管理に必要な人員・経験や経費に不足を感じている。

・下請け業者など、協力会社との安全管理の連携や情報交換が不十分である。

・労使が協力し、安全問題を調査審議する安全委員会の活動が低調である。

・安全管理者、および現場労働者への教育が不十分である。

・設備・作業の危険性の大きさを評価し、災害を防ぐための措置の実施が低調である。

一方、リスク評価や労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)実施事業場の災害発生率は低く、OSHMS導入に効果があることも分かりました。

近年は、労働災害の減少率が鈍化しています。原因の一つに、安全衛生管理のノウハウを蓄積したベテラン従業員の退職が挙げられます。安全衛生管理のノウハウが十分に継承されず、事業場の安全衛生水準が低下し、労働災害の発生につながるという懸念があります。

このような状況の下、2001年に告示された労働安全衛生マネジメントシステムの指針(労働省告示第53号)は、労働安全衛生法と併せて改正され、2006年4月から適用されました(厚生労働省告示第113 号)。主な変更は、労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)を適切に実施しており、一定の安全衛生水準を上回る事業者は、労働基準監督署の認定を受けることにより、労働安全衛生法代88条第1項、および第2項に基づく計画の届出義務が免除される点です。

2. 労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)の目的

労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)は、労働者の協力の下に、事業者が継続的に行う自主的な安全衛生活動の仕組みです。具体的には、経営との一体化、本質安全への取り組み、自主的な対応の促進の3本立てです。そして、労働災害の防止と安全衛生水準の向上を実現していきます(図1)。

図1:労働安全衛生マネジメントシステムの導入意義

図1:労働安全衛生マネジメントシステムの導入意義

3. 労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)の特徴

労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)には、4つの特徴があります。PDCAサイクルに基づく継続的改善、手順化・文章化・記録化、危険または有害要因の特定、全社的な推進体制です。それぞれの詳細を解説します。

PDCAサイクルによる継続的改善

PDCAサイクルは、計画・実施・評価・改善の過程を、連続的に行う管理手法です。安全衛生管理に適用することで、安全衛生計画が適切に実施、運用され、システム監査によるチェック機能が働きます。事業場における安全衛生水準を段階的に向上させることができます(図2)。

図2:PDCAサイクルによる安全衛生水準の段階的向上

図2:PDCAサイクルによる安全衛生水準の段階的向上

手順化・文章化・記録化

マネジメントシステムを適正に実施・運用するには、関係者の役割、責任、権限を明確にし、文書で定めなくてはなりません。特に、労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)の根幹の5事項は、明文化を徹底する必要があります。

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4. 労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格

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第7回:労働安全衛生法と安全配慮義務

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前回は、労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)を紹介しました。今回は、最終回です。労働安全衛生法と安全配慮義務について解説します。

1. 労働安全衛生法の目的

1972年に制定された労働安全衛生法は、それまで労働基準法に集約されていた長時間労働や危険有害物による健康障害などから、労働者を守る安全衛生の基準を詳細に定めた法律です。

労働安全衛生法の第1条には、法律の目的が定められています。「この法律は、労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする」

最初には「労働基準法と相まって」という表現があり、労働安全衛生法と労働基準法に、密接な関係があることを示しています。また、危害防止基準の確立、責任体制の明確化、自主的活動の促進の3本柱によって、労働者の安全と健康確保、快適な職場環境の形成を促進していくと記されています(図1)。

図1:労働安全衛生法の目的

図1:労働安全衛生法の目的

2. 企業の四重責任

職場での事故や災害は、あってはなりません。しかし発生してしまった場合、刑事責任・行政責任・民事責任・行社会的責任の四重責任が、事業者に課せられます(表1)。決められたことをきちんと守り、法律に違反していない場合でも、安全配慮義務違反で民事責任が課せられる場合もあります。刑事責任と民事責任はイコールではありません。安全配慮義務については、次の章で詳しく解説します。

表1:事業者に課せられる四重責任

表1:事業者に課せられる四重責任

3. 安全配慮義務と順守義務

労働災害が発生した場合、事業者は四重責任を負います。それでは、事業者と労働者の関係は、どのようになっているのでしょうか。事業者(雇用主)と労働者は、労働契約によって雇用関係が成立しています。雇用主には、労働者にけがをさせず、安全に働いてもらうという安全配慮義務があります(図2)。

図2:労働災害発生と法的責任の関係

図2:労働災害発生と法的責任の関係

・雇用主の安全配慮義務

雇用主(企業)は、労働者の生命、身体、健康を守る義務を負っています。雇用主が設置した施設・機械・設備や、業務命令上の不備・不注意によって労働災害が発生した場合、雇用主の安全配慮義務違反が問われる可能性があります。また、損害賠償をしなければならない場合もあります。この安全配慮義務は、民法に規定はなく、判例法上認められてきたものです。雇用主には、労働安全衛生法上の義務として安全衛生活動を行い、危険や有害性を予見し回避することが求められています。危険の予見とは何でしょうか? 職場には、労働安全衛生法には明記されていない危険が、数多く潜在しています。雇用主の管理監督者は、これらの危険を予見し、回避しなければなりません。

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4. 労働災害の現状

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