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金属合金の凝固組織と状態図:金属材料の基礎知識2

金属材料の基礎知識

更新日:2020年10月15日(初回投稿)
著者:岩谷産業株式会社中央研究所 技術顧問(大阪大学名誉教授) 中嶋 英雄

前回は、金属における代表的な結晶構造である、面心立方格子、稠密(ちゅうみつ)六方格子、および体心立方格子の格子構造を紹介しました。今回は、固体の相の温度や組成による変化について解説します。温度や組成を変えると、合金中の相はさまざまに変わります。この関係を示したものを状態図と呼びます。この状態図は、ある温度と組成での金属合金相の関係を示す地図のようなもので、金属合金の強度や疲労などの強度物性変化を理解する上でも重要です。

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1. てこの法則

溶けた金属合金を冷却すると凝固し、凝固によって出現した相の割合は温度の変化によって変わってきます。てこの法則を利用して各相の占める割合を見積もることができます。てこの法則とは、力点と作用点を結んだ間に支点を置き、力(量)と支点からの距離が反比例の関係になる法則です。図1は、2成分状態図とてこの法則による成分組成比を表します。2つの異なる成分が混合する状態を示す2成分系状態図において、組成を表す横軸の両端に成分AおよびBを取り、線分ABにBの濃度を目盛ります。

図1:2成分状態図とてこの法則による成分組成比

図1:2成分状態図とてこの法則による成分組成比

このとき、図中のX点の濃度は以下のように示すことができます。

また、組成Xの物質中のA成分とB成分の量比は、図から、以下のようになります。

ここでα相とβ相の量を、それぞれPα、Pβとすると、組成Xの物質中のB成分量は、それを構成する両相中のB成分量の和に等しいため、(Pα+Pβ)X=PαXα+PβXβとなり、これにより、以下の式を導くことができます。

これらの式から、組成Xの物質中にある2つの成分、あるいは構成相の量比は、X点、またはO点から両端の組成までの長さに反比例します。この関係は、X点、またはO点を支点とする、てこの力学的つり合いに似ているので、てこの法則と呼ばれています。

2. 金属の溶解・凝固に伴う冷却曲線

金属の溶解は、電気炉で加熱されたるつぼの中に純金属を入れて行います。図2は、熱分析装置と、冷却過程を測定した冷却曲線を表します。溶融金属の温度は熱電対で測定します。電気炉の出力を低下させると電気炉の温度は下がり、溶融金属は凝固します。

図2:金属の溶解・凝固に伴う冷却曲線

図2:金属の溶解・凝固に伴う冷却曲線

この冷却曲線を見ると、温度TMにおいて、溶融金属の温度降下がしばらく停止していることが分かります(水平部bc)。温度TMにおける水平部bcは、この間に金属の凝固が進行することにより生じます。すなわち、溶融金属の原子配列状態が、液体から固体へ変化を起こすことで熱を発生し、この凝固熱が外界に持ち去られることにより、状態変化が進行します。凝固が完了すれば、温度は曲線cdのように指数関数で近似できる曲線で降下します。

3. 全率固溶体系の状態図

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

4. 共晶型状態図

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5. 状態図の実例

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