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NCとは:NCの基礎知識1

NCの基礎知識

更新日:2019年4月23日(初回投稿)
著者:中国職業能力開発大学校 生産機械システム技術科 能開教授 古城 良祐

機械部品などを生産する現場では、現在多くのNC工作機械が導入されています。なかでもNC旋盤やマシニングセンタは、NC工作機械の代表的なものになっています。これらはものを作るための道具です。精度や能率などの目的を満たした「ものづくり」を行うためには、その特徴や作業内容を十分理解しておく必要があります。本連載では、6回にわたりNCの基礎知識について解説します。初回となる今回は、「NCとは」と題し、NCの定義や制御方式などについて解説します。

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1. NCの定義

NCは1950年頃、アメリカ人のJohn T.Parsonsが考案したといわれています。ヘリコプタの回転翼を製作する際、翼形状の検査ゲージを効率的かつ正確に製作するため、NCフライス盤を開発しました。現在、多くの工作機械にNC技術が活用され、ものづくりにはなくてはならないものになっています。

NCは、numerical control(数値制御)の頭文字をとった略称です。JISでは「工作物に対する工具経路、加工に必要な作業の工程などを、それに対応する数値情報で指令する制御」と定義されています。言い換えれば「数値と記号によって工作機械を自動的に動かす」ということになります。

工作機械に指令を与えるコントローラをNC装置といいます。従来のNC装置では、演算・比較・判断など、一連の機能がハードウェアで構成されていました。近年では、コンピュータを利用した制御プログラムによって、同じ機能を実現するようになっており、CNC工作機械(図1)と呼ばれています。CNCとはComputerized NCの略称です。

CNC工作機械の一例(マシニングセンタ)

図1:CNC工作機械の一例(マシニングセンタ)

2. NCの制御方式

NC工作機械は、図2に示すように、NC装置と工作機械により構成されています。サーボ機構とは、NC装置からの指令により工作機械の刃物台やテーブルなどを動かす機構です。人間で例えるなら手足の役目を果たすもので、指令を出すNC装置が脳にあたります。

NC工作機械のしくみ

図2:NC工作機械のしくみ

各種NC工作機械に利用されてきた、代表的なサーボ機構の制御方式は以下のとおりです。

・オープン・ループ制御

オープン・ループ制御

図3:オープン・ループ制御

図3に示すように、NC装置からの指令により、パルス(ステッピング)モータが回転をすると、歯車やカップリングで繋がれているボールねじが回転し、刃物台やテーブルが移動します。この制御方式では指令を出したあと、位置・速度の検出をせず、情報をフィードバックしないため、オープン・ループ(開ループ)制御と呼ばれます。構造的に簡単で安価であったため、過去には使用されていましたが、1パルスあたりの移動距離が0.01㎜程度であったことと、誤差の補正ができなかったため、NC工作機械では使用されなくなりました。

・セミクローズド・ループ制御

セミクローズド・ループ制御

図4:セミクローズド・ループ制御

図4に示すように、NC装置からの指令により、サーボモータおよびボールねじが回転して、刃物台やテーブルが移動します。この制御方式では、モータに取り付けられたロータリエンコーダなどの検出器により位置・速度を検出し、その情報をフィードバックして指令値と比較をしながら制御します。そのため、速度制御は正確ですが、位置制御に関してはモータの回転数や回転角で検出をしているため、ボールねじの精度が重要となります。

・クローズド・ループ制御

クローズド・ループ制御

図5:クローズド・ループ制御

図5に示すように、NC装置からの指令により、サーボモータおよびボールねじが回転して、刃物台やテーブルが移動します。位置情報は各移動軸(マシニングセンタなら直交3軸)に対して平行に設置された読取りスケール(リニアエンコーダ)で検出し、機械が動いた位置を直接読み取ります。そのため、ボールねじの摩耗や熱膨張などの影響を受けず、累積誤差が発生しないため、高精度な制御が可能となりました。速度はセミクローズド・ループ制御と同様、モータに取り付けられたロータリエンコーダなどの検出器により検出します。それらの情報をフィードバックして制御するのがクローズド・ループ制御です。

セミクローズド・ループ制御およびクローズド・ループ制御を総称してフィードバック制御(閉ループ制御)といいます。フィードバック制御では検出した情報をフィードバックし、指令値と比較・演算をしながら制御が行われているため、移動速度が速くなると信号のやりとりが間に合わなくなり、加工形状に誤差が発生するようになります。現在では、そのような高速送りによる加工(高速切削加工)が実現できるような制御方式も実用化されています。

3. NCの活用

高度成長期時代の日本では、現在に比べて製品ライフサイクルは長く、生産形態は「少品種多量生産」でした。同じものをたくさん作って安く売るという方法です。多量生産される特定形状の製品に対しては、平面加工や穴加工などを専門に行う専用工作機械が用いられました。また、1台の専用工作機械で完成しない製品については、専用工作機械を加工順にならべて搬送装置で結んだ、トランスファマシンが使用されました。

時代が進むにつれて、消費者ニーズの多様化や市場の変化などにより、製品ライフサイクルは以前よりも短くなりました。それに伴い、製品の多くは「多品種少量生産」あるいは「変種変量生産」されるようになっています。これに対応するため、プログラムにより容易に加工形状が変更できるNC工作機械が活用されるようになりました。また、NC工作機械と自動工作物脱着装置、計測装置などで構成されるFMC(Flexible Manufacturing Cell)や、複数のFMCと搬送装置を組み合わせたFMS(Flexible Manufacturing System)により、長時間の自動生産が行われるようになっています。

いかがでしたか? 今回はNCの定義や制御方式などについて解説しました。次回は、NC工作機械の種類とその特徴などについて解説します。お楽しみに!

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