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リテール決済システム改革3-世界に広がるモバイル・ペイメント-:決済システムの基礎知識7

決済システムの基礎知識

更新日:2020年2月5日(初回投稿)
著者:麗澤大学 経済学部 教授 中島 真志

前回は、モバイル・ペイメントのメリットを紹介しました。携帯電話番号(ケータイ番号)を使って、24時間365日いつでもリアルタイムの送金が可能なモバイル・ペイメントは、世界中の銀行で導入が進められています。今回は、世界におけるモバイル・ペイメントの代表的な導入事例を紹介することとしましょう。

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1. スウェーデンのSwish

モバイル・ペイメントで世界をリードしているのは、スウェーデンです。スウェーデンは、2012年にケータイ番号による個人間送金サービス「Swish」(スウィッシュ)を導入しました。利用者はスマホで相手のケータイ番号を指定し、金額を入力するだけで、リアルタイムでの送金が可能なサービスです。国内の大手10行が共同でこのサービスを導入しています。

Swishは、利用者数が710万人以上と、スウェーデン国民の7割以上が利用するサービスとなっています。特に、20代若年層の普及率は90%以上と圧倒的で、これらの層では、Swishでの受け取りを好み、現金の受け取りを拒否するといった現象も起きています。スウェーデンでは、もともと現金の利用率が低かったのですが、Swishの導入以降は、現金の流通残高の減少に一段と拍車がかかりました。このように、モバイル・ペイメントは、キャッシュレス化に大きく寄与することが分かります。

そもそもSwishは、個人間の決済サービス(Swishプライベート)として導入されました。その後、商店などでの支払いに使える「Swishコーポレート」や、インターネット・ショッピングで使える「Swishコマース」といったサービスが追加され、今ではさまざまな場面で利用できます(表1)。

表1:Swishのサービス拡大

表1:Swishのサービス拡大

2. 北欧や英国のモバイル・ペイメント

スウェーデン以外にも、北欧ではモバイル・ペイメントが発達しています。デンマークの「MobilePay」(モバイルペイ)、ノルウェーの「Vipps」(ヴィップス)は、いずれも国民の2人に1人以上が利用するサービスとなっています。

また、英国でも、2014年からケータイ番号を使って送金を行うことができる「Paym」(ペイエム)を導入しています。Paymの利用者数は、サービス開始から2年で330万人に達し、その後も、年間100万人を超えるペースで増加しています。

Paymの利用状況を見ると、支払いの相手は、友人、両親、配偶者、兄弟などが多く、身近な間柄の個人間の支払いに利用されていることが分かります。また、利用内訳としては、食事代、プレゼント代、ガソリン代、映画代、家計費など、誰かが一括して支払った費用を分担する「割り勘」によく利用されています(表2)。

表2:Paymの利用アンケート(参考:Paym Statistical Update、2016年9月)

表2:Paymの利用アンケート(参考:Paym Statistical Update、2016年9月)

Paym利用者による感想を、表3にまとめました。「口座番号を相手に伝えなくて済む」、「ケータイ番号を使う方が口座番号より簡単である」など、口座番号を使わなくて済むメリットが最も高く評価されています。また、「ATMに行かなくてよい」、「現金を持ち歩かなくて済む」のように、現金の代わりに簡単に支払いが行えるという利便性にも高い評価が集まっています(表3)。

表3:Paym利用者の感想(参考:Paym Statistical Update、2016年9月)

表3:Paym利用者の感想(参考:Paym Statistical Update、2016年9月)

このようにPaym利用者は、このサービスの使い勝手を高く評価しており、利用者の80%がこのサービスを知り合いに勧めたいと回答しています。こうした形で、利便性を実感した人から口コミで広がっていくのもモバイル・ペイメントの特徴です。

3. 米国のZelle

米国では、「Zelle」(ゼル)という個人間送金のサービスが拡大しています。Zelleは、2011年から、バンク・オブ・アメリカ、JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴの大手3行が中心となってサービスを行ってきた、ケータイ番号やメールアドレスを使った送金が可能なサービスです。しかし、一部行に限定されたサービスでは普及に限界があることから、2017年にサービスを他行に開放し、参加行を拡大する方針に転じました。これにより、参加行は一気に約500行に達し、国民の4人に1人に相当する8,600万人が利用するサービスとなっています。米国では若者を中心に、「Venmo」(ベンモ)というノンバンクによる個人間送金が急成長を遂げています。米国の銀行界が、Zelleの拡大に動いているのは、急拡大するVenmoに対する銀行界としての対抗策の意味合いが強くあります。

4. アジアのモバイル・ペイメント

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

5. モバイル・ペイメントの発展

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6. 取り組みが遅れる日本の銀行界

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