メニュー

プレス加工とは?プレス加工の3要素とは?:プレス加工の基礎知識1

プレス加工の基礎知識

更新日:2016年12月26日(初回投稿)
著者:塑性加工教育訓練研究所 小渡 邦昭

私たちの身の回りにある製品の多くは、同じものを数多く作る大量生産方式で作られています。これにより、製品を安価に購入することが可能になります。この大量生産の代表格が、プレス加工といわれる加工方法です。本連載では9回にわたり、プレス加工の基礎知識を解説します。第1回は、プレス加工とは?、およびプレス加工の3要素を解説します。

今すぐ、技術資料をダウンロードする!(ログイン)

1. プレス加工とは?

プレス加工とは、どのような加工方法でしょうか。身近な言葉で表現するならば、薄い金属板を切る、曲げる、形を作ることで、必要な形状を作り上げていく(形作る)加工方法です。しかし、プレス加工の現場で、形作ることにだけ注目するのでは、技術の進歩に取り残されます。なぜならプレス加工は、形作る以外にもさまざまな技術(製品の材料、形を作り上げる道具、道具を作る機械、道具に力を加えて加工する機械など)によって支えられ、日々進歩しているからです。

プレス加工で作られる製品に求められるポイントは、以下の5点です。

  • 機能を満足すること
  • 切る、曲げる、形を作るといった加工が可能な形状であること
  • プレス加工を行う機械や道具、さらには製品に使われる材料の調達が容易であること
  • 検査項目(良品・不良品の判断)が決められること
  • 良い製品を、速く、安く作ることができること

これらの要求事項が検討され、より優れたものは、製品設計から製作へとつながります。このように、プレス加工される製品の使用環境など、取り巻く状況を十分に理解することが大切です。

では、プレス加工の仕組みを穴開けパンチを用いて考えてみましょう。穴開けパンチは、紙にファイリングのための穴を開ける道具です。穴開けパンチ(工具)に紙を挟み込み、レバーを押して力を発生させ、円形の穴を開けます。この一連の流れには、工業化された生産現場におけるプレス加工の要素が全て含まれています(図1)。円形の穴を開ける工具(穴開け工具)は、プレス加工現場の金型に相当します。同様に、穴を開ける紙は被加工材(加工され、製品になる材料。主に板状の金属)に、レバーを押すことで発生する強い力はプレス機械に相当します。同様な働きは、クッキーや野菜を星形に形作る場合にも見ることができます。

図1:穴開けパンチとクッキーの型取りでイメージするプレス加工

図1:穴開けパンチとクッキーの型取りでイメージするプレス加工

油圧プレスをチェック!(イプロス製造業)

2. プレス加工の3要素

プレス加工の3要素とは、金型、被加工材(プレス加工され製品となる材料で加工されるので、被加工材といいます)、プレス機械です。改めてプレス加工を専門技術的な用語で定義すると、以下のように表すことができます。

2個以上の対(ペア)をなす工具(金型)の間に被加工材を置き、工具で被加工材に強い力(プレス機械)を加えることにより、被加工材に元の形状に戻ることができない変形を与える。

実際の生産現場におけるプレス加工では、金型、被加工材、プレス機械の3要素が相互依存し、関係し合うことにより、製品の精度や生産効率にも影響を及ぼします(図2)。

図2:実際のプレス加工

図2:実際のプレス加工

プレス加工の現場では、プレス機械に取り付けられた金型が上下している光景を見ます。被加工材がプレス機械で加工される時間は、わずか2~3秒です。順調に動いているところを見ると、単調な仕事に思うかもしれません。しかしながら、プレス加工が順調に行われているということは、プレス加工の3要素が全て満たされていることを意味しています。プレス加工を理解するには、プレス加工全体に注目することが大切です。

プレス加工の現場で、私たちが見ているのは、金型の外側だけです。すなわち、被加工材がプレスされる重要な瞬間(プロセス:途中経過)を、直接観察することはできません。そのため、この加工過程の短い時間において、どこ(被加工材)に、いつの段階(金型のどこ)で、どのくらいの力(プレス機械)がどのように影響するか? をイメージすることが大切です。この考え方は、今後の新たな手法を用いてプレス加工を行う際に、効率よく開発や生産をする上で大変有効です。

油圧プレスをチェック!(イプロス製造業)

3. プレス加工のライフサイクル

プレス加工の3要素(金型、被加工材、プレス機械)、およびそれぞれの相互関係を理解するために知識を得ることは、プレス加工の作業者だけでなく、プレス加工部品の設計者にも必要不可欠です。また、実際のプレス加工の生産現場から、作りやすさや、効率的な方法といった観点から情報発信することが重要です。そのためには、プレス加工の3要素で製品を一瞬で作り上げるプレス加工を点とし、製品が実際に利用されるまでを時間軸で考える必要があります。時間軸で考えるとは、被加工材はどのように作られたのか、どのような性質があるのか、プレス加工された製品がどのように利用され、リサイクルされるのかなどを考えることです。これにより、改善や、新たな加工方法の提案が可能になります(図3)。

図3:プレス加工の3要素と時間軸

図3:プレス加工の3要素と時間軸

時間軸を考えることは、全体を把握した上で、自分の行う仕事を考えることでもあります。これは特別なことでなく、私たちが日々の行動で行っているPDCAサイクルと同様です。PDCAサイクルとは、P(Plan:計画)、D(Do:実行)、C(Check:評価)、A(Action:改善実行)の4段階を繰り返すことによる、業務の継続的改善です。

プレス加工部品が作られ、利用される流れを、PDCAサイクルに置き換えると、以下のようになります。

  • P(Plan):実際の加工が意識されていない製品図面を改善する。製品、生産方法、金型などの条件を考慮して、金型の仕様を検討する。
  • D(Do):加工を前提とした製品図から寸法や機構を付与し、具体的な金型形状を設計、製作する。
  • C(Check):製作された金型を用い、トライ加工を経て、量産加工に進む。
  • A(Action):これまでに生じたトラブルを調査・分析し、加工ノウハウを蓄積する。

いかがでしたか? 今回は、プレス加工の3要素を解説しました。次回は、被加工材料の特性を解説します。お楽しみに!

油圧プレスをチェック!(イプロス製造業)

  • セミナー4月
  • 販促_無料出展

ピックアップ記事

tags

  • 特集バナー0318_01
  • 特集バナー0318_02
  • 特集バナー0311_01
  • 特集バナー0311_02
  • 特集バナー0311_03
  • 基礎知識一覧