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プレス加工の安全対策:プレス加工の基礎知識9

プレス加工の基礎知識

更新日:2017年5月9日(初回投稿)
著者:塑性加工教育訓練研究所 小渡 邦昭

前回は、フランジ面積と変形抵抗の関係に注目して、絞り加工を紹介しました。今回は最終回です。プレス加工の安全対策を解説します。

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1. 安全とは何か?

プレス加工の安全対策について考える前に、安全とは何かを確認しましょう。機械を使った作業では、作業者の安全を確保するためのシステムが必要です。また、安全に関する法令も整備されています。この場合の安全は、人(作業者)は間違える(フールプルーフ)、機械は壊れる(フェールセーフ)という観点で構築されています。言い換えれば、生産システムは人間と機械で構成され、この相互のバランスが崩れたとき、事故が発生するということです。

フールプルーフ:人間は間違えるという観点に立った、安全に対する考え方。ミスは発生するという前提で、作業者が間違えた操作をしても危険な状態を招かないようにすること。

フェールセーフ:機械は壊れるという観点に立った、安全に対する考え方。装置やシステムにおいて、誤操作や誤動作による障害が発生しても、常に安全側に制御すること。

次に、身近な例として、自動車の安全運転のためのシステムをイメージしながら、プレス加工における安全確保を考えてみましょう。

表1:車の運転とプレス加工の安全に関するシステム
自動車の安全運転のために必要なシステムプレス加工を安全に行うために必要なシステム
運転に適した姿勢・服装安全作業指針に基づく生産
乗車する前の始業点検作業開始前の日常点検
安全補助装置(シートベルト)の着用安全装置の使用
五感を生かした運転状況の把握五感を生かした生産状況の把握
定期点検による安全確保定期点検による安全確保
車検制度による法令に基づく安全確保特定自主検査による法令に基づく安全確保

このように、安全を確保するためのシステムを理解して、安全作業を行うことが重要です。ただし、絶対に自動車事故を防げるわけではないように、これらの工程を確実に実行したからといって、作業の安全性が保障されるわけではありません。安全は与えられるものではなく、作り上げるものです。その中心は、プレス加工に携わる作業者です。作業者は、プレス機械や金型、被加工材の特性を十分に理解し、安全確保を行う必要があります。

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2. 安全装置

プレス加工機械には安全装置が取り付けられています。なぜ、安全装置は必要なのでしょうか? 作業者の身体の一部が、機械の危険な領域に絶対に入らないのであれば、安全装置は必要ではありません。しかし、プレス金型の取り付けや段取り、金型の修正、調整、試作では、危険領域に入る必要があります。このような状況下でも安全を確保するために、安全装置は必要です。安全装置の種類には、ノーハンド・イン・ダイ、およびハンド・イン・ダイがあり、できるだけノーハンド・イン・ダイを志向することが望まれます(図1)。

ノーハンド・イン・ダイ(No Hand in Die):プレス機械で最も危険な金型が上下する範囲に、身体の一部(手など)が入らない方式、または入れる必要がない方式。身体の一部が入らない囲いや金型構造、身体の一部を入れる必要のない専用プレス、材料供給から製品取り出し、金型交換まで自動化されたプレスなど。

ハンド・イン・ダイ(Hand in Die):プレス機械の危険領域に手が存在する場合、作業者の安全をより確保する方式、またはプレス機械が停止するか動かない方式。身体の一部が危険領域に達するまでに、安全が確保された状態を作り出す設計など。

図1:ノーハンド・イン・ダイとハンド・イン・ダイの安全装置

図1:ノーハンド・イン・ダイとハンド・イン・ダイの安全装置

3. 安全距離

車がすぐに止まれないのと同様に、プレス機械の安全装置が作動しても、すぐに止まることはできません。そのため、ハンド・イン・ダイでは、身体の一部が危険領域に入ろうとしてから、危険領域に達するまでの距離が重要になります。それが、安全距離です。

例えば、作業者の手が両手操作ボタンから離れたり、光線式安全装置がトラブルを検知したとき、プレス機械のスライドが安全な状態で停止するまで時間内に、作業者の身体の一部(ここでは手)が移動できない距離に危険領域があれば、事故は発生せず、作業者の安全は確保されます。その場合、作業者の手の基準移動速度は1.6m/s(国際規格では2.0m/s)として考えます。

また、機械の非常停止ボタンが押された場合、プレススライドは瞬時に停止しているように見えますが、実際には停止までに以下の時間を要しています。

プレススライド停止に要する時間(s)= 電気的遅れ時間 Tl + 機械的遅れ時間 Ts

電気的遅れ時間 Tl:非常停止ボタンが押されてから、プレスのクラッチ電磁弁が起動するまでの時間

機械的遅れ時間 Ts:クラッチ電磁弁が起動してから、プレススライドが停止するまでの時間

作業者の手の基準移動速度を1.6m/sとすると、安全距離 D(m)は以下の式で表されます。安全距離とは、プレス機械において、両手押しボタンや光線式安全装置(光が遮断されるとそれを検出して作動する安全装置)などから危険限界までの距離のことです。

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

4. 安全プレスと安全機構

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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