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体冷却の有効性~各種冷却グッズの使い方~:工場の暑さ対策の基礎知識4

工場の暑さ対策の基礎知識

更新日:2021年7月14日(初回投稿)
著者:横浜国立大学 教育学部 学校教育課程 保健体育 教授 田中 英登

前回は、暑さ対策に必要とされる栄養成分と食材を紹介しました。今回は、体冷却の効果について解説します。体の冷却は、外部から体を物理的に冷やすことです。近年、さまざまな冷却手段が考案されています。それらの長所、短所などを紹介します。

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1. 体冷却の種類とその意義

高体温対策として、近年では体を外部から冷却する手段(身体冷却法)が考えられています。体が暑熱環境下に暴露されると、主観的な暑さ感が増し、不快感がもたらされます。長時間の暑熱暴露や、強度の高い活動を行うと高体温となり、作業能率が低下します。また、高体温は暑熱障害(熱中症)のリスクを高めます。表1に、各種身体冷却法とその特徴を示します。

表1:各種身体冷却法とその特徴(参考:スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック、日本スポーツ協会、2019年から著者改編)
冷却方法 冷却効果 実用性 備考
深部 皮膚 作業前 作業中 休憩時 作業後 簡便性



アイスバス 冷却直後は筋出力低下
アイスパック 冷却効果はアイスバスの10分の1程度
クーリングベスト 作業中着用できるが、重量負担が少しはある
送風 霧吹き/水噴射と組み合わせ可能、屋外でも使用可
ファン付き作業服 衣服内送風により汗の蒸発を促進し、快適性高める
頭部・頸部冷却 作業中も使用できるが深部までは冷却できなく、熱中症注意
手掌冷却 温熱感覚に好影響、手ごろに冷やせる
メントールスプレー × × × 体温下降作用はない。涼しいと錯覚させる。作業前・中の使用には注意



水分補給 脱水予防、エネルギー補給など兼ねる
アイススラリー 電解質/糖質同時補給も可

こうした身体冷却法は、使用目的や使用条件によって異なります。一方、目的や条件に合わない冷却法を用いると、効果が軽減するだけでなく、体にとってむしろ有害となる場合もあります。それぞれの体冷却のメカニズムをよく理解した上で、その場に合った冷却法を導入することが大切です。

2. 体温下降(高体温防止)効果のある冷却手段

身体冷却の目的は、大きく2つに分けられます。一つは、体温の低下を目的としたもの、もう一つは冷却により快適感を導くものです。まずは、体温を低下させる効果のある冷却法を紹介します。

冷却法には、表1に示したように、体外部からの冷却と、内部からの冷却があります。外部からの冷却のうち、最も深部の体温を下げる効果があるのは、20℃以下の冷水に肩下の全身を浸けるアイスバス法です。高体温になった際には、最も早く体温を下降させる効果があります。しかし、労働の現場に浴槽が配置されていることはほとんどないため、実際にアイスバス法を使用するのは難しいかもしれません。

アイスバス法と比べると、その他の外部冷却法は、深部体温低下の有効性は小さくなります。しかし、手部の冷却(手掌冷却)法は、簡易に現場で用いることが可能です(図1)。10~20℃の水をバケツに入れ、手部を数分間浸けるだけで体温下降作用があります。手部には、動静脈吻合(ふんごう)と呼ばれる大きな血管が走行しており、高体温時にはラジエーターのように熱放散部位となるためです。ただし、水温を5℃以下の極冷水にすると、血管が収縮してしまい、ラジエーター効果がなくなってしまいます。

図1:手部の冷却の適温は10~20℃

図1:手部の冷却の適温は10~20℃

他にも、クーリングベストや、頭部・頸部(けいぶ)冷却などは作業中にも使用でき、体温上昇の傾きを少しでも抑えることが可能です(図2)。

図2:作業中にも使用できる冷却手段

図2:作業中にも使用できる冷却手段

一方、体の内部からの冷却法で深部体温を下げる効果があるのは、アイススラリー摂取による冷却法です。アイススラリーとは、氷を細かく砕いた氷水です。作業中には摂取しにくいものの、作業前や休憩時などに摂取することにより、深部体温を低下させることが報告されています。競技アスリートなどが暑さ対策として利用している方法です。

3. 快適性のある冷却手段

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