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POSデータの利活用:リテールデータの基礎知識3

リテールデータの基礎知識

更新日:2022年8月4日(初回投稿)
著者:東京経済大学 経営学部 マーケティング学科 教授 田島 博和

前回は、POSシステムに蓄積されるリテールデータについて紹介しました。商品ごとの販売履歴であるPOSデータや、顧客ごとの購買履歴であるID-POSデータについて、小売が収集するこれらのデータからは、商圏全体の状況や競合他社店舗での行動が分からないという問題点を指摘しました。対して、共通ポイントカードやQR決済などを通じて収集されたリテールデータやビッグデータは、このような問題点を解決するポテンシャルを秘めています。今回は、POSデータの利活用をテーマに、ABC分析や回帰分析など、よく用いられる分析方法について解説します。

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1. データの可視化とクリーニング

データ分析の手順を分かりやすく説明するために、データを「食材」、データ分析を「調理」、分析結果を「でき上った料理」に例えてみましょう。データ分析の第一歩であるデータの可視化とクリーニングは、必要な「食材」を実際に目で見て確認しながらごみを取り除くなどの「下ごしらえ作業」に該当します。

・データの可視化

データの可視化とは、数値やコードで表記しているデータを一覧できるようにすることです。大量のデータをそのまま眺めて、平均や分散がいくつ位なのか、または増えているのか減っているのかなどの傾向をつかむのは難しいことです。また、高次元(多変量)のデータでも、データを眺めるだけでデータ間の関連の有無を把握することは、やはり困難です。このような場合、さまざまな集計表やグラフによって可視化します。可視化にはMicrosoft EXCEL、無料統計ソフトのRやPython、同じく無料のグラフ作成ソフトであるgnuplotなどを利用することができます。

・データクリーニング

データのクリーニング(クレンジング)とは、データベースなどに保存されているデータの中から、誤って記録されたデータや外れ値を、修正したり取り除いたりすることをいいます。POSシステムに蓄積されるリテールデータでは、商品や顧客データベースの記載ミス(例:数字の半角・全角の違いなど)や更新ミス、バーコードの読み取りミスなどにより、データが誤って記録される場合があります。また、天候や催事、競合店舗の行動など近隣地域のイレギュラーな出来事により、外れ値、すなわち、他の値から大きく外れたデータが記録されることもあります。そのような場合に、データのクリーニングが必要となります。

間違ったデータからは正しい分析結果は得られないので、クリーニングはその後のデータ分析と同じぐらい重要な工程です。外れ値かどうかの判定は、箱ひげ図(データのばらつき具合を示すデータ)を用いる方法から、最近では異常検知プログラミングといった人工知能(AI)を使った方法など、さまざまな方法が開発されています(図1)。しかし、背景となるイレギュラーな出来事を理解した上で、慎重に修正・削除の判断することが重要です。

図1:箱ひげ図

図1:箱ひげ図

POSデータは、商品ごとの販売履歴を網羅的、かつリアルタイムに収集します。このため、「何が売れているのか?」だけでなく、価格や棚位置、購入客層との関連を踏まえて「なぜ、それが売れたのか?」という理由にまで踏み込んだ分析も可能にしています。POSデータの分析については、次回、POSデータの利活用で紹介します。

2. 品揃(ぞろ)えのためのABC分析

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

3. 価格設定のための回帰分析や価格弾力性

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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