ゴム材料・ゴム製品の製造工程:ゴムの基礎知識4
投稿日:
- 2018年06月28日
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カテゴリ:
- 基礎知識
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前回は、原料ゴムに求められる特性、原料ゴムの種類、特殊な原料ゴムについて解説しました。今回は、原料ゴムからゴム材料・ゴム製品がどのように作られるのか、その製造工程を見ていきましょう。
1. ゴム材料・ゴム製品の3つの製造工程
ゴム材料・ゴム製品には、3つの製造工程があります(図1)。それは配合表の作成、混合(配合)、加硫・成型です。
ゴム材料は、原料ゴム中に架橋構造を形成させたものです。従って、架橋構造を形成させるための薬品、また強度や各種耐性など、出来上がりのゴム材料・ゴム製品に求められる性能を実現させる薬品・物質を、原料ゴムに混合する必要があります。ゴム材料・ゴム製品作りの第1段階は、これら原料ゴムに混合する薬品・物質を選定し、それぞれの使用量を決定すること。つまり、配合表(レシピ)の作成です。
配合表が決定したら、原料ゴムに薬品・物質を添加し、配合(混合)します。こうして出来上がった混合物(コンパウンド)を、金型に入れて加熱します。この時、架橋構造形成のための化学反応(加硫工程)と同時に、加圧による成形が行われます。終了後、成型物を金型から取り出し、必要に応じてバリ取り・検査を経て、ゴム材料・ゴム製品の完成となります。
2. 配合表の作成
ゴム材料・ゴム製品製造の第1段階は、原料ゴムに混合する物質の選定と、それらの使用量を決定し、配合表を作成することです。この工程で最も重要なことは、使用する配合剤の選択です。全てのゴム材料・ゴム製品に欠かせないものは、原料ゴムに架橋構造を形成させる硫黄などの薬品です。その他に各種充填剤、老化防止剤、良好な作業性を得るための加工助剤、場合によっては着色剤などが混合されます。
配合表は原料ゴム100グラムに対して、混合する物質のグラム数を示す単位phr(parts per hundred rubber)で表します。この単位は、現場での作業性を考慮したゴム業界特有の単位です。配合表の一例を、表1に示します。
品名 | 種類 | 配合率(phr) |
クロロプレンゴム | ポリマー | 100 |
カーボンブラックA | 補強性充填剤 | 10 |
カーボンブラックB | 補強性充填剤 | 10 |
軽質炭酸カルシウム | 充填剤 | 40 |
可塑剤A | 可塑剤 | 15 |
可塑剤B | 可塑剤 | 8 |
老化防止剤A | 老化防止剤 | 1 |
老化防止剤B | 老化防止剤 | 0.5 |
老化防止剤C | 老化防止剤 | 2 |
亜鉛華 | 加硫助剤 | 5 |
ステアリン酸 | 加工助剤 | 1 |
硫黄 | 加硫剤 | 1.5 |
加硫促進剤A | 加硫促進剤 | 1 |
加硫促進剤B | 加硫促進剤 | 0.5 |
各薬品の選定について、見ていきましょう。架橋構造を形成させるための薬品選定は、次項で説明します。
老化防止剤は、ゴム材料の寿命を支配する重要な薬品です。この薬品を選択するポイントは、3点あります。第1に、ゴム材料を使用している期間中に、材料から抜け出すことなく、長期にわたって効用を発揮できるか否かです。第2は、劣化の原因、例えば酸化劣化とオゾン劣化を区別し、ゴム材料・ゴム製品の用途や使用環境に応じ、効果的に効用が発揮できるものを選ぶことです。第3は、加硫工程での加熱時に、金型にダメージを与えないことです。アミン系老化防止剤は、酸化劣化に対して高い効果を示すものの、金型の汚染度が高いという欠点があります。フェノール系防止剤は、老化防止効果はアミン系ほど良好ではないものの、金型汚染度は比較的低い特徴を持っています。また、防止剤の大気中への蒸散や、水への溶解度を低減した老化防止剤も市販されています。
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3. 混合(配合)
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4. 加硫および成形
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