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ゴム材料が抱えている課題:ゴムの基礎知識7

ゴムの基礎知識

更新日:2018年8月2日(初回投稿)
著者:東京理科大学 名誉教授 伊藤 眞義

前回は、各種特性や使用環境など、ニーズに合わせたゴム材料の作り方を解説しました。今回は最終回です。ゴム材料が抱えている課題として、製造時にかかる膨大なエネルギー量やリサイクル性など、環境負荷に関する課題を考えていきます。

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1. 製造工程に関する問題

ゴム製造業は、膨大なエネルギーを消費している産業です。特に混錬工程と加硫・成形工程において、大型の設備とエネルギーを使用します。これらの工程簡素化と、使用エネルギーの省力化が、ゴム産業の環境負荷軽減における大きな課題です。これらを解決する方法を、検証していきます。

1:固体の原料ゴムから液状ゴムへの転換

多くのゴム材料が固形の原料ゴムを使用する限り、混練工程でロールや内部ミキサーを使用するので、大量のエネルギー消費を伴います(参考:第4回)。ゴム製品・ゴム材料の製造工程における全消費エネルギーの7割が、この工程で使用されています。

解決策の一つに、固形の原料ゴムから、混錬工程を省略できる液状ゴムに切り替える方法があります。この転換は、エネルギー省力化の観点からは大きなメリットがあるものの、問題も抱えています(表1)。

表1:環境負荷軽減から見た、固体の原料ゴムと液状ゴムの比較
  固体の原料ゴム 液状ゴム
製造工程の
省エネ度
ロール、ミキサーによる混練工程で、大量のエネルギーを消費 混練工程がないので、エネルギー消費量が小さい
配合剤の配合
加工条件の操作
ゴム製造メーカーの生命線ともいえるノウハウがあり、競争力を生かせる工程 液状ゴムメーカーで配合済み。ゴム製造メーカーのノウハウ、競争力を生かせない
輸送・保存 固体のため、簡単な包装で輸送可能。安定した状態にあるので、保管も比較的容易 水あめ状で、専用の輸送容器が必要。保存・取扱も困難
コスト 固体の原料ゴムに比べ、割高

液状ゴムの中には、配合剤の混合に特殊な技術を要するものがあるため、液状ゴムメーカーが配合剤を混ぜた状態で、ゴム製造会社に渡すケースがほとんどです。ゴムの成形加工は、物理的・化学的変化が同時に発生する複雑な現象の中で行われます。この複雑な現象を配合剤や加工条件で制御することで、加工性や材料の物性を制御しています。すなわち配合と加工条件の操作は、ゴム製造会社にとって命ともいうべき重要なプロセスです。この技術が、液状ゴムの使用で発揮できなくなる可能性があります。液状ゴムの使用に関して、もう一つの問題は、輸送です。固形の原料ゴムは簡単な包装で輸送が可能ですが、液状ゴムは水あめ状態のため、輸送用の容器が必要です。また、取り扱いが厄介な点、固体の原料ゴムに比べると高コストになる点も検討課題です。

こうした問題の半面、流動性が高い液状ゴムには、小さな隙間にも流入できる利点があります。精密ゴム材料や他材料との複合化など、いろいろな分野で活用できるため、ジエン系、オレフィン系、シリコーン系、ウレタン系など多種類の液状ゴムが市販されています。液状ゴムの用途14例を、下記に示します。

1. 接着剤、粘着剤(無溶剤、室温硬化型) 2. コンクリート接着剤、レジンコンクリート 3. 塗料、コーティング剤 4. 固体燃料バインダー 5. 防水、耐薬品被覆膜(常温施行型) 6. 電気部品用(ボッティング材など) 7. 建築、土木用シーリング剤 8. 自動車フロントガラス接着シーリング剤 9. 医療用材料 10. 履物材料(ユニットソール、ヒール) 11. 床張り、床材料 12. 合成皮革、弾性繊維の原料 13. ゴムあるいはプラスチック用反応性改質剤(反応性軟化剤、可塑剤、架橋助剤、グラフト化剤など) 14. カーペット類のパッキング、繊維処理剤

液状ゴムは固形ゴムほどの強度がないことから、タイヤなどの産業用資材への利用は困難です。しかし特別な強度が要求されない、上記のようなゴム製品・ゴム材料においては、液状ゴムへの転換が可能であり、環境負荷の軽減が期待できます。

2:加硫・成型工程の省エネルギー化

環境負荷の観点から見ると、ゴム製品・ゴム材料の製造工程では、加硫・成形工程にも課題があります。現在の加硫・成型工程は、加熱による加硫反応を利用しているため、長時間の加熱が必要となり、エネルギー消費量が大きくなっています。

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

2. ゴム材料の劣化と寿命に関する問題

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

3. ゴム製品・ゴム材料のリサイクル性

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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