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ねじの基礎知識

ねじの基礎知識

著者:國井技術士設計事務所 所長 國井 良昌

ねじやばね、歯車やチェーンなどは機械要素と呼ばれ、さまざまな機械に組み込まれています。機械要素は、機械の動作や品質を左右します。本連載では、その中でも使用頻度の最も高いねじを6回にわたって、続く次連載では、ばねを取り上げます。要素部品を使った実装設計ができるよう、技術者に役立つ実践的な基礎知識を解説します。

第1回:機械要素の学び方

1. 機械要素とは

機械要素とは、機械を構成する部品のことです。ねじやばね、歯車(ギア)などが代表格で、その他にベルトやチェーンなども含まれます。料理で例えると、カレーやコロッケなどの完成した料理が機械で、材料となる野菜や肉、調味料、ソースなどが機械要素に当たるわけです。料理のおいしさが材料の選定や調理方法に左右されるように、機械のクオリティも機械要素の品質や扱い方に大きく影響されます。そのため、機械要素の選択と使用方法に注意を払うことが大切です。

2. 設計者・技術者が成長するためのコツ

機械要素について、学生の頃に学んだことがある方も多いのではないでしょうか。設計職人の筆者は、学生が学ぶ知識と現場の設計者・技術者が習得すべき知識には差異があると感じています。例えば、図1はねじのつる巻き線とリード角の説明図です。学生であれば細かい定義や計算式を覚え、試験問題を解けるように理論を勉強する必要があります。しかし、現場の設計者・技術者は、少なくとも単語とその意味を知っていれば業務には困りません。その代わり、全く違う種類の知識が必要となるのです。この全く違う知識とは、実務知識です。

図1:ねじのつる巻き線とリード角

図1:ねじのつる巻き線とリード角

では、現場の設計者・技術者は、ねじやばねなどの機械要素をどのように学べばよいのでしょうか。筆者は、以下の3つの体験を通して初めて生きた知識が身に付くと考えています。

1:実務を通して、基礎知識を体得する

機械要素ごとの構造や種類、役割などの知識を、現場での実務を通して習得します。誤解されないように付け加えておくと、教科書や市販の専門書で自己研さんすることは、とても有益なことです。新人設計者だけでなく、現場の業務にマンネリを感じ始めた設計者にもお勧めです。しかし本で学んだ知識は、実習や実務を通じて使ってみることで理解が深まり、記憶に定着します。机の前だけではなく、現場で体と頭を使って学びを深めるプロセスが大切です。

2:実務を通して、失敗を経験する

実務では、予想外のトラブルや失敗が日々起こります。例えば、簡単な機器を使った実装設計でも、想定通りに機器が動かないことはあります。しかし、失敗とそれを乗り越える経験を何度も繰り返さないと、人は成長できません。失敗は、挑戦した証しでもあります。何度も挑戦し、何度も失敗しながら学びましょう。

3:実務を通して、感動を体験する

3つのうち、特に大切な体験が感動です。機械要素を学ぶ上で最大の感動は、苦労して設計・計画し、組み立てた機械が思い通りに作動することでしょう。人を最も成長させるのが感動だということは、他のスキルの取得にも共通しています(表1)。こうした感動を得ながら、機械要素を学んでいきましょう。

表1:各分野に精通するためのコツ
各分野分野別の要素上達のコツ感動
英語英単語英単語を英文や英会話の中で学習する。
そして、失敗しながら学ぶ。
外国人とコミュニケーションがとれる感動を味わう。
車の運転交通法規、運転方法、車の構造などの知識法規や運転、構造を、練習コースや公道で、実際に車を運転しながら学ぶ。
そして、失敗しながら学ぶ。
大きな車を自由に操る感動を味わう。
料理材料・加工食品の段取り、調理法、盛り付けなどの知識実習で、実際に料理を作りながら学ぶ。
そして、失敗しながら学ぶ。
実際に食して、味わうこと、他人に美味しいといわれる感動を味わう。
機械要素機械要素ごとの構造、種類、役割などの知識簡単な機器を選択し、実装設計しながら機械要素を学ぶ。
そして、失敗しながら学ぶ。
計画通り、意思通りに、機械が動作する感動を味わう。

3. ねじとばねを学ぶ必要性

機械要素には、ねじ、ばね、軸、軸受、ベルト、チェーン、カム、リンク機構など、多くの種類があります。実務でよく使われる機械要素は何でしょうか? それは、ねじとばねです。国内外の軽工業(家電やOA機器、精密機器など)の企業では、使用する機械要素の3割以上がねじ、ばねなのです(図2)。

図2:機械要素の使用頻度ランキング

図2:機械要素の使用頻度ランキング(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.23)

本連載ではねじの基礎知識、その後ばねの基礎知識を解説します。英会話も使用頻度の高い単語から優先的に学習するように、使用頻度の高いねじとばねについて学ぶことで、実際の現場ですぐに活用できる知識が身に付きます。

いかがでしたか? 今回は、設計者や技術者が現場で生かせる知識を学ぶためのコツを紹介しました。次回はねじの種類と、その選択方法を解説します。お楽しみに!

 

第2回:ねじの種類と素材

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日本には驚くほど、多種多様なねじが流通しています。そのため、適切なねじの選択は容易ではなく、トラブルの要因ともなっています。トラブルを防ぐためにも、まずは主要なねじ6種の特徴や、素材に関する基礎知識を学びましょう。

1. ねじの種類と特徴

ねじの種類はとても多く、設計や使用目的に適合するねじの選択に、迷うことがあるのではないでしょうか。まずは代表的な6種類のねじを学び、用途に応じて正しく使い分けられるようになりましょう。

・タッピン

タッピンとは、ねじ先がテーパー加工されており、めねじ(雌ねじ)がない下穴に直接ねじ込むことで、相手部材にねじ立て(ねじ穴加工)をしながら締結するねじの総称です。ねじ立て方法は、切削加工タイプと塑性変形タイプがあります。ねじのピッチ(ねじ山間の寸法)には小ねじと互換性のあるものと、それよりも荒いピッチのものがあります。筆者は17種のタッピンねじの存在を確認しています。

タッピンねじのうち、塑性変形タイプのものをフォーミングねじ(図1)と呼びます。メリットは、切粉(きりこ、切りくず)が発生しづらい点です。ねじ先の面がおむすび形状(三角形)のものがあり、長所は保持力が強い、ねじ込みトルクが小さいなどです。

図1:フォーミングねじ

図1:フォーミングねじ

・小ねじ

小ねじ(図2)は、頭にマイナスやプラス形状の溝があり、ねじ先は平たい構造です。ホームセンターでも販売されている一般的なねじです。めねじを併用したり、相手部材にあらかじめねじ立てをする必要があります。素材として、ステンレス、炭素鋼、アルミ合金、銅合金、チタン合金、樹脂などが使用されています。

図2:小ねじ

図2:小ねじ

・セムス

セムスとは、ワッシャ(座金)とセットになっているねじのことです。組立作業の工数削減・効率向上に寄与します。セット例は、ねじ・平ワッシャ、ねじ・ばねワッシャ、ねじ・平ワッシャ・ばねワッシャ(図3)などです。

図3:セムス(ねじ・平ワッシャ・ばねワッシャ)

図3:セムス(ねじ・平ワッシャ・ばねワッシャ)

・六角ボルト

六角ボルト(図4)とは頭が正六角形になっているねじのことです。ホームセンターでも販売されている一般的なねじです。素材として、ステンレス、炭素鋼、アルミ合金、銅合金、チタン合金、樹脂などが使用されています。

図4:六角ボルト

図4:六角ボルト

・トリプルスクリュー

トリプルスクリュー(TPねじ:Triple Screw 図5)は、ビス・平ワッシャ・ばねワッシャを一体化したねじのことで、コスト面のメリットもあります。頭部に皿ばねワッシャ形状の大きな座面を有していて、緩み止め機能を備えています。タッピントリプルスクリューのように、複数の特徴を組み合わせたねじもあるため、選択時には注意が必要です。

図5:トリプルスクリュー

図5:トリプルスクリュー

・止めねじ

止めねじ(図6)とは、ねじ先を押し当てて部材などを固定するねじのことです。例えば、ハウジング(機械装置などを保護する目的の箱)の中にシャフトを挿入する場合、ハウジング側から止めねじを挿入して固定します。ねじ先の形状は、平面・山形・半球状などがあり、素材はステンレス、炭素鋼、アルミ合金、銅合金、チタン合金、樹脂などがあります。

図6:止めねじ

図6:止めねじ

2. ねじの材質

ねじを選択する際、ねじの材質も重要なポイントです。今回は、使用頻度の高いステンレスと鉄に絞って説明します。ともに、電気自動車を含む電気・電子業界では、使用ランキングの上位を占めています。

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3. ねじの選択方法

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第3回:ねじの加工方法

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前回は、ねじの種類と素材について解説しました。3回目となる今回は、ねじの加工方法を学びます。技術者がねじの特徴を把握し、使いこなすには、ねじがどのように作られているのかを、ある程度知っておく必要があります。

1. ねじの加工に用いられる金属加工の分類

図1を見てみましょう。ねじの加工方法は、機械加工の中の金属加工に分類されます。そのうち、機械加工時に切粉(きりこ、切りくず)が発生しない塑性加工と、金属の切削を行う切削加工の2つに大別できます。ねじの加工では、塑性加工の鍛造加工(ヘッダー加工)と転造加工、切削加工では旋盤加工を用います。

図1:ねじ加工に使用される金属加工の種類

図1:ねじ加工に使用される金属加工の種類

ここで、ねじ加工の歴史を振り返ってみましょう。その昔、ねじやシャフトは、旋盤による切削加工が基本でした。19世紀前半、大量生産の時代となり、低コスト化の要求と技術進歩により、切削加工を不要とする塑性加工で容易に製造できるようになりました。

塑性とは、ある物質に力を加えて変形させたとき、その力を解放しても、元の形状に戻らず半永久的に変形したままの状態を保つ、物質(本稿では、ねじ用の金属材料)の特性のことです。塑性加工は、物質の塑性を利用し、部材に型を押し付けて目的の形状に変形させる工法です。

2. 塑性加工によるねじの加工方法

ねじの塑性加工について、具体的な工程を見てみましょう。塑性加工の一つである鍛造加工は、熱間鍛造・温間鍛造・冷間鍛造の3つに分類できます。冷間鍛造の代表例が、ヘッダー加工(冷間圧造加工)です。汎用のねじは、ヘッダー加工でねじの頭部と軸部分を作った後、転造加工でねじ山加工を施して完成します。開発現場や設計職人であれば、ヘッダー加工と転造加工の知識は、最低限押さえておきましょう。

・ヘッダー加工

ヘッダー加工とは、常温で材料に圧力をかけ、成型する加工のことです。ヘッダー加工で作られる代表的な部品が、図2に示すスタッド(Stud)やシャフト(Shaft)と呼ばれる軸系部品です。

図2:スタッド、シャフトと呼ばれる軸系部品

図2:スタッド、シャフトと呼ばれる軸系部品(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.39)

ヘッダー加工によって、ねじの頭部と軸部分ができるまでを、5ステップで説明します。

1:原料である鉄鋼石(図3の左)から、ヘッダー加工用の鋼材(図3の右)を製造します。これは鉄鋼メーカー製造の規格材料です。図3の右にあるように、巨大なロールに巻き取られたコイル形状が一般的ですが、直線の棒状のものもあります。

図3:鉄鉱石から鋼材へ

図3:鉄鉱石から鋼材へ(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.41)

2:ヘッダー加工の工場で、図3右の鋼材を適切な長さに切断します(図4)。実際には、長い状態のままヘッダー加工機にセットする場合が多く、加工機の中で切断されます。

図4:鋼材を切断

図4:鋼材を切断(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.41)

3:切断した鋼材をダイス(金属の塑性加工に使用される型)に挿入します(図5)。

図5:材料をダイスに挿入

図5:材料をダイスに挿入(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.41)

4:ねじ頭を形成するため、ダイスに挿入した材料の頭部を、第1パンチで円すい台形に絞ります(図6)。

図6:1段打ち

図6:1段打ち(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.41)

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3. 切削加工によるねじの加工方法

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第4回:ねじトラブルの原因と対策

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前回は、ねじの種類と素材について学びました。第4回では、ねじのトラブルの中でも頻度の高いねじ山のつぶれに焦点を当て、その原因と対策を解説します。

1. ねじトラブルのランキング

完成品に発熱、発火、動作不良などのトラブルが起きた場合、どの企業も真剣に、原因解明や根本的な再発防止に取り組むはずです。しかし、ねじの緩みや破断の場合、品質不良は軽視され、本格的な原因究明や対策が取られることは少ないのではないでしょうか。ねじは、ほとんどの機械や製品に何本も使用されていることを忘れてはいけません。このねじのトラブルを解消することは、製品に関する多くのトラブルの防止につながるのです。真剣に取り組むべき問題だと認識しましょう。

図1に、当事務所のクライアント企業の協力を得て、ねじのトラブル件数ランキングをまとめました。

図1:ねじトラブルの件数ランキング

図1:ねじトラブルの件数ランキング(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.47)

ランキングには、ねじ山のつぶれ、ねじ軸の破断、さび、斜め締付、着座不良・緩み、頭部溝のつぶれ、導通不良、切粉の発生、外れないという9種のトラブルが挙がっています。これらは、企業規模や業種に関わらず、多くの製造業で共通の技術課題です。ランキング1位のねじ山のつぶれは、おねじ・めねじのどちらか、もしくは両方のねじ山が破損して固定できなくなった状態のことです。ねじばかとも呼ばれます。

2. ねじトラブルの原因

ねじトラブルの原因を分析し、表1にまとめました。注目すべきは、1つのトラブルに複数の原因があることです。複数の原因を正確に把握し、正しい解決策を導くことが技術者の役割です。

表1:ねじトラブルの原因分析(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.48)
トラブルの内容原因の分類
ねじの
種別選択・
下穴設計の
ミス
ドライバの
選択ミス
ねじの材料
選択のミス
締付
トルク不良
安全率不足
計算ミス
電気知識の
不足
ねじ山のつぶれ   
ねじ軸の破断    
さび     
斜め締付    
着座不良・緩み    
頭部溝のつぶれ    
導通不良    
切粉の発生     
外れない    

3. ねじの種別選択ミスと下穴設計ミス

表1で分類したねじトラブルの原因を、発生件数中の割合で示したものが、図2です。トラブルの原因となる頻度が最も高い、ねじの種別選択・下穴設計ミスについて詳しく見ていきましょう。

図2:ねじトラブルの原因の円グラフ

図2:ねじトラブルの原因の円グラフ(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.49)

1:ねじの種別選択ミス

ねじトラブル最大の原因は、ねじの種別選択ミスです。ねじの種類が多すぎて、使用目的に合ったねじの選択が難しいため、誤りが生じます。種別選択を誤ると、ねじ山のつぶれ、斜め締付、着座不良・緩み、切粉の発生が生じます。ねじの種類が多くなっている主な要因を、4項目にまとめました。これら4項目を念頭にねじ選択を行えば、選択ミスは抑えられるはずです。注意しましょう。

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4. ねじトラブルの対策

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第5回:ねじ材料の選択と評価

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前回は、ねじの加工方法を取り上げました。今回は、ねじの材料選択と評価について解説します。ねじの種類と同様に、材料も用途や使用条件に合致した選択が求められます。材料選択の大切な指標である安全率も解説します。

1. ねじ材料の評価項目

ねじの材料を選択するには、どのような物性値やパラメータを評価すればいいのでしょうか。材料の評価に不可欠なQCDの観点を踏まえ、評価項目を13個にまとめました。

1:比重
2:縦弾性係数
3:横弾性係数
4:線膨張係数
5:ポアソン比
6:熱伝導率
7:比電気抵抗と%IACS(焼鈍標準軟銅の導電率を100%IACSとしたときの導電率)
8:標準材料サイズ
9:引張強さ
10:降伏点・疲れ強さ・0.2%耐力・ばね限界値
11:特徴・用途
12:コスト係数
13:入手性

これらの項目を熟知することで、技術者の目利き力が鍛えられ、限られた条件の中で最高の材料を選択できるようになります。切削用材料、板金材料、樹脂材料などは、使用頻度が高く、目利き力を鍛えておきたい材料です。例えば、強度を上げるには、縦弾性係数、横弾性係数、引張強さ、降伏点・疲れ強さ・0.2%耐力・ばね限界値のいずれかの数値を上げる必要があります。強度の高いねじが必要であれば、弾性係数や引張強さの数値が高い材料を選べば良いと分かります。

ねじの材料としてよく用いられるのは、ステンレス系材料と鉄系材料です。これらの物性値は、第2回にまとめているので、確認してみてください。ねじの材料選定では、強度評価は必須です。強度に影響する縦弾性係数、横弾性係数、引張強さ、降伏点を意識して数字を確認することで、実務に役立つ目利き力が鍛えられます。

2. 安全率の考え方

技術者であれば、安全率という用語を一度は聞いたことがあるでしょう。設計審査で必ず確認される設計要因です。しかし、詳しく教わる機会が少ないため、きちんと理解できている人は多くありません。以下に、安全率の考え方をまとめました。

1:安全率とは

安全率とは、部材が壊れて機能喪失する最小の負荷と、使用中に起きると予測される最大負荷との比です。例えば、10MPaで壊れる部材に最大で2MPaの応力がかかると予測される場合、安全率は5です。公共の建築物や航空機などの安全率は、省庁の法令で定められていたり、専門書で公表されていたりします。

航空機(主に機体):1.1~1.5
人用昇降機(エレベータ):10
鉄骨構造体:2.5~3.0
クレーン:8~10
自動車用エンジンのクランクシャフト:40

部材を選定する際には、どの程度の安全率かを必要に応じて定めます。注意すべきは、安全率の設定において、特別な理論や理屈、原理原則がないことです。大半の安全率は、設計者や企業が経験を基に設定し、その値を下回らないように管理しています。そのため、製品や部材に求められる品質に合わせ、安全率は変化します。例えば航空機では、機体、窓ガラス、エンジン、タイヤなどの安全率は、技術の発展とともに低くなっています。

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第6回:ねじの接地対策と締付トルク・軸力

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前回はねじ材料の選択と評価について取り上げました。最終回の今回は、ねじの接地対策と締付トルク・軸力について学びましょう。

1. ねじの接地対策

近年、ねじに関する電気・電子や静電気、そして、接地のトラブルが増加しています。接地不良によって起こった生産トラブルを例に、接地不良を防ぐための対策を紹介します。

1:接地とは

接地とは、電線や導電性の板金などを用いて、機器のフレームと大地を電気的に接続することです。接地は、アースやグランドとも呼ばれます。図1は、テレビゲーム機の内部構造の写真です。テレビゲーム機もコンピュータなので、金属製の板バネを用いて接地されていることが分かります。

図1:テレビゲーム機内部の接地用板ばね部品

図1:テレビゲーム機内部の接地用板ばね部品(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.115)

接地の目的は3つあります。電気機器からの電磁波漏えいの防止、他の電気機器からの電磁波による誤動作の防止、作業者の感電防止です。メーカーの基本姿勢として、大型のコンピュータや周辺機器は接地を確実に取ることが求められます。

装置から発生する電磁波の目安として、一般財団法人VCCI協会(コンピュータなどの情報機器から発生する電磁妨害波の自主規制を行う団体)が定めた規格があります。機器自体が放射する電磁波を一定以下のレベルに抑えることで、規格を取得できます。商業地域で使用する装置にはクラスA、家庭環境・住宅環境で使用する装置にはクラスBが適用されます。

2:接地不良の事例

ある食品会社の自動化生産ラインで生じた接地不良の事例を紹介します。その食品会社は土産用のお菓子類の製造・販売会社で、生産ラインにはマイクロプロセッサ・DRAM・HDDなど、静電気で破損しやすい機器が多く用いられています。ある時、材料押出用のステッピングモータが暴走するトラブルが発生しました。調査の結果、図2に示す低電圧電源装置が原因と判明しました。電源装置に内蔵されている低電圧電源回路の接地が不十分だったため、ステッピングモータの制御回路の動作が不安定となって暴走していたのです。

図2:低電圧電源装置

図2:低電圧電源装置(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.117)

さらに調査を進めると、低電圧電源装置のシールドボックスのフレームグランド(FG:装置のフレームを電子回路の電位基準点に設定し、フレームと電気的に接続すること)が不十分で、電源装置の回路の電位が不安定な状態であることが判明しました。私たちが生活で使用する電子機器は、今後も増えるでしょう。その電源や電子回路のシールドボックスは、十分な導通性を確認することが求められます。

今回の事例では、低電圧電源装置をきちんと接地できていれば、ステッピングモータの暴走を防げました。主な接地対策の考え方は、導通固定箇所のピッチ寸法の最適化と、板バネを極力使用しないことです。

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2. ねじの締付トルクと軸力

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