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免震のメリットと展望:免震の基礎知識6

免震の基礎知識

更新日:2018年1月25日(初回投稿)
著者:福岡大学 建築学部 教授 高山 峯夫

前回は、免震建物の効果を現地調査の結果を用いながら示しました。最終回である今回は、免震構造のメリットを確認し、今後の課題・展望について解説します。

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1. 免震構造のメリット

本連載では、免震構造によるメリットとして、地震動による揺れが抑えられることを説明してきました。図1に示すように、揺れの低減以外にも免震構造のメリットはあります。それぞれを詳しく見ていきましょう。

図1:免震構造のメリット

図1:免震構造のメリット

1:エネルギーの授受が単純である

免震建築では、建物への入力エネルギーは免震部材(アイソレータとダンパー)により全て吸収されます。そのため、エネルギーの授受が単純で不確定要素が少なく、免震部材の性能が分かれば、地震時の建築物応答を求めることができるのです。                 

2:鉛直支持部材(アイソレータ)とエネルギー吸収部材(ダンパー)が明確に分離している

アイソレータは上部構造を支え、地震のエネルギーを伝えないようにする部材であり、積層ゴムアイソレータが用いられます。ダンパーは地震エネルギーを吸収して震動を抑える部材で、オイルダンパーや、鋼材・鉛材の弾塑性変形を利用します。アイソレータとダンパーは別々の役割を担っており、それぞれの性能を個別に計測することができます。そのため、免震建物の免震性能を容易に計算でき、地震時の挙動を推察することができます。

3:上部構造を無損傷にとどめ、設備機器の損傷も回避できる

地震のエネルギーによる変形は免震部材に集中し、免震部材より上の構造物はゆっくりと水平方向に動くことで、建物への被害を抑えます。建物内部の日常家具・機器類・二次部材の転倒や損傷を防ぎ、住人へ大きな安心感をもたらします。

4:免震層は柔要素(アイソレータ)と剛要素(ダンパー)との混合構造である

柔要素と剛要素を組み合わせることで、エネルギー吸収効率が良い構造体にできます。その結果、建築物に残留塑性変形が残らず、部材の損傷を抑え、地震後も継続して建築物を使用することができます。

5:建築コストが安くなる

免震構造では、骨組みを少なくすることで、構造骨組全体で数パーセントのコスト削減を見込めます。また、設備機器などへの二次被害も防ぐことで、総コストを抑えられます。

参考:秋山宏、エネルギーの釣合に基づく建築物の耐震設計、技法堂出版、1999年

2. 免震技術の課題と展望

日本の地震対策の大きな課題は長周期地震動です。長周期地震動時の免震建築物の応答は、これまでも検討されてきました。地震の強さによっては、エネルギー吸収能力や水平クリアランスを超えるケースがあるようです。今後は、総入力エネルギー量と最大応答値の両面から検討を進め、免震部材の繰り返し変形後の特性変化や、地震動評価のばらつきを考慮した設計法の構築などが必要になります。

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