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n型半導体とp型半導体:半導体の基礎知識2

半導体の基礎知識

更新日:2020年10月29日(初回投稿)
著者:長岡技術科学大学 名誉教授  産学官連携研究員 内富 直隆

前回は、金属と半導体の違いについて説明しました。そのとき、半導体のフェルミ準位が禁制帯の真ん中にあることを図示しました。このような半導体は、真性半導体と呼ばれます。今回は、真性半導体に何か不純物原子を導入するとどのように電気伝導が変化するか、さらに、半導体デバイスの基本的な構造がpn接合であることを解説します。

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1. n型半導体と電子伝導

n型半導体は高純度の半導体(主にSi)に、不純物としてリンやヒ素などを加えて作られている電子が主役の半導体です。IV族半導体のシリコンSiは、四面体構造に位置したSiがお互いに電子を出して共有結合し、単結晶構造になっています。整然と並んだSi結晶に、V族元素であるヒ素Asを導入します(図1)。これをドーピング、あるいは不純物ドーピングと呼んでいます。

図1:n型半導体(Si半導体にヒ素Asをドーピングした場合の電子の発生の様子)

図1:n型半導体(Si半導体にヒ素Asをドーピングした場合の電子の発生の様子)

As原子は、V族(5価)に属し、4価のSiに比べて1つ電子を余分に持っています。このため、Si原子を置換したAs原子の周りを、クーロン相互作用で電子がぐるぐると回るようになります。この状態は、水素原子の原子核の周りを回っている電子に似ています。この電子が束縛から離れると(イオン化すると)、結晶の中を自由に動くことができるようになり、これを自由電子と呼んでいます。このようなイメージを持って、半導体のバンド構造を見てみます。

V族のAsやリンPをドーピングすると、これらの原子のエネルギー準位はバンドギャップの中に形成されます。そのエネルギーは、図2に示すように、伝導帯の近くに形成されることが分かっています。これを、ドナー準位と呼びます。ここに収容された余分な電子は、熱エネルギーをもらうと伝導帯に励起され、自由電子になって結晶中を動き回ることができるようになります。このような電子が主役の半導体を、負(negative)の電荷を持つ多数キャリアが存在するという意味で、n型半導体と呼んでいます。キャリアとは、電荷を運ぶ自由な粒子を指し、特に電気伝導体における電流を担う電子やイオンなどの粒子を指します。

図2:真性半導体とn型半導体

図2:真性半導体とn型半導体(EDは電子を供給するドナー準位)

一方、III族とV族からなるガリウムヒ素GaAsの場合はどうでしょうか。Ga原子の位置を、IV族のSiで置換してみます。GaとAsの共有結合から見ると、Siは1つ電子を余分に持っています。従って、GaAsにSiをドーピングするとバンドギャップの伝導帯に近いところにドナー準位を作り、GaAsは伝導帯に電子を供給するn型半導体になります。このとき、バンドギャップの中央にあったフェルミ準位は、伝導帯の近くまで移動します。これは、フェルミ準位の位置が、ドナー不純物のドーピング量に依存しているためです。ドーピング量をさらに増やしていくと、フェルミ準位は伝導帯の中にまで入り、半導体でありながら金属的な性質を示すようになります。フェルミ準位とは、絶対零度において、電子をエネルギーの低い状態から順番に詰めていき、電子が満ちる最大エネルギー値になる準位をいいます。

通常、どれぐらいの量の不純物がドーピングされるのでしょうか。SiやGaAs結晶(第1回図3を参照)から見積もると、単位胞に原子が8個あるので、1cm3中におよそ1022個の原子が含まれることになります。従って、トランジスタの作製では、10万分の1%レベルでドーピングを制御するために、超高純度な半導体結晶が必要です。

2. p型半導体とホール伝導

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3. pn接合はダイオード

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