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フォトニクスを支える光デバイス:半導体の基礎知識4

半導体の基礎知識

更新日:2020年12月24日(初回投稿)
著者:長岡技術科学大学 名誉教授  産学官連携研究員 内富 直隆

前回は、トランジスタについて解説しました。今回は、半導体の光デバイスへの応用を説明します。交通分野では、信号機用の光源として三色の発光ダイオードが使われています。太陽の逆光時の視認性も従来の白熱電球と比較して大きく改善され、光源の寿命も格段に延びました。また、照明分野では水銀を使った蛍光灯が、白色発光ダイオードに置き換えられています。さらに、インターネット光通信システムの光源には、光波長1.55μmの半導体レーザが使われています。これらの社会インフラを支える光半導体デバイスの実現には、日本の研究者が深くかかわっています。

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1. 発光ダイオード

発光ダイオードはLED(Light Emitting Diode)と呼ばれる半導体です。半導体の重要な性質の1つとして、光の吸収や放出があります。しかし、全ての半導体が光るわけではありません。例えば、シリコンSiは発光しにくい半導体の代表例です。前回示した半導体のバンド構造を詳しく見ていくと、直接遷移型半導体と間接遷移型半導体に分類されます(図1)。半導体中の電子は、波の性質を示す波数k(波長の逆数)とエネルギーEによって区別されます。横軸を電子の波数k、縦軸を電子のエネルギーEとしたバンド構造を示します。

図1:直接遷移型半導体と間接遷移型半導体

図1:直接遷移型半導体と間接遷移型半導体

直接遷移型半導体は、価電子帯の上端と伝導帯の底が同じ波数の位置にあります。伝導帯の底の電子は、価電子帯の上端のホールと運動量(=波数Xプランク定数)のやり取りなく再結合することができ、バンドギャップに相当する光(フォトン)を放出することができます。発光ダイオードに用いられる半導体は、直接遷移型半導体になります。

間接遷移型半導体では、価電子帯の上端と伝導帯の底が異なる波数位置にあるため、励起された電子はフォノン吸収を介して伝導帯の底に遷移することになります。そのため、直接再結合をする確率が低くなることで、発光が非常に弱くなります。

半導体は、バンドギャップの大きさによって赤外領域から紫外領域までさまざまな光を吸収し、電子がホールと再結合することで発光します。発光ダイオードは、p型半導体とn型半導体を組み合わせたpn接合の構造で作られています。順方向に電圧をかけたpn接合では、負電極から電子が伝導帯に注入され、正電極からホールが価電子帯に注入されます。電子とホールはpn接合部分の禁制帯領域で再結合し、バンドギャップに相当するエネルギーの波長で発光します。不純物準位が関与する発光として間接遷移型のリン化ガリウムGaPがあり、窒素Nをドーピングすることで発光するようになります。これは、等電子トラップによる発光として準直接遷移型に分類されています。

発光色は、半導体材料により変化します。

図2は、可視光の発光ダイオードに用いられている化合物半導体と発光波長の関係を示したものです。

図2:主に可視光領域の光半導体に使われる化合物半導体と波長の関係

図2:主に可視光領域の光半導体に使われる化合物半導体と波長の関係

赤色の発光ダイオードは、ガリウムヒ素リンGaAsPのpn接合構造で、アメリカの電気工学者・材料化学者であるニック・ホロニアックによって1962年に発明されました。ホロニアックは、発光ダイオードはエジソンが発明した白熱電球を置き換えるだろうと予言しています。実現が非常に困難だと考えられていた青色発光ダイオードは、窒化ガリウムGaNを用いることによって、紫外域から緑色にわたる短波長領域の光源として実用化されました。日本の半導体工学者である、赤﨑勇、天野浩、中村修二の3名は、この功績で2014年にノーベル物理学賞を受賞しています。

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2. 半導体レーザ

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3. フォトダイオード

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