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社会を支えるさまざまな半導体の応用:半導体の基礎知識6

半導体の基礎知識

更新日:2021年4月9日(初回投稿)
著者:長岡技術科学大学 名誉教授 産学官連携研究員 内富 直隆

前回、半導体集積回路の基礎を解説しました。近年では脱炭素社会に向けた再生可能エネルギーとして、太陽光を利用した発電(光電変換)や、廃熱を利用した発電(熱電変換)がますます重要になっています。あわせて、効率的な節電を実現するネガワットに向けたパワーエレクトロニクスも日々進化しています。最終回となる今回は、こうした社会インフラを支えるさまざまなデバイスへの、半導体の応用について紹介します。

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1. 光を電気に変える太陽光発電デバイスへの応用

太陽光発電とは、シリコン(Si)半導体などに光が当たると電気が発生する現象を利用し、太陽の光エネルギーを太陽電池(半導体素子)により直接電気に変換する発電方法です。シリコン太陽電池は、1954年にアメリカのベル研究所のダリル・シャピン、カルビン・フーラー、ゲラルド・ピアソンの3名により発明され、エネルギー変換効率が6%の太陽電池として試作されました。太陽電池は、乾電池や蓄電池と異なり、電気を蓄積する機能を持たないため、それまでは光起電力電池と呼ばれていました。しかし、後に実用的なデバイスとして太陽電池(Solar Cell)と表現されるようになりました。現在、Si太陽電池の最高効率は24%を達成しています。

太陽電池の基本構造は、第2回で解説したpn接合です。Si太陽電池に太陽光が照射されると、Siのバンドギャップ以上のフォトンが吸収され、Si内部に電子とホール(正孔)が多量に生成されます。そして、電子がn型側に、ホールがp型側に流れることにより、光電流が発生します。太陽電池の2端子間に負荷抵抗を接続すれば、両端に電圧が発生することになります。太陽電池はダイオードなので、光を照射しない暗状態では、通常のダイオードの電流―電圧(I-V)特性を示します(図1)。ここに光を照射すると、光による生成電流が逆方向に流れます。

図1:太陽電池の電流―電圧特性

図1:太陽電池の電流―電圧特性

この図では、ダイオードに流れる順電流方向と光電流の向きを逆にとっています。光を照射しているときに、短絡状態で流れる電流を短絡電流(Isc)、開放状態で発生する電圧を開放電圧(Voc)と呼びます。エネルギーの変換効率は、これらの積(Isc・Voc)に曲線因子(FF)を掛けた数値と、入射エネルギーの比で表されます。単結晶シリコン太陽電池の最も理想的な変換効率は、32.9%と計算されています。

太陽電池の効率を向上させるためには、太陽光のスペクトルに合わせて吸収係数が大きく、光励起された電子―正孔対が半導体中で失われることなく外部に引き出されることが必要です。このような高効率を達成するために、太陽電池に用いる半導体にはSi系の他に、化合物系のものがあります。化合物系には、III-V族半導体のガリウムヒ素(GaAs)やII-VI族のテルル化カドミウム(CdTe)、I-III-VI族カルコパイライト半導体のCIS:CuInSe2などがあります(図2)。

図2:代表的な太陽電池の種類

図2:代表的な太陽電池の種類

図3は、太陽光スペクトルと、代表的な太陽電池に用いる半導体材料の吸収スペクトルを示しています。

図3:太陽光スペクトル(AM1.5)と太陽電池用半導体の吸収係数

図3:太陽光スペクトル(AM1.5)と太陽電池用半導体の吸収係数

太陽光発電は、発電機を必要とする風力発電や水力発電に対して、光から直接発電できることが魅力です。再生可能エネルギーの需要が高まっている中、高効率で安価な太陽光発電半導体の開発と普及はますます重要視されています。

2. 熱を電気に変える熱電変換デバイスへの応用

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

3. 大電力トランジスタへの応用

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