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焼結とは:焼結の基礎知識1

焼結の基礎知識

更新日:2019年1月22日(初回投稿)
著者:長岡技術科学大学 大学院 機械創造工学専攻 教授 南口 誠

焼結とは、金属やセラミックスの粉末を、金型などで所定の形状に成形し、融点よりも低い温度まで加熱して焼き固める技術です。鋳造やプレス成形とは異なり、高温の工程で型と接触しないので、高融点材料や反応しやすい材料にも用いられます。 本連載では7回にわたり焼結の基礎知識を解説します。初回となる今回は、焼結の特徴や用途を取り上げます。

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1. 焼結とは?

焼結は、加熱すると原料粒子同士が接合し、粒子間の隙間が小さくなると同時に、全体が縮小される現象です。セラミックスの製造や粉末冶金などで広く利用され、安定して生産されています。一般的な焼結工程は、混合・粉砕、成形、脱脂、焼結、機械加工・研磨、検査の6つです(図1)。

図1:一般的な焼結工程

図1:一般的な焼結工程

・混合・粉砕

まず、材料となる粉末を必要に応じて混ぜたり、細かく粉砕したりします。合金を作る場合には、所望の組成になるように複数の物質を混ぜます。焼結させることが難しい材料は、焼結性を上げるために材料特性に影響が出ない範囲で、不純物を加えることもあります。その混ぜ物は、焼結助剤と呼ばれています。

・成形

粉末の成形を容易にするために、ワックスなどの有機物(成形助剤)を加えることもあります。粉末の粒の大きさが小さい場合、粉末の流動性が悪く、成形体内に密度むらが生じることがあります。そのため、粉末と成形助剤を混ぜて噴霧し、乾燥した顆粒(かりゅう)体を利用することもあります。その粉末を所定の形状に成形します。一般的には、金型に粉末を入れて加圧して押し固めます。この他、粉末、水などの液体と混ぜて型に入れて成形する方法もあります。粉末を型によって成形したものは、粉末成形体やグリーン体と呼ばれます。

・脱脂、焼結、機械加工・研磨、検査

成形の工程で粉末に有機物を加えた場合は、焼結の前に有機物を取り除く脱脂工程が必要になります。有機物を除去するため、約400℃までゆっくり温度を上げて試料を加熱します。その後、高温で加熱して焼結を行います。この際、アルミナやジルコニアといった酸化物セラミックスは、大気中で加熱することが多く、鉄鋼材料のような金属、窒化ケイ素などの非酸化物セラミックスは、酸化を抑えるために真空や不活性ガス中で焼結を行います。その後、焼結した材料を必要に応じて機械加工を施し、検査を行ってから機械部品などとして出荷されます。

2. 焼結の特徴

焼結は、どんなメリットやデメリットがあるでしょうか? 他の金属を成形する加工法である鍛造と鋳造とを比較してみましょう。図2は、代表的なセラミックスであるアルミナAl2O3の焼結プロセス(造粒粉末、成形体、焼結体)を示しています。アルミナ粉末を金型によって成形して、電気炉で焼結します。焼結により収縮して試料が小さくなっているのが分かります。大きな粉末成形体を焼結すると収縮量も大きくなり、製品が割れたり、変形したりしやすくなります。焼結はサイズが小さいものを多量生産することに向いています。

図2:アルミナの造粒粉末、成形体、焼結体

図2:アルミナの造粒粉末、成形体、焼結体

・焼結のメリット

焼結は、成形体を加熱して焼結させる際に型を用いないので、鋳造では作れない高融点を有する材料や、反応しやすい材料でも所定の形状の部品を作ることができます。また、鍛造のように型を押し付けて変形させないので、塑性変形しない材料にも適用できます。そのため、セラミックスや高融点金属の成形に焼結は広く利用されています。さらに、鋳造では密度の差によって分離してしまうようなセラミックスと金属の複合材料などでも、粉末同士を混ぜて焼結することで複合材料を作ることができます。粉末粒子同士がわずかに焼き付いたところで焼結を止めれば、多孔質体を作ることもできます。

・焼結のデメリット

焼結は材料を粉末にする必要があるため、材料によっては製造コストが高くなります。また、粉末を成形したものを焼き固める際に収縮するので、寸法精度が低いという欠点もあります。加えて、粉末粒子の間の空間が大きいと、材料内部に気孔(ポア)が残留し、緻密な部品を作るのは非常に難しくなります。用途によっては、気孔で応力集中が起き、機械的強度や疲労強度が低くなることもあります。

3. 焼結の用途

焼結は、高融点材料でも成形しやすいため、機械部品を作る際に取り入れられています。図3は、焼結によって作られた金属製品、セラミックス製品を示しています。

図3:焼結で作った機械部品や製品(左:金属系、右:セラミックス系)

図3:焼結で作った機械部品や製品(左:金属系、右:セラミックス系)

小型の鋼鉄製歯車なども、焼結によって作られています。大量生産することで生産コストが下げられるため、複雑な形状を有する機械部品で広く用いられています。タングステンやモリブデンなど、高融点金属で機械部品を作る際も焼結が効率的です。

焼結を使用した製品の例を挙げていきます。セラミックス製の製品では、研削砥石や切削工具、耐火物、セラミックス包丁、フェライト磁石などです。粉末ハイスの刃物は切れ味が長く続くことで知られています。セラミックス製の部品のほとんどは、焼結によって作られています。機械構造用部品も、セラミックスヒーターやセンサなどに使用される機能性セラミックスも、原料粉末から焼結によって作製されています。炭化タングステンWCをコバルトCoで焼き固めた超硬合金、セラミックスと金属の複合材料であるサーメットも、焼結によるものです。また、焼結は、複雑な形状の多孔質体も作ることができるため、フィルタや散気体などにも用いられています。焼結含油軸受は、多孔質金属を加工した上に潤滑剤を染み込ませた自己給油ができる軸受です。

いかがでしたか? 今回は、焼結の特徴や用途を説明しました。次回は、焼結に用いる金属材料の混合・粉砕、粉末の凝集について解説します。お楽しみに!

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