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マイクログリッドとVPP:スマートグリッドの基礎知識6

スマートグリッドの基礎知識

更新日:2020年8月21日(初回投稿)
著者:YSエネルギー・リサーチ 代表 山藤 泰

前回は、スマートメーターの機能を説明しました。1つの送配電系統に、太陽光発電、燃料電池、蓄電池、コージェネレーションなどの電源が設置された場合、全体の送配電系統の制御をする中央指令とは別に、独自の系統制御を行うシステムとして扱うことができます。これを、マイクログリッドと呼びます。それらの電源の容量が大きくなった場合、このマイクログリッドを小型の発電所と考え、発電量を制御するための指令を出すことができます。これが、VPP(Virtual Power Plant:仮想発電所)です。エネルギーの地産地消もここで実現できます。今回は、このマイクログリッドとVPPについて解説します。

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1. マイクログリッドとは

2011年3月11日の東日本大震災以降、近年では災害が多発しています。2018年9月6日、北海道胆振地域で起こった地震で震源地近くの発電所が停止したため、北海道全域が停電する事態になりました。さまざまな災害で共通して見られたのが、長時間の停電です。非常用発電設備を備えながら、燃料の補給ができずに停電した例もあります。そうした中、太陽光発電と蓄電池の組み合わせで自家消費分程度の電力を確保できた、あるいは、ガスの供給が止まらなかったために燃料電池による発電を継続できた、などの事例から注目を集めたのが、小規模分散型電源の有効性です。従来、系統に接続されていた分散型電源は、接続されている系統が停電すると、系統への逆流を防ぐために発電を停止するようになっていました。しかし、東日本大震災以降、停電によって系統との接続が切り離された後も、独立電源として発電する機能を搭載したものが増えています。

1つの地域に電力を供給する送電系統が1本のみの場合、その系統への電力供給が止まれば、その地域は停電してしまいます。しかし、この系統に分散電源(太陽光発電や風力発電、小水力発電、電気自動車を含めた蓄電池、燃料電池、コージェネレーションなど)が多く設置され、その発電量がその地域で消費される電力を賄える程度に大きくなったとします。その稼働状況をオンラインのデジタルデータ通信で把握し、系統の消費に対応した電力を円滑に供給できる制御システムを導入することで、これらの分散電源は、電力事業が運用する大規模な送配電系統と同等の機能を持つ、独立した小型の系統(グリッド)となります。これが、マイクログリッドです(図1)。

図1:マイクログリッドの模式図

図1:マイクログリッドの模式図

こうした制御システムは、事業としての運用が主流になるでしょう。マイクログリッド内の電力供給が不安定にならないよう、系統内にある、電力消費量の大きな空調機器や工場の電気設備の稼働を抑制・増強させる制御も可能です。電力事業の系統も1つの電源と見なされるので、独立したマイクログリッド内の分散電源で需要に十分対応できる場合には、電力事業からの電力を受け入れないという制御も行えます。電力事業の系統が停電し、かつマイクログリッド内の電源だけでは地域全体の電力需要を賄えない状況もあり得ます。その場合、あらかじめ設定された制御手順によって、病院や公共施設、人工呼吸器を使用する人のいる家庭などへの電力供給を継続しつつ、一部を短時間だけ停電させて需給バランスを維持する、といった運用も可能です。これによって、地域の全面的な停電を招くよりも、社会的損失は少なく済みます。もちろん、これは地域住民の合意が前提になるでしょう。

アメリカのペンシルバニア州にあるハーツフィールド・ジャクソン国際空港が、必要な電力を自給自足できるマイクログリッドになると報じられています。2017年、この空港に電力を供給する変電所が火災を起こし、空港が11時間も停電して大混乱を招きました。このようなことが再び起こらないよう、太陽光発電、蓄電池を新たに設置し、自家発電設備を増強して、系統からの電力が止まっても空港の電力供給に支障をきたさないようにする計画です。アメリカの他の空港でも、マイクログリッド化が検討されているようです。その実現には、空港内の電力消費と発電量の均衡を保つための制御システムの導入が必要になります。例えば、送電線が届いていない途上国の地域で、太陽光発電と蓄電池、エンジン発電機などを組み合わせ、住戸につないだ配線で電力を制御しながら供給すれば、マイクログリッド化が実現します。こうした運用は、今後いっそう重要性が高まると考えられます。

これまでの送配電系統では、電気の流れは発電側から需要側へという一方向でした。対して、マイクログリッド内の系統では、流れる電気の方向は絶えず変わります。これも、マイクログリッドの大きな特徴です。

2. VPP(仮想発電所)とは

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

3. エネルギーの地産地消

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

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