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太陽光発電が求められる理由:太陽光発電の基礎知識1

太陽光発電の基礎知識

更新日:2019年9月25日(初回投稿)
著者:イー・エムケー・ワン協会 代表 小西 正暉

世界中が記録的な猛暑や豪雨など異常気象に見舞われ、深刻な問題となっています。なぜ、このような異常な天候が続くのでしょう。今回から6回にわたり、太陽光発電の基礎知識を解説します。今回は、まず宇宙船地球号が置かれた現状と、温暖化の危機を救う世界の動きを紹介し、これらに対する具体的な方策としての太陽光発電を解説します。

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1. IPCC第5次評価報告より

IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)は、気候変化の影響や緩和策に関し、技術面を含む多方面から評価する国際機関です。1988年に設立され、5~7年ごとに評価報告書を公表しています。2021年には、第6次報告書が公表予定です。ここでは、第5次報告書(2013年公表)の内容を紹介します。

・温暖化は明らかに起きており、「疑う余地がない」と断定

・調査結果によると、世界の平均気温の変化は1880~2012年間で0.85℃上昇(日本の場合1.15℃上昇)、海面水位は1901~2010年で19cm上昇、積雪面積は1967~2012年で10年当たり1.6%減少

・21世紀末には、平均気温は2.6~4.8℃上昇、海面水位は45~82cm上昇と予測

また、北極海の氷の量が減っているという報道が聞かれます。海面上昇に限れば、北極海の氷は水に浮かんでいるため溶けても問題ありません。しかし、隣のグリーランド大陸の氷が溶けると大変です。もし全て溶けた場合、7mの海面上昇になるとの試算があります。7mの海面上昇が起きると、大宮は東京湾に飲み込まれ、利根川は海峡となり、千葉は島になります。

2. 地球温暖化の原理

太陽から届くエネルギー(主に紫外線、可視光、赤外線などの光)は、地表で吸収され、熱に変わります。その熱は赤外線に変わって、地球の外に放射されます。ただし、大気中に存在する温室効果ガス(大半は二酸化炭素)や雲によって、一部が地表に戻されます(図1)。これまで地球の平均気温が14℃に保たれてきたのは、この温室効果ガスや雲に起因する効果で、もし温室効果ガスが存在しなければ-19℃になってしまいます。

図1:地球温暖化の原理

図1:地球温暖化の原理(引用:気象庁ウェブサイト、温室効果の模式図

大気中に存在する二酸化炭素の量は、長期間にわたり280ppmを保ってきたものの、石炭を大量に使い始めた産業革命以降、急激に増えています(図2)。さらに人類は、石炭に加え、石油や天然ガスを燃やし続け、現在では400ppmを超えています。

図2:大気中に含まれる二酸化炭素量の推移

図2:大気中に含まれる二酸化炭素量の推移(引用:IPCC第4次報告書、第1作業部会報告書概要、2007年5月22日、P.9

3. パリ協定

パリ協定は、地球温暖化対策の国際的枠組を決めた協定です。2015年にパリで開催された「気候変動に関する国際連合枠組条約第21回締約国会議(COP21)」で採択されました。このような国際条約は各国での批准が必要なため、通常は発効までに時間を要します。しかし、事の重大性が理解され、1年後の2016年11月に発効の運びとなりました。

条約の骨子は、世界の平均気温の上昇を産業革命前の2℃未満に抑えるだけではなく、1.5℃以下を目指すものです。現状では各国の目標値を積み上げても2.7℃であるため、5年ごとに目標をアップさせることになっています。目標をクリアするには、前項で述べた温室効果ガスの排出を抑えなければなりません。そのため、今後は石炭、石油、天然ガスといった化石燃料の使用を抑制する必要があります。

4. 期待される太陽光発電

地球温暖化への対応は温室効果ガス、とりわけ二酸化炭素の排出量を抑えることが鍵になります。一昔前は、化石燃料といえば枯渇が問題でした。しかし、今や使用を抑制することが求められるようになりました。石油は、化学製品の材料や、自動車・船・飛行機などの移動体燃料として利用されてきました。また、石炭・天然ガスの多くが発電用の燃料として利用されています。当然のこととして、化石燃料は燃やせば燃やすほど二酸化炭素を排出します。

そこで二酸化炭素を排出しない代替エネルギーが求められ、注目を浴びたのが再生可能エネルギーでした。再生可能エネルギーには、太陽光発電、風力発電、地熱発電、中小水力発電、バイオマス発電などがあります。中でも太陽光発電は、場所を選ばず、建設が容易ということから世界中に設置されるようになりました。当初は価格が高く、化石燃料による発電方式に及ばなかったものの、今では太陽光発電は、原子力発電を含む全ての発電方式の中で最廉価になりました(発電コストについては、第5回で詳しく解説します)。まだまだ開発途上ではあるものの、太陽電池で駆動する自動車や船、飛行機も、実用化に向け開発が進められています(太陽光発電の未来については、第6回で詳しく解説します)。

5. エネルギーペイバックタイム

いくら発電しても、製造段階や廃却するときに必要な投入エネルギー量が生涯発電エネルギー量より多くなっては、エネルギーを回収したとはいえません。投入したエネルギーを何年で取り戻せたかを表す年数を、エネルギーペイバックタイム(Energy Payback Time)と呼び、下記の計算式で求められます。

エネルギーペイバックタイム=(製造するために使われたエネルギー)/(1年間に産出されたエネルギー)

分子の、製造するために使われたエネルギーとは、太陽電池の製造段階、システムを構成する各種機器の製造段階、設置するときに使われる部材の製造段階、システムを設置および廃棄する段階で使われるエネルギーの合計です。また分母の、1年間に算出されたエネルギーには、運用のために使用されたエネルギーを差し引きます。

現状の太陽光発電によるエネルギーペイバックタイムは1~2年です(図3)。上式から明らかなように、製造方法の改善によって投入するエネルギー量が減れば、また太陽電池の性能が上がり生み出されるエネルギー量が増えれば、エネルギーペイバックタイムは改善されます。

図3:各種発電方式によるエネルギーペイバックタイム

図3:各種発電方式によるエネルギーペイバックタイム(引用:産業技術総合研究所太陽光発電研究センターウェブサイト

いかがでしたか? 今回は、地球温暖化を救う具体的な方策としての太陽光発電を紹介しました。次回は、太陽電池について説明します。お楽しみに!

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