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音とは?防音とは?:防音の基礎知識1

防音の基礎知識

更新日:2018年6月1日(初回投稿)
著者:日本板硝子環境アメニティ株式会社 開発技術部 課長(一般社団法人日本音響材料協会 音響基礎講習会 第1講 講師) 岡本 健久

防音の基礎知識では、音の基本的な解説から、吸音・遮音・防振材料、室内音場、音響測定方法などを全7回にわたって解説します。第1回となる今回は、音が聞こえる仕組みや、音の性質を決める音の3要素、防音の3つのタイプなどを学んでいきましょう。

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1. 音とは

私たちは、さまざまな音を耳で聞いています。音は、振動しているもの(音源、振動源)が、振動を伝えるもの(媒質:空気、水、金属など)を通じて、われわれの聴覚で認識されます。従って、振動するもの(音源、振動源)がない場合はもちろん、振動を伝えるもの(媒質)がない場合、音は聞こえません。例えば、振動を伝える空気がない真空では、音は伝わりません。

音の伝わり方は、縦波です。縦波とは、媒質が揺れる方向が、波の進行方向と同じ波です。音源が、周りにある空気を押します。押し出した空気は薄く(疎)なり、押された空気は濃く(密)なります。その圧力の変化が波となって伝わるのが、音波です(図1)。

図1:正弦音波

図1:正弦音波

2. 音の伝わり方

音の速度c(m/s)は、c=331.5+0.6tで表すことができます。音速cは、温度tによって変化します。この式より、音速は温度が低い時には遅く、温度が高い時には速くなることが分かります。なお、一般的に音速という場合、温度15℃の時の約340m/sを示しています。

また、空気中の音の伝わり方は、一様ではありません。伝わる距離が長いほど、音は小さくなります。空気の状態や音の周波数によっても変化します。周波数とは、音の高低を決める要素です。

空気による音の吸収には、3つの傾向があります。周波数が高い音(高音)ほど、空気による吸収が大きくなります。温度が高いほど吸収は大きく、湿度は高いほど吸収が小さくなります。ただし、霧や小雨はほとんど影響しません。このような特性から、低い周波数成分を持った音だけが遠くまで聞こえたり、夏と冬で聞こえてくる音が異なったりします。

地表から上空までの温度差によっても、音の伝わり方が異なります(図2)。地表の温度が上空より低い夜間、音は音源から地表へ降り注ぐように伝わります。一方、地表の温度が上空より高くなる昼間は、音は音源から上空に向かって広がり、Shadow Zone(音が伝わらないエリア)が生まれます。昼には聞こえなかった電車の音などが、夜になると聞こえる現象は、温度差によって音の伝搬が変化することで発生しています。なお、図2左のように、音源から音の伝わる方向が地面側に向かって伏せたドーム形になるものをCAP(帽子)型、図2右のように、上空に開いているものをCUP(茶わん)型と呼びます。

図2:地表から上空までの温度差による音の伝搬の違い

図2:地表から上空までの温度差による音の伝搬の違い(引用:日本音響材料協会編、スライド:音響対策初歩、2007年、P.2)

3. 音の基本現象

音の広がり方には、拡散、反射と屈折、回折という3つの特性があります。これらを詳しく解説します。

1:拡散

ある位置から発生した音は、周りの空気に振動を伝えながら広がっていく特性を持っています。また、音源の種類によって、音の広がり方が異なります。スピーカなどの点音源、道路交通騒音などの線音源、窓や壁全体が音源となる面音源の3つの場合を見てみましょう(図3)。点音源は、音が球状に広がるのに対し、線音源は、円筒状に広がります。面音源は、面の面積以上にはあまり広がらず、音が直進する特性があります。音源の種類によって、距離による音の減衰量も異なります。

図3:音源タイプによる音の拡散模式図

図3:音源タイプによる音の拡散模式図

2:反射と屈折

音には、光と同じように反射と屈折の現象があります(図4)。反射とは、音が地面や壁などの面に当たり、跳ね返る現象です。屈折とは、2つの媒質の境目で、音の進行方向が変化(屈折)することです。

図4:音の反射・屈折角

図4:音の反射・屈折角

図4にあるように、入射角をθ1、反射角をθ2とすると、音の反射は入射角θ1=反射角θ2と表すことができます。媒質中の音速(媒質1の音速:c1、媒質2の音速:ct)によって変化する音の屈折は、屈折角をθtとすると、sinθ1/ sinθt=c1/ctと表すことができます。

3:回折

回折とは、音の進行方向に壁などの障害物があった場合、音が障害物の後方に回り込んで伝わる現象をいいます(図5)。壁の後ろや物影にいて、音源が直接見えない場合でも音が聞こえるのは、この回折現象のためです。

図5:音の回折

図5:音の回折

4. 音の3要素

音の性質を決める最も基本的な要素を、音の3要素といいます。音の3要素とは、音の大きさ、音の高さ、音色(ねいろ)です。

1:音の大きさ

音のレベルを表す場合、音圧レベル(Lp)と騒音レベル(LA)という2つのレベルで表します。単位は、ともにdBです。音圧レベル(Lp)とは、音の大きさの物理的なレベルです。対して騒音レベル(LA)とは、人間が感じる音の大きさ(ラウドネス)を表したものです。2つの音のレベルは、何が違うのでしょうか?

人間が聞きとれる音の周波数(音の高低)範囲は、20~20,000Hzです。また、人間が感じる音の大きさは、音圧レベルだけでなく、周波数によって変わります。それを数値で示したのが、等ラウドネス曲線(図6)です。この曲線は、1kHz(図6の青線)を基準として、人間がその音と同じ大きさに聞こえる音圧レベルをプロットしています。つまり平均的な聴力の人間が、ある音圧レベル(Lp)、ある周波数の音を耳にした時、どの程度の大きさの音に聞こえるのかを示しています。物理的な音圧レベル・周波数の数値を、人が聞こえる音の大きさに置き換える際の目安として用いられます。なお曲線には、人間が感じる音の大きさを表す単位phoneが使われています。

図6:等ラウドネス曲線

図6:等ラウドネス曲線(引用:ISO 226:2003 Normal equal-loudness-level contours)

一例として、図6の40phoneの曲線(赤線)を見てください。周波数1kHzでは、音圧レベル40dBの音は、体感でも同じ大きさ(40phone)に聞こえます。しかし周波数31.5Hzの低音の場合、90dBに近い音圧レベルでないと、40phoneの大きさには聞こえません。音圧レベルの低い低音は、人間には聞き取りにくいことが分かります。

人間の聴感の特長は、2~4kHzの音の感度が良い(小さな音でも聞こえる)ことです。従って、家電製品のブザーなどの警告音に使われます。聴覚の感度が劣化しやすい帯域なので、聴覚検査にも使われます。そして低い周波数になればなるほど、大きな音圧レベルにならないと聞こえません。なお低音域では、等ラウドネス曲線が詰まっています。これは少しの音圧レベルの上昇で、人間が感じる音の大きさが大きく変わることを示しています。

音圧レベルと騒音レベルの話に戻りましょう。音の物理的な大きさを表す音圧レベルに、A特性の聴感補正を行った数値が、騒音レベルとなります。A特性とは、周波数の違いによる音の聞こえやすさ・聞こえにくさを考慮した重み付け特性のことで、等ラウドネス曲線の40phoneの曲線(図6の赤線)を基に、JIS規格で決められています。一般的に「音の大きさ」といった場合、音圧レベルではなく、人間の感覚に合わせた騒音レベルでの数値、すなわち人間の音の強さに関する聴感上の感覚量を指しています。一般的な聴力の人が聞くことのできる音圧レベルの範囲は、0~140dBです。表1に、代表的なレベルの音と、人間の感じ方の例を示します。

表1:騒音レベルと代表的な音
騒音レベル
(dB)
代表的な音人間の感じ方
140耳が壊れそう
130ジェット機の離陸音耳が痛くなる
120リベット打ち
110自動車の警笛叫び声(30cm)
100電車のガード下非常にやかましい
90地下鉄の車内怒鳴り声
80交通量の多い道路電話が聞こえない
70大声で会話
60TV、ラジオの音普通の会話
50一般的な事務室
40静かな事務室静か、夜は睡眠が妨げられる
30夜の郊外の住宅地非常に静か
20木の葉のそよぎささやき声

2:音の高さ

音の高さとは、音に高低の印象を与える属性です。音の高さは周波数と関係があり、周波数が高い音は高く、周波数が低い音は低く聞こえます。音の周波数の単位Hzは、1秒間に音の波の山谷(図1)が何回繰り返されるかを示しています。一般的な人間の聴覚では、20~20,000Hzまでの範囲を聞くことができます。しかし加齢に伴い高音や小さな音が聞こえにくくなったり、大きな音に継続的にさらされると聞こえが悪くなる(難聴)ことがあります。

3:音色(ねいろ)

音色とは、音の印象のことです。人間にとっては、音源がどのようなものかを識別する手掛かりになります。同じ音の大きさで、同じ音階を弾いたとしても、バイオリン、ピアノ、管楽器など、それぞれの楽器が持っている音の印象は、違います。このような音の印象の違いが、音色です。音色は極めて感覚的・情緒的なもので、定量的に表現することは簡単ではありません。一般的に音色は、美的・情緒的因子、量的・空間的・迫力因子、明るさ・金属性因子、柔らかさの因子などに分類できます。

5. 防音とは

建物内や部屋内にいる人間が感じる騒音を軽減・シャットアウトすることを、防音といいます。しかし一言に防音といっても、吸音・遮音・防振など、複数の要素が含まれています。

吸音とは、その部屋で発生した音の反射を小さくするように、天井や壁に吸音材を設置し、室内の響きの低減・反射の抑制・室内騒音レベルを低減させることです。なお吸音材は室内の音を吸収しますが、室内の音を外に漏れないようにする遮音性はあまりありません。遮音とは、音を遮ることです。壁、ドアなどから入る外部からの音を遮断したり、内部の音が外へ漏れないようにします(図7)。

図7:吸音(右)と遮音(左)

図7:吸音(右)と遮音(左)

防振とは、振動する機械や空調機などの振動体から、建物へ振動が伝わることを防ぐことです。騒音は、振動している機械から発生するだけではありません。振動体から床・壁・天井に振動が伝わり、他の部屋の床・壁・天井を振動させます。その振動が空気を揺らし、別の室内に音として放射されることを固体伝搬(でんぱん)音といいます(図8の青線)。防振材の使用により、固体伝搬音を減らせます。室内の騒音問題では、この固体伝搬音が問題になることがあります。

図8:固体伝搬音と防振

図8:固体伝搬音と防振

いかがでしたか? 今回は音の3要素、防音の3つのタイプなど、音にまつわる基礎的な内容を解説しました。次回は、防音のひとつである吸音の仕組みと、吸音材料について説明します。お楽しみに!

協力:一般社団法人日本音響材料協会

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