メニュー

ばねの材料と特性:ばねの基礎知識4

ばねの基礎知識

更新日:2018年5月25日(初回投稿)
著者:國井技術士設計事務所 所長 國井 良昌

前回は、ばねトラブルのランキングと、トラブルの原因で最も多い形状不具合への対策を解説しました。2番目に多いトラブルの原因は、材料選択のミスです。今回は、ばねの材料と特性を学びましょう。

今すぐ、技術資料をダウンロードする!(ログイン)

1. コイルばねの材料

筆者は、クライアント企業のDR(Design Review、設計審査)に、ゲスト審査員として出席することがあります。そのうちの数社で、驚くことがありました。DRの会議中、機械要素の材料選択に関する説明や質問がなく、話し合いが行われないまま、審査が進んでいくのです。料理人が食材を厳選したり、大工が建材を選定するように、職人の世界で素材決めは重要な工程です。1つの機械要素は小さくても、その集合体が製品になります。板金や樹脂、切削部品の材料は、ある程度理解できていても、ばねの材料となると実務知識が不足した技術者が多いようです。まずはコイルばねの主要な材料について、学んでいきましょう。

1:コイルばねの主要な材料3種

表1は、コイルばねの代表的な材料3種と、その特性をまとめたものです。縦弾性係数や横弾性係数やポアソン比など、難しい特性値が掲載されています。これらはCAE(Computer Aided Engineering)技術者が、コンピュータシミュレーションでコイルばねの安全率や、繰り返し回数の計算値を求める際、必ず使う重要なパラメータです。

表1:コイルばね材料の特性表(引用:國井良昌、ねじとばねから学ぶ!設計者のための機械要素、日刊工業新聞社、2017年、P.185)
 記号 SUS304-WPB SWP-A SWP-B
 サイズ(線径)
mm
 0.16-2.0 0.35-3.2 0.35-3.2
 引張強さ
N/mm2
 2,061 2,246 2,414
 0.2% 耐力
N/mm2
 1,854 1,999 2,131
 コスト係数 4.1 2.993.73
 入手性良好 良好 良好
 比重 7.87.9  
 縦弾性係数
kN/mm2
 170195
 横弾性係数
kN/mm2
7279
線膨張係数
×10-6/℃
17.312
 ポアソン比0.300.30
 熱伝導率
W/(m・K)
1660
※サイズ・引張強さ・0.2% 耐力は目安の値です。

SUS304-WPB、SWP-A、SWP-Bが、コイルばね材の代表格です。特に重機や重工業以外では、SUS304-WPBが主流の材料となっています。表1の材料特性をしっかり把握して、材料選択ミスを防ぎましょう。材料3種の特徴をまとめます。

・SUS304-WPB
SUS(Steel Use Stainless)とは、ステンレス(クロムCrを含んだ鉄)鋼線です。SWP-Aに比べ、耐久性は劣りますが、耐食性に優れています。

・SWP-A
ピアノ線(SWP、炭素鋼線)のA種です。耐久性・耐疲労性が良好です。防錆(せい)のために、めっき加工を要します。熱伝導率の大きい方から各種金属線を並べると、銅線、アルミニウム線、ピアノ線となります。

・SWP-B
ピアノ線のB種です。A種同様、耐疲労性が良好です。防錆(せい)のために、めっき加工を要します。耐久性がSWP-Aよりも優れています。

2:コイルばね材料の表面処理

1970~80年代、コイルばねの材料といえば、ピアノ線と呼ばれるSWP-Aが主流でした。鋼線はさびるため、表面処理として、防錆(せい)油を塗布したり、亜鉛めっきクロメートやニッケルめっきを施していました。

現在、主流のコイルばねの材料は、SUS304-WPBです。ステンレスなのでさびにくいのですが、ニッケルめっきを施すことがあります。その理由は3つあります。高温酸化の防止、耐食性のさらなる向上、ばね成型時や金属間摩擦による摩耗傷を防止するためです。

表面処理の選択ミスは、材料選択のミス同様に、用途や目的を把握しなかったために起きています。また環境による変化が起きる表面処理は、確認実験が必須です(参考:金属表面処理の基礎知識1)。

2. 板ばねの材料

1970~80年代、板ばね材料の主流は、銅系のC1700PやC5210Pでした。最近の材料の主流は、ステンレス系です。なぜ、銅系からステンレス系に材料が変わったのでしょうか?

その答えは、クラーク指数(資源が豊富にあるか否かの指標)です。

続きは、保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

  • セミナー12月
  • 寄稿募集
  • 基礎知識一覧

ピックアップ記事

tags

  • 特集バナー1029_01
  • 特集バナー1029_02
  • 特集バナー1029_03
  • 特集バナー1029_04