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撹拌装置の設計:撹拌の基礎知識4

撹拌の基礎知識1

更新日:2020年10月9日(初回投稿)
著者:東洋大学 理工学部 応用化学科 名誉教授 川瀬 義矩

前回は、撹拌に重要なパラメータとして、撹拌所要動力、混合時間、循環流量を紹介しました。今回は、撹拌装置の設計手順と設計時に留意すべきことを解説します。撹拌速度を決めるには、撹拌槽内で起きる現象を考える必要があります。撹拌槽内で起こっている反応、物質移動、熱移動、分散が最適になる撹拌速度を決めなければなりません。撹拌の目的にかなった最適な設計は、どのように進めたらよいかということについて解説します。

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1. 撹拌装置の設計法

撹拌装置の設計における、設計手順や撹拌所要動力などのパラメータの決定の仕方を説明します。図1に、撹拌装置の設計手順を示します。設計条件である撹拌の目的、処理量、流体物性、制約条件から始まり、槽形状の決定、伝熱装置の決定、撹拌目的に適した翼形状の決定に進みます。さらに、バッフルなどのインターナルの選定を行い、最後に撹拌条件(撹拌動力、撹拌速度)を決定します。

図1:撹拌槽の設計手順

図1:撹拌槽の設計手順

表1に、撹拌槽の設計において重要な撹拌のパラメータをまとめました。撹拌槽の設計では、撹拌の目的を達成するためのパラメータを決定する必要があります。

表1:撹拌槽の設計における重要な撹拌のパラメータ(参考:M. Bentolila and R. Novoa、Paper presented at ACHEMA、2015をもとに作成)

表1:撹拌槽の設計における重要な撹拌のパラメータ

表中のエネルギー消散とは、運動エネルギーが摩擦や乱流の進行により変化することです。局所値や微視的な値は実験で求めるのは難しいため、可能であれば流動解析(CFD)の値を使います。

設計において混合状態を表す重要な因子は、前回解説した撹拌所要動力Pと、混合時間tMです。これらは、次のように決定します。

反応装置であれば反応時間、溶解装置であれば溶解時間の1/3~1/7が混合時間になる撹拌速度Nを、tM (無次元混合時間NtM)とN(撹拌レイノルズ数Re)の関係(第3回図4を参照)を使って選択します。つまり、反応や溶解などに必要な時間(反応速度や溶解速度から決まる反応時間や溶解時間)内に、最低3回以上均一化が行われるのであれば、十分な混合であると考えます。

次に、その撹拌速度における、撹拌所要動力を求めます(第3回図1を参照)。撹拌所要動力が許容範囲内であれば、特に問題はありません。ただし、設計と同じ設計条件と運転条件における相関式やデータがない場合、新たに実験をして、混合時間と撹拌所要動力のデータを採取する必要があります。もちろん、似た条件の相関式やデータは、推算の参考値になり得ます。しかし、それをそのまま使用するのは危険です。

設計において、さまざまな制約があり、撹拌槽を運転できる範囲が限られます。図2に、回分操作の好気培養バイオリアクター(酸素が必要な微生物を培養するリアクター)の設計における制約の概念図を示します。十分な混合と通気による酸素供給、発泡、微生物の剪(せん)断損傷、CO2の発生、コストの抑制など、これらを考慮した操作範囲内での設計を行わなければなりません。

図2:好気培養バイオリアクター(回分操作)の設計における制約の概念図

図2:好気培養バイオリアクター(回分操作)の設計における制約の概念図

2. 気体や固体の分散

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3. 温度制御のための伝熱

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