微妙なニュアンスを伝える表現:技術英語・工業英語の基礎知識5
投稿日:
- 2018年12月11日
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カテゴリ:
- 基礎知識
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前回は、5文型の主役となる名詞で情報を伝える方法について説明しました。英語は厳格な5文型からできているため、客観的な記述の側面のみが強調されがちです。今回は、ここに微妙なニュアンスを与える助動詞と時制について解説していきます。
1. 確信の強さと強制力を伝える助動詞
技術文書に多い書き手の確信の強さと、仕様書や契約書での義務の強さを示す使い方について説明します。
・確信の強さ
書き手の確信の強さは、助動詞がない場合が最も強く、must > will > can > should > would > could > may > might の順になります。
This device reduces the cost.(この装置はコストを減らす。)は、書き手が100%確信していることを示しています。現在形は、書き手が真実であると考える場合に用いるからです。助動詞を入れた場合のそれぞれのニュアンスの違いを、日本語で確認しましょう(図1)。
最も強い確信
This device must reduce the cost.
この装置はコストを減らすに違いない。
ほぼ100%の予測
This device will reduce the cost.
この装置はコストを減らすだろう。
可能性と能力:意味の違いは文脈から判断
This device can reduce the cost.
この装置はコストを減らす可能性がある/ことができる。
mustより弱い確信や予想
This device should reduce the cost.
この装置はコストを減らすだろう。
控えめな予想
This device would reduce the cost.
この装置ならコストを減らすだろう。
控えめな可能性
This device could reduce the cost.
この装置ならコストを減らす可能性がある。
約50%の可能性
This device may reduce the cost.
この装置はコストを減らす可能性がある
最も弱い可能性
This device might reduce the cost.
この装置はコストを減らす可能性がある。
would、couldは、それぞれwill、canの過去形としても使いますが、過去形によって現実との距離感を示すため、上記の例文のように、ある条件下という仮定的なニュアンスを示します。また、控えめであるため丁寧表現にも使われます。
I would appreciate it if you could reply as soon as possible.
早急にお返事いただけると幸いです。
shouldは、mustの「違いない」に対し、多少の不確定要素を表すのに適しているため、ビジネスの数値目標で「見込み」を示すのにも使われます。
The total cost should be $1,000 or more.
総額は1,000ドル以上になる見込みです。
・義務の強さ
助動詞は、仕様書などの契約当事者間の権利や義務の法的強制力を示すためにも使われます。
shall/mustは、最も強い強制力を示し、表示された内容を履行しない場合は契約違反となり、損害賠償や、契約解除の対象となることを表明しています。最近は堅苦しいshallよりmustが使われることが多くなっています。
For piping designs, ASME Standards shall/must be used.
配管設計は、ASME規格を用いるものとする。
willにはshall/mustのような法的拘束力はありません。発注者や書き手の意図を表します。
The Contractor will submit three copies of specifications to the owner.
請負業者は、発注者に仕様書の写し3部を提出すること。
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2. 時制は脳内事実を明確にする
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参考文献:福田尚代、速効!英文ライティング、日本能率協会マネジメントセンター、2017年
![]() | 速効!英文ライティング 英語は名詞と動詞が9割! |
著者:福田尚代 | |
出版社:日本能率協会マネジメントセンター | |
出版日:2017/07 | |