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冷凍機・ヒートポンプのサイクル:熱工学の基礎知識4

熱工学の基礎知識

更新日:2020年10月21日(初回投稿)
著者:信州大学 名誉教授 平田 哲夫

前回は、水の蒸発特性、火力発電所の機器構成、および蒸気タービンのサイクルを紹介しました。今回は、冷凍機・ヒートポンプのサイクルを取り上げます。エアコンは、夏の暑い日には冷房として、冬には暖房として使用します。同一機器であっても、冷房として作動しているときは冷凍機、暖房のときはヒートポンプと呼びます。また、冷蔵庫で物を冷やすには、庫内から外部へ熱を移動させ、庫内を低温にする必要があります。本稿では、冷蔵庫の原理である冷凍サイクルの基本を説明します。

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1. 冷凍作用を発生するしくみ

自然界では、水は高い所から低い所に流れます。水を高い所に汲み上げるには、図1(a)に示すように、ポンプなどを用いて、外部から仕事(電力)を与える必要があります。熱も自然界では、温度の高い物質から低い物質へ流れます。これとは逆に、温度の低い物質から高い物質へ熱を移動させるためには、図1(b)に示すように、圧縮機を用い、外部から仕事Wを与える必要があります。この圧縮機を用いた装置を、冷凍機、またはヒートポンプといいます。

図1:水ポンプと冷凍機・ヒートポンプの作用

図1:水ポンプと冷凍機・ヒートポンプの作用

冷凍機は、冷蔵庫の庫内のように吸熱する作用QLを利用するものです。一方、ヒートポンプは、エアコン暖房のように放熱する作用QHを利用します。いずれも装置の使用目的は異なるものの、本質的には同じものです。

2. 冷凍作用を発生するための機器構成

第3回で説明した蒸気タービンサイクルは、作動流体の水を蒸発、凝縮(凝結ともいう)させることにより仕事を生み出しました。このサイクルを逆向きに動作させることを考えてみましょう。すると、仕事を与えて低温熱源から熱を吸収し、高温熱源に汲み上げることが可能となります。これを蒸気圧縮式冷凍サイクルといい、作動流体の冷媒を蒸発、凝縮させることにより冷凍作用を発生します。冷媒とは、冷凍サイクルに用いられる作動ガスです。近年では環境への影響を考えて、自然冷媒(二酸化炭素、アンモニアなど)を用いています。

図2に、蒸気圧縮式冷凍サイクルの機器構成を示します。この冷凍サイクルは、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器から構成されています。

図2:冷凍サイクルの機器構成

図2:冷凍サイクルの機器構成(引用:平田哲夫、他2名、例題でわかる工業熱力学(第2版)、森北出版、2019年、P.171)

以下に、それぞれの機器の役割について説明します。状態の番号は、図2(a)、(b)の番号に対応しています。

・圧縮機(状態1→2)
蒸発器で乾き飽和蒸気になった冷媒ガスは、圧縮機に外部から仕事Wを与えることで圧縮されて、高温高圧の過熱蒸気になります。

・凝縮器(状態2→3)
高温に過熱された冷媒ガスは、凝縮器の周囲へQHを放熱することにより温度が下がって凝縮し、飽和液になります。

・膨張弁(状態3→4)
膨張弁の管路の一部は狭くなっており、高圧の冷媒液はこれを通ることにより膨張して温度は下がり、湿り蒸気の状態になります。

・蒸発器(状態4→1)
低温の湿り蒸気は、蒸発器の周囲からQLの熱を吸収することにより加熱されて、乾き飽和蒸気となります。

3. 蒸気圧縮式冷凍サイクル

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

4. 蒸気圧縮式冷凍サイクルの効率向上法

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5. 吸収式冷凍機のしくみ

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