メニュー

伝熱現象の基本2:熱工学の基礎知識6

熱工学の基礎知識

更新日:2020年12月9日(初回投稿)
著者:信州大学 名誉教授 平田 哲夫

前回は、熱伝導と熱伝達を紹介しました。今回は最終回です。前回に引き続き、伝熱現象の基本として、熱ふく射と、工業的に重要な熱移動現象である凝縮(凝結ともいう)、蒸気を作る際の沸騰について説明します。また、高温流体から低温流体へ熱を伝える装置(熱交換器)についても解説します。

今すぐ、技術資料をダウンロードする!(ログイン)

1. 熱ふく射による熱移動

熱ふく射は熱伝導や熱伝達と異なり、熱を伝える媒体を必要としません。例えば、太陽エネルギーは途中に何もなくても地球に届きます。全ての物体は、その絶対温度に応じて電磁波を放射しており、他の物体に吸収されたときに熱エネルギーとなって温度上昇として検出されます。その伝熱量は、絶対温度の4乗に比例します。絶対温度とは、物理的に考えられる最低の温度であるセ氏零下273.15℃を零度とし、そこからセ氏の目盛り間隔で測った温度です。単位はケルビンKで表します。

図1に、熱ふく射の波長範囲を示します。熱ふく射の電磁波は熱エネルギーを伝達するため、赤外域に広く分布しています。また、可視光域と同じではないため、物体に対する熱の吸収や反射は、見た目とは異なることに注意が必要です。

図1:熱ふく射および各種電磁波の波長分布

図1:熱ふく射および各種電磁波の波長分布

・黒体ふく射

熱ふく射による伝熱は、電磁波の波長分布にも影響されます。また、ふく射する物体の表面性状によっても変わります。そこで、それらの基準として、黒体という仮想の物体を考えます。黒体とは、ある物体から放射されうる最大のふく射熱を放出する物体であり、また逆に、受けたふく射熱を100%吸収する物体です。

黒体のふく射熱Qbは、ステファン・ボルツマンの法則により次のように求められます。

Qb=(伝熱面積A)×(ステファン・ボルツマン定数(5.67×10-8))×(絶対温度の4乗T4

ここで、絶対温度T(K)は、(K)=(℃)+273.15です。ふく射熱は絶対零度(0K)で0となることから、現実的には、全ての物体はふく射熱を放出していることになります。

・ふく射伝熱

一般物体のふく射熱は、黒体の値に、物体のふく射率Eを乗じて求めます。ふく射率とは、黒体に対する一般物体のふく射熱量です。図2に示すように、黒体のふく射率をE=1としたとき、一般物体では1より小さい値になります。従って、一般物体のふく射熱量は次のように求められます。

Q=(ふく射率E)×(黒体のふく射熱Qb

なお、お互いにふく射熱を放出している2つの物体の場合、正味のふく射伝熱量は、受けた熱量から自分の放出した熱量を差し引いたものになります。

図2:黒体と一般物体のふく射熱

図2:黒体と一般物体のふく射熱

表1に、固体の全ふく射率を示します。全ふく射率とは、単波長のふく射率を全波長にわたって積分した値です。同一の物体表面で同じ温度に対しては、ふく射率と吸収率は等しくなるという法則があります。吸収率とは、黒体に対する一般物体の吸収熱量です。

表1:全ふく射率(引用:平田哲夫、他2名、例題でわかる伝熱工学(第2版)、森北出版、2014、P.95)

表1:全ふく射率

熱ふく射の波長範囲は可視光域とは異なるので、ふく射率は見た目の感じとは異なります。例えば、黒色のペイントは白色より熱を吸収しやすいと思われがちです。しかし、表1の全ふく射率は全吸収率となり、ほぼ同じ値となっています。また、アルミニウムのように、表面の状態によっても異なります。

・熱ふく射の伝熱促進

熱ふく射を促進させて伝熱量を大きくしたい場合は、ふく射率Eの大きい表面材料を用います。また、ふく射率の大きい塗料を塗ることも有効です。逆に、ふく射熱を吸収しにくいようにするには、表1より、表面を研磨するとよいことが分かります。宇宙探査機などの表面に銀色の材料を使用するのは、太陽からのふく射熱の吸収を低減するためです。

2. 相変化を伴う熱移動

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

3. 熱交換器の伝熱

保管用PDFに掲載中。ぜひ、下記よりダウンロードして、ご覧ください。

    ピックアップ記事

    tags