市民社会の交通計画:交通計画の基礎知識5
投稿日:
- 2022年01月19日
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カテゴリ:
- 基礎知識
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前回は、交通マスタープランを紹介しました。今回は、超高齢社会を迎えた日本における、市民社会の交通計画について解説します。市民社会のモビリティを確保するためには、新しい技術によるさまざまな交通システムを活用する必要があります。超高齢社会において、安全・安心な交通計画を構築するためには、交通事故の実態や要因を科学的、かつ総合的に解明し、効果的な交通安全対策を立案・実施することが不可欠です。
1. 市民社会のモビリティ
市民生活のモビリティ(Mobility、移動性)の確保には、公共交通が重要な役割を担っています。公共交通は、従来の鉄道、バス以外にも多くのシステムが開発されてきました。(図1)に、さまざまな公共交通システムについて、輸送密度(1回の運行で輸送できる人数)と利用者特性を整理しました。
・市民生活のモビリティ確保に導入される交通システム
地域のモビリティの確保を目的として導入されるシステムとしては、路線バス、コミュニティバス、乗合(のりあい)タクシー、デマンド型交通(DRT、Demand Responsive Transport)、交通空白地有償運送、福祉有償運送などがあります。また、タクシーも地域の交通を構成する重要な公共交通であり、個々の利用者、地域のニーズにきめ細かな対応をすることができる輸送機関です。以下に主な交通システムを説明します。
1:コミュニティバス
コミュニティバスは、市町村などが運営主体となり、道路運送法に基づく「一般乗合旅客自動車運送事業」の許可を受けた交通事業者に運行を委託する形態です。運行経路や時刻表が決められている点では、一般の路線バスと変わりません。しかし、一般の路線バスが運行できなかった地域を運行したり、停留所間隔を短くしたりするなど、きめ細やかなサービスを乗合で提供しています。
2:乗合タクシー
乗合タクシーは、道路運送法に基づく「一般乗合旅客自動車運送事業」の許可を受けた交通事業者が、乗務員(運転士)を含めて乗車定員が11人に満たない小型車両(いわゆるジャンボタクシー、セダン車両など)を使用して運行する形態です。運行経路や時刻表が固定されているケースが多いものの、乗降場所は必ずしも停留所に限定していない場合もあります。
3:デマンド型交通(DRT)
デマンド型交通(DRT、Demand Responsive Transport)は、利用者の事前予約に応じて、その都度、運行経路や時刻表を設定して運行する形態です。基本的には、予約のあった停車地のみを結んで運行することから、面的なエリアを効率的に運行することが可能です。このような特徴から、需要の少ない地域でも導入が可能であると考えられ、人口密度の低い過疎的な地域で導入されている例が多くあります。
4:交通空白地有償運送
交通空白地有償運送は、市町村、もしくは一定の要件を満たす非営利団体(NPO、社会福祉協議会、自治会、地元に密着した団体など)が自家用自動車で有償の運送を行います。道路運送法第79条に基づいて、原則市町村が主催する運営協議会でその必要性が判断されることが要件となります。自家用自動車を使用した有償の運送は、一般に禁止行為とされています。しかし、交通事業者の事業性が成立しにくい場合に、移動手段を確保する一つの方法として、地域の助け合い活動による運行が近年増えつつあります。
5:福祉有償運送
福祉有償運送は、介助が必要な高齢者や障害のある人を対象者として限定し、一定の要件を満たす非営利団体が、自家用自動車で有償の運送を行うものです。道路運送法第79条に基づいて、原則市町村が主催する運営協議会でその必要性が判断されることが要件となります。
その他、交通システムの運行形態には、都市部で導入される交通システムがあります。
・都市部で導入される交通システム
主に都市部で導入される交通システムには、鉄道、都市モノレール、新交通システム、路面電車・LRT(Light Rail Transit:次世代型路面電車システム)、幹線バス・BRT(Bus Rapid Transit:バス高速輸送システム)、路線バスなどがあります。特にLRTやBRTについては、最新の技術が反映されています(図2)。専用空間を走るため、定時性、速達性、快適性などの面で優れており、また、停留所と車両の床の高さを同一レベルにすることでスムーズな乗降が実現されています。
2. 高齢社会のモビリティ
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3. 安全・安心な交通
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