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超音波の基礎知識

超音波の基礎知識

著者:東京工業大学 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所 教授 中村 健太郎

超音波は、人が聞くことを目的としない、高い周波数をもつ音や振動です。計測やイメージング、洗浄、加工などに用いられています。また、空中、水中、固体などの媒質に適したセンサや周波数フィルタなど、さまざまな電子デバイスにも応用されています。本連載では6回にわたり、技術者に必要な超音波の基礎知識を解説します。第1回は、超音波の概要と応用例を紹介します。

第1回:超音波とは

1. 超音波とは何か?

音は空気の振動です。私たちの耳に聞こえるのは、振動数が1秒間に2万回以下の音です。すなわち、周波数20kHz以下の音を人は感じることができます。一般に、周波数が20kHzより高い音を、超音波といいます。超音波を伝えるものを媒質といいます。超音波は、空気のほか、水中や固体中にもよく伝わります。水中や金属などの固体中は電波や光が伝わりにくいため、よく伝わる超音波にとっては活躍の場といえます。

超音波が伝わる媒質に目印となる点を付けると、点は振動します。この点の振動の振れ幅を変位振幅、振動の速度を粒子速度と呼びます。図1は、媒質に付けた点が動いたある瞬間を捉えた図です。

図1:縦波超音波(疎密波)

図1:縦波超音波(疎密波)

この波動は、振動方向と伝搬方向が平行であることから、縦波と呼ばれます。また、目印の点が詰まった密な部分と、まばらになった疎な部分が一定間隔で繰り返し並んでいることから、疎密波と呼ばれることもあります。

媒質が密に縮んだり、疎に伸びたりすると、圧力の変動を伴います。すなわち、超音波の伝搬には、粒子の動きと圧力の変動という2つの側面があり、波動現象である電磁波が磁界と電界という2つの物理量で表せることに対応しています。このように、超音波は媒質のひずみ(変形)や圧力の変動を伝えます。ただし、伝える速度(伝搬速度)は媒質によって異なります。

金属などの固体中では、押したり引いたりする縦波に加えて、横ずれ(せん断変形)も伝えることができます。これを波として伝えるのが横波です(図2)。横波では、伝搬方向と振動方向が直交しています。

図2:横波超音波

図2:横波超音波

固体中では、縦波も横波も伝えることができます。同じ媒質中でも、縦波と横波では伝搬速度が異なり、横波の伝搬速度は縦波の約半分です。

常温の空気中における伝搬速度は約340m/s、マッハ1です(1,220km/h)。音や振動の伝搬速度は、音速と呼ばれます。表1は、さまざまな媒質中における音速の代表値です。

表1:さまざまな媒質中の音速(出典:国立天文台編、理科年表、丸善出版、2004年、P.418-421)
媒質縦波音速(m/s)横波音速(m/s)
空気340
ヘリウム970
1,500
エタノール1,207
アルミニウム6,4203,040
5,0102,270
5,9503,240
ナイロン2,6201,070
ポリウチレン1,950540
クラウンガラス5,1002,840

空気の音速は、1℃当たり約+0.6m/sの温度依存性があります。水の音速は、温度や圧力、溶解している物質、その濃度によって変わります。また、同じ名称の固体材料でも、製法や成分によって音速が微妙に異なります。

2. 超音波の応用と周波数

超音波の応用は、計測応用とパワー応用に大別されます。計測応用は、超音波を信号として用い、計測やセンシング、イメージングなどに利用されます。一方、パワー応用は、超音波をエネルギーとして活用します。

計測応用では、使う超音波の波長によって空間分解能が決まるので、応用の種類によって使用周波数が選ばれます。波動現象を使う以上、回折が起きるため、分解能は波長程度に限られます。これは、光学顕微鏡では光の波長であるμmオーダより細かいものを見ることができないのと同様です。例えば、音速をcとすると、波長λと周波数fの間には、c=f×λの関係があります。そのため、同じ媒質中で波長を短くするには、周波数を上げる必要があります。しかし、周波数を上げると減衰が増えるため、むやみに上げるわけにはいきません。従って、必要な分解能と測定距離から、適切な周波数が選ばれます。図3は、超音波の応用と使われる周波数の分布図です。

図3:超音波応用と周波数

図3:超音波応用と周波数

3. 計測応用とパワー応用

計測応用とパワー応用について、詳しく説明していきます。

・計測応用

計測応用の基本的な手法は、パルス波やバースト波を送信して、目標物に反射した超音波が戻ってくるまでの時間を計測するものです。空中では、自動車やロボット、ドローンの近接センサとして、主に40~60kHzが使われています。空気中の音速は約340m/sなので、波長は6~8mmです。水中応用としては、漁業に用いられる本格的なものから、レジャー用の個人向けのものまで、さまざまな魚群探知(魚探)装置が普及しています。魚探装置には、深度や魚の種類などに応じて、50kHzや200kHzなどの周波数が使われています。水中の音速は約1,500m/sなので、50kHzの波長は30mm、200kHzでは7.5mmです。

超音波が応用される医療用診断装置には、媒質を人体とするイメージング装置があります。人体は、水に近い音響的性質を示すので、音速は水と同程度です。腹部用エコーには数MHzの周波数が使われ、波長はサブミリメートルです。人体内の構造や、病変部のわずかな音響的性質の差による反射波(エコー)を受信し、映像化します。また、ドップラー効果によって媒質の流速を測定する応用には、風速計や流量計、医療用の血流イメージングなどがあります。

固体中の計測応用の中心は、非破壊検査です。非破壊検査は、各種配管やタンク、鉄道の線路、車輪などの亀裂検査に欠かせない手法です。主に数MHzの周波数が使われます。対象の多くは金属で、波長は約1mmです。対象によっては、横波を使う場合もあります。

超音波振動を使う電子部品には、クロックや基準周波数を作る水晶振動子をはじめ、フィルタ素子などがあります。テレビやスマートフォンなど、身近な電気製品にも利用されています。また、スマートフォンやカーナビ、カメラに搭載されているジャイロセンサも、振動を利用している点では超音波デバイスと考えられます。

・パワー応用

超音波のパワー応用にも、多くの種類があります。代表的なものは、眼鏡屋の店頭などで見かける超音波洗浄器です。これら汎用の洗浄機で使われている超音波振動は、数10kHzです。これに対し、半導体製造、精密機械分野、病院などでは、より高度な洗浄能力が求められます。半導体精密洗浄には、1MHz程度が使われます。

集積回路の細線や、バンプの接合には、数10~100kHzの超音波振動が使われます。プラスチックの接合や、かしめ加工には、数10kHzの超音波振動が使われることがあります。また、機械加工の切削や、穴開けの工具を超音波振動させることで、仕上がりの精度や加工速度が上がる効果が知られています。特にガラスやセラミックスなど、もろい材料の加工に効果を発揮します。金属の曲げやかしめに超音波振動を使うと、正確な加工が行えます。

材料や薬品製造の分野では、水と油を混ぜる乳化や化学反応促進などに、超音波が利用されています。超音波の化学作用に関する研究分野は、ソノケミストリーと呼ばれます。以上のように、さまざまな製造業の表には出ない場面で、パワー用途の超音波が使われています。開拓すべき他の用途も、多いことでしょう。

いかがでしたか? 今回は、超音波の概論と応用例を紹介しました。次回は、超音波の発生と検出について解説します。お楽しみに!

 

第2回:超音波の発生と検出

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前回は、超音波の概論と、応用例を紹介しました。今回は、超音波の発生と検出を取り上げます。超音波を発生、受信するためのデバイスには、圧電現象による振動子があります。振動子は、電気信号を超音波に変換したり、超音波を電気信号に変換するトランスデューサ(変換器)の一種です。オーディオのスピーカーやマイクロホンに相当します。

1. 圧電振動子の基礎

超音波の発生や検出には、圧電効果が利用されます。この現象は、水晶などの結晶に外から力を加えると電圧が発生するというもので、1880年にフランスの物理学者ジャック・キュリー(Paul-Jacques Curie)とピエール・キュリー(Pierre Curie)の兄弟により発見されました。図1は圧電効果の模式図です。圧電性を有する材料の両側に導電性材料を塗布し、これを電極とした上で外側から力を加えると、A-B間に電圧が発生します。

圧電素子

図1:圧電素子

電圧の極性は、加える力が押す力か、引く力かによって反転します。従って、このような圧電素子に超音波が加わると、それに応じた電圧信号が得られます。超音波の受信には、この圧電効果が利用されます。これとは逆に、A-B間に電圧を加えると、電圧の極性に応じて圧電素子が伸び縮みをします。これを逆圧電効果と呼び、超音波の発生に利用されます。なお、ピエール・キュリーは後に、妻マリー・キュリー(Marie Curie)と共同でラジウムとポロニウムを発見し、1903年にノーベル物理学賞を受賞しています。

圧電効果を示す物質には、水晶やニオブ酸リチウムなど、いくつかの結晶に加えて、チタン酸バリウムやチタン酸ジルコン酸鉛(PZT:鉛 Pb、ジルコニウム Zr、チタン Tiの複合酸化物)のようなセラミックス材料があります。特に、PZTは高い圧電性を示すため、計測応用にもパワー応用にも広く使われています。また、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)や、それに類似した高分子材料にも圧電効果を示すものがあり、センシング用素子などに使われます。

圧電材料には分極という極性があり、PZT材料や圧電高分子材料では、製造工程の最後に高い電圧を印加して分極を与えます。分極の方向は、信号電圧を加える方向との関係によって、素子に生じる変形の方向に影響します。図1では、分極方向と電圧の方向が平行です。この場合、素子が伸び縮みをする変形をするため、縦波の発生に使われます。

2. 計測用トランスデューサ

基本的な超音波計測の方式に、パルスエコー法があります。これは短時間のパルス波を送信して、目標物からの反射波を受信する方式です。送信と受信を1つのトランスデューサで兼用する場合と、別々に行う場合があります。いずれにしても、超音波を送信してから反射波が受信されるまでの時間と、媒質中の伝搬速度によって、目標物までの距離が分かります(図2)。

パルスエコー法

図2:パルスエコー法

これは山びこと同様の現象です。超音波は目標物までの距離を往復するので、受信までの時間と伝搬速度の積の半分が目標物までの距離になります。音の伝搬速度は電波や光に比べると非常に小さいため、目標物までの往復に要した時間測定が容易に行えます。

このような原理から、送信パルスの時間幅は、できるだけ短い方が場所を正確に測定できます。そのため、計測用トランスデューサには、感度もさることながら、残響のない単発パルスを送受信できることが求められます。図3は、計測用トランスデューサの基本構造です。

計測用トランスデューサの構造

図3:計測用トランスデューサの構造

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3. パワー用トランスデューサ

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第3回:超音波計測・センシング

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前回は、超音波の発生と検出を取り上げ、圧電振動子、計測用トランスデューサ、およびパワー用トランスデューサを紹介しました。今回は、超音波計測(センシング)について解説します。代表的な超音波計測として、厚さ測定、距離測定、流速測定などが挙げられます。超音波の伝搬時間や、ドップラー効果による超音波周波数の変化を検出することで、計測が可能です。

1. 厚さ計測・距離計測

超音波パルスを用いた実用例に、配管管壁の厚さ測定があります。超音波を用いることで、管の外から、配管の肉厚が減っていないかを調べられるのが利点です。管の外面にトランスデューサを押し当て、超音波パルスを送信すると、超音波は管壁の中を伝わり、管壁の内側で反射され、トランスデューサが受信します(図1の反射波1)。この反射波は管の外側で反射されて再び管の内側に向かい、そこでさらに反射されてトランスデューサが受信します(図1の反射波2)。

図1:配管管壁の厚さ測定

図1:配管管壁の厚さ測定

このように、送信したパルス波は管壁内で多重反射して、そのたびにトランスデューサが受信します。よって、トランスデューサで検出される受信波形は、同じ時間間隔Tで並んだパルス列になります(図2)。

図2:厚さ測定の受信波形

図2:厚さ測定の受信波形

時間Tは、超音波パルスが厚さLの管壁を往復する時間です。管壁内の音速をcとすると、管壁の厚さは、L=cT/2 で求めることができます。なお、厚さ測定には、数MHzの周波数が使われます。

管壁のような固体を測定する場合、トランスデューサを物体に密着させる必要があります。密度と音速の積を音響インピーダンスといい、音響インピーダンスの異なる物体の間では超音波が反射します。トランスデューサと物体が密着していない場合、つまり空気が介在していると、超音波が透過しにくくなります。これは、空気の密度や音速が固体と比べて非常に小さいためです。そのため、トランスデューサと物体の間に、水やゼリーを入れます。水やゼリーなどの個体で満たすことで、音響インピーダンスが大きく変わることを防ぎます。超音波医用診断装置でゼリーを使うのも同じ理由によるものです。

一方、空気中の距離計測には、自動車やロボット、ドローンなどに用いられる近接センサがあります。近接センサは超音波を空中に送信し、障害物からの反射波を検出します。この時、反射波が戻る時間から、障害物までの距離を割り出します。

空気は音響インピーダンスが小さいため、受信器は固体に用いられるトランスデューサではなく、金属薄板に圧電セラミックスを貼り付けたものや、アルミニウム箔を圧電セラミックスで振動させるものが使われます。これらは、超音波センサとして量産されています。空気中では、固体中や液体中よりも超音波の減衰が大きいため、数十kHzの低い周波数が使われています。

2. 流速計測

超音波は光や電波とは異なり、媒質を伝わる波動です。そのため、気体や液体などの媒質が流れる速度(流速)を測定できます。図3のように、流れの方向に超音波を送信すると、距離Lだけ離れたトランスデューサに到達する時間T1は、音速をc、流速をVとして、T1=L/(c+V) で表せます。

図3:流速測定

図3:流速測定

一方、流れと逆方向に超音波を送信した場合の到達時間T2は、T2=L/(c-V) となります。このように、超音波の上りと下りの伝達時間によって、以下の式で流速を求めることができます。この原理は、ガスメータの流量測定や、風速計に活用されています。

配管中の流速を測定するには、配管の外側にトランスデューサを斜めに取り付けるクランプオン流速計が用いられます(図4)。超音波の伝搬方向と流れの方向のなす角度の余弦に応じた流速が測定できます。

図4:クランプオン流速計

図4:クランプオン流速計

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3. 非破壊検査

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第4回:圧電超音波センシングデバイス

前回は、さまざまな超音波計測を紹介しました。今回は、圧電振動子を用いた、さまざまな超音波センシングデバイスを解説します。圧電超音波センシングデバイスには、小さな質量を付加すると共振周波数が下がる、ということを利用した振動子型センサ、弾性表面波の伝搬面を利用した表面波センサ、回転運動を検出する振動ジャイロなどがあります。

1. 振動子型センサ

水晶などの圧電材料を用いた振動子は、振動子の寸法(長さや厚さなど)によって異なる特定の周波数において、よく振動します。この現象を共振といいます。共振は、振動子の寸法が振動の半波長や、その奇数倍のときに発生します。このように、共振が発生するときの周波数を、共振周波数といいます。共振周波数の付近では、電気的なインピーダンスが鋭い極値を示します。この原理は、周波数基準を作る回路素子などに応用されています。

周波数安定度の高い水晶振動子は、1932年、日本の電気通信工学者、古賀逸策によって開発されました。この技術は、水晶時計(クォーツ時計)をはじめとして、コンピュータのクロック信号を作る回路など、現代技術の基盤となっています。水晶振動子は、圧電材料の上下面に薄い電極を付けた構造をしています(図1)。

振動子によるセンサ

図1:振動子によるセンサ

振動子は付着物に対して敏感で、微量の付着物があるだけで共振周波数が変化します。このことに着目し、水晶振動子は、微小な質量変化を測定するセンサとしても利用されています。ここからは、振動子のセンサとしての仕組みを解説します。

水晶振動子の電気的な性質は、図2に示す電気回路で表すことができます(図2の左上)。これを、電気等価回路といいます。振動子は、非導体である圧電体を平行電極ではさみ込んだキャパシタ(電気をためる電気素子:コンデンサともいう)の構造をしており、その電気容量をCdで表わしています。

センサ素子の電気等価回路と周波数応答

図2:センサ素子の電気等価回路と周波数応答

一方、周波数f0において振動子が共振し、よく振動している時、回路には振動に応じた電流が流れます。これを、電気等価回路において、インダンクタンス Lm、キャパシタ Cm、抵抗 Rmの直列共振で表わしています。言い換えると、振動子をばね振り子と見立てたときの等価的な質量、ばね、機械抵抗(ダンパ)に対応するものを、電気素子で表しています。よって、アドミッタンス(インピーダンスの逆数)が極大値を持つ周波数f0は、以下の式で表されます。

ここで、振動子に小さな付着物があると、わずかに質量が増加します。その場合、等価的な質量に相当する電気素子Lmの値もわずかに増え(ΔLm)、周波数がΔfだけ低下します(図2の右)。

これら2つの式により、共振周波数の変化率から、質量変化率を推測することが可能です。

この現象は、真空蒸着装置の膜厚計に使われています。蒸着層の中に水晶振動子を置き、振動子に蒸着された膜の厚さを、質量付加効果による共振周波数変化として検出します。また、水晶振動子の電極上に、特定のガスを吸着する特殊な膜を設けることで、ガスセンサとしても応用できます。

その他にも、棒状の振動子の一部を液体に浸し、液深計として用いたり、浸す液体の粘性が共振周波数や共振の鋭さに影響することから、粘度センサとして用いるなど、応用の範囲は多岐にわたります。

2. 表面波センサ

表面波センサは、物体の表面のみが振動する弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)を検出するセンサです。弾性表面波は、発見者のイギリスの物理学者、ジョン・ウィリアム・ストラット(レイリー卿:Lord Rayleigh)の名前をとって、レイリー波とも呼ばれます。弾性表面波の伝搬速度は、縦波の約半分です。物体の表面から1波長ほどの深さに振動エネルギーが集中しているため、その伝搬は、表面の状態に敏感です。

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3. 振動ジャイロ

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第5回:パワー超音波の性質と応用

前回は、さまざまな圧電超音波センシングデバイスを紹介しました。今回は、パワー超音波を取り上げます。超音波の応用には、センシングや計測の他に、そのエネルギーを利用するパワー応用があります。これはパワー超音波とも呼ばれ、高い音圧や大きな振動加速度が発生します。また、それに伴って生じるキャビテーション現象による機械的、化学的な効果は、さまざまな分野の製造技術で利用されています。

1. 高強度超音波による現象

パワー超音波の応用はバラエティに富んでおり、空中、液中、固体といった応用先により、利用目的も技術内容も異なります。

液中の超音波を利用する超音波洗浄は、パワー応用の代表例です。町の眼鏡店から、病院、精密機械工場、半導体分野まで広く使われています。液体には大気圧(1気圧=100,000Pa)が常に加わっています。これに超音波を加えると、圧力は大気圧を中心に超音波周波数で繰り返し変化します。超音波洗浄ではその変化幅が大きく、瞬時音圧が負の瞬間には圧力0に迫ります(図1)。

図1:超音波による圧力変化

図1:超音波による圧力変化

このとき、液体に溶けていた気体がにじみ出します。にじみ出た気体は、圧力の周期変化によって小さな泡に成長し、あるとき押しつぶされます。その際、瞬間的に大きな圧力が発生し、これが洗浄効果をもたらします。超音波洗浄器が発するシャーという音は、多数の空洞が壊れる音です。

このように、液中に泡や小さな空洞が生じる現象をキャビテーションと呼びます。キャビテーションは、アルミホイルに多数の小さな穴を開けるほどの破壊力があるので、超音波強度を適切に調節して洗浄を行う必要があります。通常の超音波洗浄には、数10kHzの周波数が使われます。半導体材料など繊細な製品の洗浄には、キャビテーションの起きにくい1MHz程度の高周波を使うこともあります。液体に溶けている気体が多いと、低い音圧でキャビテーションが起きてしまうので、気体量のコントロールが重要です。

洗浄効果は、液体の振動(粒子速度)によってももたらされます。粒子速度は、音圧を液体の音響インピーダンスで除した量です。音響インピーダンスは密度と音速の積として計算されます。水の音響インピーダンスは、1,000 [kg/m3]×1,500[m/s]です。音圧の片振幅が1気圧(100kPa)の場合、水の粒子速度の最大値は67mm/sです。この値は、それほど大きいとは感じられないかもしれません。しかし、超音波は周波数が高いので、粒子速度に角周波数を掛けた加速度は、非常に大きくなります。例えば、40kHzで音圧1気圧の場合、加速度は重力加速度の1,700倍にもなります。超音波洗浄では、この巨大な加速度により、付着した汚れが振り落とされます。

通常の音響理論は、大気圧よりもずっと小さな音圧範囲を仮定して作られたものです。そのため、ここで述べたような強力な超音波を起こすと、通常の音響理論では起きない現象を目にすることができます。例えば、超音波洗浄器の中では水が激しく動いています。これは機械的に撹拌(かくはん)しているわけではなく、強い超音波により水に流れが生じています。これを音響流といいます。

2. パワー超音波振動系

約100kHzまでのパワー超音波応用では、振動源にボルト締めランジュバン振動子(BLT:Bolt-clamped Langevin Transducer)が使われます(第2回参照)。中型以上の超音波洗浄器では、洗浄槽の底面にBLTを配置したものが使われます。また、空中でのパワー超音波応用や、超音波加工でも、BLTは利用されています。この場合、必要な振動振幅を得るため、BLTと目標物の間に、ホーンと呼ばれる振動振幅変換器を接続します(図2)。

図2:パワー超音波の振動系

図2:パワー超音波の振動系

ホーンはアルミニウムや鉄を削り出して作られ、ボルトによって強固にBLTに接続されています。断面積を長さ方向に変えることで、振動振幅をBLT側よりも目標物側で増大させます。数10μmの振動変位振幅が必要な応用では、振動速度は数m/sにも達します。振動子やホーンで振動振幅が0になる場所は振動の節と呼ばれ、応力が大きくなります。パワー超音波応用では、応力が非常に大きくなるため、振動の節における応力の集中が過度にならないようなホーン形状が選ばれます。

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3. 機械加工・接合などへの応用

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第6回:超音波アクチュエータ

前回は、パワー超音波の性質と応用を紹介しました。今回は、超音波アクチュエータを取り上げます。アクチュエータは、電磁力を用いたモータや、空気圧や油圧を用いたシリンダなど、ものを動かすデバイスです。アクチュエータに超音波を用いることで、他の方法にはない特徴的な動作が可能になります。本稿では、超音波振動によるモータ、および超音波音場による物体の浮揚について紹介します。

1. 超音波モータ

超音波モータは、超音波振動によって物をこすって動かす摩擦駆動のモータです。小型で大きな力を持つため、応答性に優れた動作が可能です。また、力を出すのにギアが必要な従来の電磁型モータのように、動作の遅れや、ギア音が生じることがありません。最も成功した実用化例として、一眼レフカメラの自動焦点合わせ機構が挙げられます。

振動は往復運動なので、そのままでは物を動かすことはできません。物を動かすには、振動を一方向の運動に変換します。そのためには、振動は2次元上で、円(または、だ円)の軌跡を描く必要があります。これには、2つの振動を重ね合わせる方式と、進行波振動を用いる方式があります。

・2つの振動を重ね合わせる方式

方向が直交した2つの振動を重ね合わせることで、だ円軌跡を作り出し、これにより物体を動かすことができます。図1に、矩形の圧電セラミックス板の、縦振動とたわみ振動の例を示します。図1では、2つの振動のタイミングを、振動の1周期の4分の1だけずらしています。縦振動では上下の振動、たわみ振動では左右の振動変位が生じています。

図1:縦振動とたわみ振動

図1:縦振動とたわみ振動

縦振動とたわみ振動を同時に起こした場合、2つの振動の重ね合わせにより、図2に示すようなだ円振動になります。すなわち、1点に着目すると、点は振動の周波数により回転運動しているのが分かります。これに物体を押し付けると、図中の(1)~(4)のうち、(2)の瞬間に接触し、押し付けた物体はこの回転運動によって一方向に送られます。2つの振動のタイミングをずらすと、(4)の瞬間に接触し、物体の移動方向が逆になります。

図2:縦振動とたわみ振動の合成によるだ円軌跡の発生

図2:縦振動とたわみ振動の合成によるだ円軌跡の発生

・進行波振動を用いる方式

一方向に進む振動、すなわち進行波が起きているとき、その表面の一点に着目すると、だ円振動をしています。そこに物体を押し当てると、物体が一方向に移動します。これが進行波型超音波モータの動作原理です。金属円板の裏面にリング型の圧電素子を接着し、進行波振動を起こすモータが実用化されています(図3)。圧電素子の電極を分割し、位相差のある複数の交流電圧をかけることで進行波振動を起こします。位相差を変えることで、進行波振動の進む方向を切り替え、ロータの回転方向を反転できます。

図3:進行波型超音波モータ

図3:進行波型超音波モータ

2. 微小物体の浮揚と操作

超音波周波数で振動する面と平行に、反射面を配置すると、定在波の超音波音場が発生します。定在波は、振動面から反射板に向かう超音波と、反射面で反射して振動面に戻ってくる超音波が干渉することで発生します。定在波には、音圧が0になる場所が半波長ごとに生じ、これを音圧の節と呼びます。

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3. 大型平板の非接触搬送

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